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五十六
しおりを挟む研究都市では四つの力、最後の『重力』統合間近である。核子―――陽子や中性子から素粒子を纏める『強い力』に量子重力と膜宇宙の考えを統一し、擬似重力操作、次元位相圧縮に拠る空間格子構成、そして起こる拡散法則を無視した膨大な熱量と圧力の微小空間、『強い力』が溶け合い―――其れでも今の処、素粒子の集合体である核子からの原子分子の生成には至っていない。逆に情報粒子生成は出来る。創るのと壊すのでは勝手が違い過ぎるのだ。
詐欺の内容―――水から石油が出来る―――炭素が無いぞ!酸素原子に高エネルギー加速器で陽子と中性子をぶつけ続けろとか言うんかい!壊れるわ!!・・・ナンで、ンなコストパフォーマンスが破滅的すぎるコトせにゃアカンねん。
石油は炭化水素だ、炭素原子が無ければ出来やしない。鎖状で繋がる炭素原子の余った腕に水素原子が何体も纏わり付く、頭に三、胴体に二、尻尾に三だ。胴が伸びる度に二体纏わり付く、オマケに硫黄とか不純物を付けろと言うなら付けるゾ。
この時代でだと・・・醸造でアルコール類(尻尾が酸素か水酸基)迄持って行き、酸素を全て取り除いてから繋げ直す・・・簡単な事では無いな。まぁ、基礎技術も積み上げて無いだろう。だからこそ詐欺だったんだろうがな。
この時代では2H2Oに熱か光、電気分解で2H2+O2、また2H2Oで電子や熱を取り出せるのは解っているだろう。電子を取り出す反応は直ぐに終わるが、水の燃焼と云うのは電気とは別物だ。高熱エネルギー密度の中、イオンでは無くラジカル状態と成り、此処に水素、酸素、水分子を加え続けると爆発的な連鎖反応が起こる。
・・・水をぶっ掛ければ良いんだとか思うなよ?水分子がラジカル化出来るだけの熱エネルギーを貰って連鎖反応が出来るエネルギー密度は保つ(その場合でも、水に戻るか取り出せるエネルギーは無いかもしれんが)と云うコトだ。つまりこの場合、エネルギーで電弱力(電磁力と弱い力・・・は関係ないか?素粒子のやり取りだし)を操り分子間力の操作は出来ると云う事である。
この五十六さんは科学に幻想を抱き過ぎて居たんだろう。元の理論や仕組みを理解せず、こつこつと積み上げて来た技術の産物・・・その上っ面の輝かしい憧れる未来図、其れを煽り立て科学の深淵だと誘う文面を。
しらたま「吾輩も大概アンチョコだが、簡単な化学式や原理くらいは覚えて居るぞ・・・それとも、上から何か言われたか?」
今居る処は五十六の愛人が女将の料亭。この時代、お偉いさんの間では愛人に働き口として店等を与えるのが常識的な事らしい。井上成美などの武士然とした者は生涯妻一人を愛した様だが。
未緒達は女将に可愛がって守らって要る。五十六は挨拶代わりに持って来た芋焼酎で更にグダグダに為り、女将の出した辛口の酒で酌み交わす吾輩に上手く行かない現実の愚痴を鬱ち続けていた。
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一人に為りたかったのだろう、店から出て来た五十六は打ちのめされた様な小さな身体を振ら付かせていた。無様な姿を視、思わずからかう様に指向性音波を飛ばしたあのセリフ。別に嘘と言う訳でも無い、研究都市に属してくれると云うなら仲間として大歓迎だ。まぁ、覚悟は試させてもらうが。
五十六「小僧、貴様何者だ?人間の出して良い気配では無いぞ?」
腰の刀に手を掛け、一瞬にして死線をくぐり抜けて来た者特有の雰囲気に変わる。流石にここ迄のし上がって来たのは伊達では無いと云う事か・・・俄然、如何しようも無く遊んでみたくな―――
未緒「おにいちゃん!おじいしゃんあいてにけんかはだめ!!」
餡粉兄妹(いけませんぜアニキ)(あにー)
未緒とつぶあんにポカポカ叩かれ、こしあんに諭される。と言うか餡粉兄妹二足歩行だ、犬のフリはどうした。毒気が抜かれる―――見ると五十六も所在無さげに手を・・・ワキワキさせて・・・撫でたいのか?
しらたま「・・・こほん、初対面で失礼しました。山本五十六殿ですね?吾輩は海上布設型研究都市『スノゥ・ラグーン』所属、至仙類妖型化身タイプ『猫叉』名をしらたまと申します」
五十六「如何にも、俺は五十六だが―――は?海上の都市?猫叉?其れに最初の魔法少女ってのは何だ?」
しらたま「あと、お近付きのしるしに自作の酒と愛玩動物を三匹。小笠原支庁に領海侵犯した米国籍の偽装船と工作員を吊るして置きましたので」
五十六の疑問をスルー、芋焼酎とケージに入ったハムスター三匹を渡す。ハムスターはこの年に日本に入り、研究者が実験動物として飼育し始め、物珍しさにペットにする人が少数居た様だ。五十六の手が塞がる。
五十六「おいおい、こんな処で貰っても・・・米国のだと?!この時期に頭痛の種を増やしやがって、いや、外交上のカードが一枚増えたと考えるべきか。取り敢えず此処は人目が有り過ぎる、海軍御用達の・・・いや、俺の女の店に往くぞ」
と言うと黒塗りのハイヤー(石炭車?!)を呼び付け助手席に座り、後ろに乗る様に促した。五十六の指示で赤坂方面へ向かって往く中、その眼が未緒に留まる。
五十六「其のお嬢さん、何処かでお見掛けした事が・・・確か慶喜公の愛妾の子だった先任士官殿、今は退役されているが・・・良く連れ歩いていた・・・!未緒殿か・・・祖父殿はご健在かな?」
未緒は・・・下を向いて押し黙っている。その手はワンピースの裾をきつく掴み、震わせて―――五十六に向いた少年の眼が糞虫を潰した時以上の暗い光を湛える。車内の温度がどの戦場、暗殺現場でも感じた事が無い程冷えた感覚に五十六は全てを悟り―――
五十六「すまん・・・」
しらたま「つい、我を忘れた・・・此方も済まない」
―――と言う事しか出来なかった。
******************
言いたい事が言えて満足したのか、五十六は酔い潰れて寝息を立てていた。愚痴を聞いただけで話が全く進んでいない。女将の好意でこの儘、部屋を借りる事になっており、布団の用意も在る。少年も酔い潰れる寸前だ。五十六を布団の上に投げた後、記憶がプッツリと途切れた。
猫耳と尻尾がくすぐったい。また、寝呆けた未緒達にしがみ付かれたり甘噛みされたりしているんだろうか?昨夜は五十六の愚痴に付き合って酔ったまま寝てしまった様だ。毒の種類からアルコール類を外して(分解速度一般人並み、アセトアルデヒド即分解)その儘、設定を元に戻して無かった。
しらたま「おいコラ、未緒、こしあん、つぶあん、止めないかぁ」
五十六「本当に猫叉なのだのう、しかし中々に憂いモノだな」
その言葉にパチンと目が開く、まだ人型、酔っていたせいか髪と目が元に、更に猫耳と二叉に分かれた尻尾が出ていた。視線の先に女将と一緒に寝ている未緒、女将のお腹の上に伸びた様に寝ている餡粉兄妹。少年は―――五十六の膝の上でお姫様抱っこをされ、耳と尻尾をナデナデサワサワされている。好々爺と云うにはナニかに目覚めそうな変態紳士の顎に声になら無い悲鳴と共に掌底が叩き込まれた。
しらたま「フフフ、汚れた・・・汚されちゃったよぅ」
虚ろな目でブツブツと呟き、指で畳にのの字を書き続ける少年。口から泡を吐き、Gの様に手足を痙攣させて伸びる五十六。部屋はまだ暗く、夜明けは遠い。今の内に酒癖が悪そうな五十六をふん縛って転がして置こう。と、ンな時に可愛らしく眠る未緒の微かな寝言が漏れる。
未緒「じゅるり・・・しょーねんとおじしゃまのただ・・・れたよるは・・・コレからほんばーんっ・・・」
しらたま「フ・ザ・ケ・ン・ナー・・・判って言っていたら恐ろしいぞ、ちくひょう」
取り敢えず、未緒の頭に軽くチョップでツッコミを入れた。
******************
女将が起きた気配に少年も目を醒ます。夜中に怖気が走るコトが有るも、後はアルコールで良く眠れた様だ。スッキリしようと瞬時に分解し女将の手伝いに向かった。
世間話で皇国連邦の成り立ちを聞く。明治維新時、五稜郭を守り抜き新政府軍を海に追い落とした榎本武揚らが蝦夷共和国を建国。西南戦争時、士族を纏めた西郷隆盛らは籠城せずに琉球、清朝にとって毛外の民が住む台湾を占領、台湾共和国を建国。両国共に産業基盤が脆弱な為、明治天皇の呼び掛けにより西欧列強に対抗する為の道州制連邦国家条約に調印する。日清、日露を経て南樺太割譲と朝鮮道併合。第一次世界大戦後、南洋道。シベリア出兵時、極東共和国にロマノフ家が亡命してシベリア帝国建国。満州事変後、対ソ緩衝国家として満州帝国。支那事変以降、泥沼の日中戦争の中に或る。蒙古自治区、北京、南京と此処ら辺に手を出して要るのは史実通りと云う処か。
女将さん達が言うには支那事変以降、米国を始めとして高い関税を掛けられ大正ロマンは過去の話。農村では娘の身売りが横行しており、青年将校が義憤に駈られ事件を起こす。物が売れない、買えない、統制経済で物の価値が―――此方もまんま史実か。
出来上がった朝食も質素倹約を顕したモノだが、女将は五十六の為に手間暇を惜しんではいない。誇りと見栄を履き違えた東条達より、自ら率先して道を示す五十六らに惚れたとか何とか・・・お熱いねぇ。その五十六はまだ噛まされ縛って転がされ、お、やっと起きたか。
しらたま「唸るな、吾輩に悪戯した貴様が悪い。耳と尻尾のモフモフ度ならこしあんとつぶあんが優るだろうが」
五十六「ぷはっ!あんな可愛らしい子らの安眠妨害出来るか。貴様なら遠慮など要らんだろう?」
しらたま「こいつ、今の内に何とかしといた方が・・・」
嫌々ながら解く。コラ、手をワキワキさせんなジジイ。女将が「仲が良いわねぇ」と言いながら朝食を列べていた。
五十六「俺は午前中、海軍省に往かねばならんが・・・貴様はどうする?」
しらたま「ならばコイツ等の売り込みをして来てくれないか?人間より役に立つ、凄腕の護衛だぞ」
裏戸から出た五十六にハムスター三匹を纏わり付かせる。訝しがるのを他所に少年は掌に荷電粒子を集中、プラズマ球形成。
ハムスター(五十六に被害が及ぶ危険性あり、ユニット開放しつつ守勢隊形)
五十六「貴様、ん?此れは・・・で、どうなるんだ?」
流石、肝が座っているな。プラズマ球に触れた木の葉が瞬時に燃え尽き、目を丸くする間もなく射出されたソレが五十六に向かう。
五十六「・・・!」
ハムスター(擬似斥力力場展開、逸らします)
遅く質量の軽いプラズマ球は簡単に逸れ、接触した道端の砂利を赤熱、溶解、飛散させた。
******************
五十六「おい猫叉!居るか?米内大臣達が会いたいそうだ。其れに陛下に献上したいとの話も出ているぞ!」
まだ昼も周っていないと云うのに、料亭に戻って来た五十六が興奮して言うにはこうだ。最初は昨日の今日でまた騙されたのか?其れとも悔やみ過ぎて少しおかしく為ったのか?と散々だったらしい。だが、可愛らしいハムスターに興味を持った奴が触ろうとしても触れない。無理矢理にでも触ろうとしたら吹き飛ばされた。やがて騒ぎが大きくなり―――
しらたま「ヴェル様が制御してるんだよな?・・・調子にノッて盛り上げ杉だ」
五十六「実験で狙撃も防いだ時の上の連中と来たら見物だったぞ、あんな馬鹿面を晒せるもんなんだな人間とは」
・・・足掛かりは得たか、相手は選別させて貰おう。重要人物の暗殺阻止用として、良い政治家が利己主義の馬鹿の相手をせんで堂々と意見を通せる様にな。馬鹿な意見はともかく色々な意見が有って良い、犬養毅や永田鉄山らが殺されたのは大き過ぎる損失だ。
後は都市と生体機械達の生存圏を賭けて、より大きな交渉に挑むとするか。その前に―――
しらたま「五十六殿」
五十六「何だ?いきなり改まりやがって」
しらたま「吾輩達の仲間に成らないか?」
五十六「仲間だぁ?」
しらたま「人間を捨てて生体機械に成って貰う。都市の三大神脳樹に忠誠を誓って貰えれば、後は日本の為に行動して貰っても構わない。」
五十六「・・・」
しらたま「吾輩は五十六殿を気に入っている。愚痴を聞いた、自分の愚かさを分かってる。国民の流され易さ、軍部の独善的差別に嫌気が刺している事。世界の暴力的な人種差別、植民地支配の嫌悪。自分が五族協和などと言いつつ同様の事をしている自覚」
五十六「・・・」
しらたま「全て引っ括めて貴様と友達になりてぇ、其れだけだ」
押し黙る五十六を待つ。認めて貰えなかったら其れ迄だ、全てを引き払い都市に引き籠ろう。此れまで失ってばかりではっきり言って怖ろしい、だが―――
五十六「最初に逢った時な『おもしれえ!』って思っちまったんだよ。この歳だ、あと五年も生きられねぇかも知れねぇな」
―――1943、ブーゲンビル島上空。
五十六「賭けに載った!妖怪にでも魔法少女にでも生ってやろうじゃねぇか!!・・・宜しく頼むぜ!ダチ公!!」
しらたま「・・・っ!あぁっ、ありがとよっ・・・・・・少女?」
最期に『あばよ、ダチ公』トカ言うんじゃねぇぞ・・・っと?あぁ、最初に遭った時の・・・・・・ま、いっか!魔法少女に決定だね☆俄然、面白くなっ・・・げふげふん。
五十六「をぃ、猫叉・・・何か隠してねぇか?」
******************
しらたま「・・・と云う訳で、海上都市を承認して、泥沼の日中戦争を停め、一般人に権利を与え虐げない、そうしてから皇国連邦の国力増強に力を入れて下さるなら、防衛を請け負い侵攻して来る敵勢力を完全排除して見せましょう」
海軍御用達の料亭に招かれ、少年が営業?真っ最中である。皆様、中々に渋い表情を為されてらっしゃる。まぁ、突然現れた怪しい、と云うか妖し過ぎる猫叉にいきなり自国の防備を丸投げしろと言われたのだから当然か。
しらたま「任せて頂けるので有れば追加サービスとして、金属電池パックの提供、光熱発電所の設置、未発見油田、天然ガスの採掘等々致して差し上げますがどうでしょう?」
先ずは都市製光熱発電所とナトリウム、マグネシウム電池。砂鉄からクズ鉄まで循環社会化し、豊富な電力で電炉建設だ。電炉で高品質の再生鉄鋼製品を造り、ウルの集積情報から高効率高炉を造る。後は基礎技術を積み重ね、工作機械を自前で造れる様に成って貰おう。
石油は出来た鉄鋼製品を使って試掘技術を高めて貰おう。産出されたモノは化学加工に廻して貰う、合成ゴム、プラスチック、化学薬品など技術レベルを底上げするのだ。鉄、化学分子、此等を纏めて加工精度は飛躍的に上がるだろう。
此れらに海軍上層部、若手のインテリ士官らは大分心を動かされた様だ。五十六も。話し合いが盛んになり纏めてみると・・・取り敢えず都市の実力を見せて貰い、確かな情報を元に陸軍を説得し、陛下に必ずや了承の聖断して頂くと、云う事に為った。其れなら丁度良い、五月にソ満国境で事件が有る筈だ。
五十六「だが、陸軍の連中に話が通じるかね?平沼首相もドイツにご執心だ・・・近衛前首相の様に騙され易くは無いと信じたいが」
しらたま「大丈夫だろ?ウチのハムスター達はスパイとしちゃあ優秀過ぎだ。貴様が呑んでた店も追跡、監視していたしな。今頃はヴェルの元に汚職や賄賂、色々とヤバげな証拠が集まっているだろうぜ」
五十六「・・・おま、えら・・・陸軍の機関員連中も真っ青だなヲイ、俺はそんな連中の仲間に成っちまったてぇのか」
悪い顔で含み笑いをする猫叉に向けた五十六の顔は・・・心の底から可笑しくて堪らなそうだった。其処に―――
******************
ヴェル(しらたまさん、良いですか)
しらたま「ヴェル様か、どうしたんだ?」
少年の肩に載る一匹のハムスター、その神妙そうな表情から―――
ヴェル(クズそうな指揮官が率いる、陸軍の一個大隊が都市に接近)
心底、嫌悪感を滲ませて―――
ヴェル(警告に従わず上陸しようとしたので空間ごと蒸発しまシタ)
『てへペロッ』とポーズを極めた。
******************
漆話了。
クズそうな指揮官で筆頭は誰だろう?
ここ迄読んで下さり本当に有り難う御座います!でわまた。
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