好きなんだからいいじゃない

143.トマトが運んでくるのはホントの夏の味

果物にしても野菜にしても、ここ最近甘さばかりを求める傾向が強い様な気がしません？そうなるとその物のホントに持ち味が失われるような気がするんですよ。私にとってトマトは夏の象徴、青臭くて少し酸っぱいトマトをもう一度食べたいです。

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　私が子供時代からかんがみるとトマトってトマト以外の何物でも無くて、赤くて両手で包み込めるくらいの大きさでちょっと独特の香りが有って、食べると青臭さも感じられて（このお味は嫌いじゃなかったです）とろんとした部分が有って、そして夏しか食べる事が出来なかった。そう言う印象の野菜だったんですが、スーパーの野菜売り場でここ最近ほうと思う事が有ります。いつの間にか増えたと思いません、トマトの種類。ミニトマトからレギュラーサイズのトマト迄、形も丸い物から円錐形の物、そしてポップに表示されてる糖度の何と高い事、ざっくり数えて日本国内では３００種類くらいが流通してるんですって。私が知ってるのは数種類ですが、数えきれないくらいの種類が出回ってて更に新しい品種が続々と生まれてるんですって。

　新しい品種がすぐに出て来るのはトマトって生育サイクルが早いので品種改良しやすいんだそうで糖度を上げる様に改良するのも比較的容易なんですってよ。でも、私は子供の頃に食べてた少し青臭さが残るトマトが良いんだけどなぁ、あの香りってなんだか太陽の香りの様な気がしません？そこに塩かなんか軽く降って食べるの好きだったんですが、今のトマトに塩かけたらちょっと違和感感じるんですよね。何でもかんでも甘くすれば良いってもんじゃないと思うんですが、やっぱり甘い物の方が売れるんでしょうね。

　実は私、血圧が少し高めなんですよ。でもってお薬なんかも飲んじゃったりなんかしてるんですが、最近、薬はやめようかななんて思ったりなんかしています。実は、トマトの『リコピン』って言う成分に血圧下げる効果が有って、その辺を凝縮したトマトジュースなんてのも有って、それを飲むと下がります。三日ぐらい薬飲むのやめて血圧少し高めなのを確認してからそれを一週間くらい飲み続けると下がるんですね血圧が。自然の力は大したもんだと思います。メタアナリシス（複数の研究を統合した分析）というのがありまして、それによりますと１日１２mg以上のリコピンを継続的に摂取した人の中には収縮期血圧が平均４．９mmHg低下したという結果が有るんだそうです。-抗酸化作用が血管内皮を傷つける活性酸素を除去して、血管の健康を保ち- 一酸化窒素（NO）を増加、血管を拡張させ血流をスムーズにすると共に-血管内皮機能の改善して血管の柔軟性を与えて血圧の安定に寄与するんでってよ。なんか、頼もしい奴ですね、リコピン。ただ、じゃぁ私も試してみようかなって言う方もおられるかもしれませんが、効果には勿論個人差が有って臨んだ結果が得られない事も多々ありますのでお試しなる場合はあくまでも自己責任と言う事でお願いします。

　最近のトマトって物凄く糖度が高い物が有って、一般的にはだいたい約４～６度でこの辺が甘さと酸味のバランスが取れた『食卓トマト』の基準といえるんじゃないかなって思いますが、『アイコ』とか『フルティカ』って言う品種になると８～１５度になるんだそうで、そうなると野菜と言うより果物って言う感じですよね。トマトが野菜か果物かをめぐって実際にアメリカで最高裁まで争われた裁判が有ったんだそうでこれは『ニックス対ヘデン裁判（Nix v. Hedden）』と呼ばれてて1893年に『トマトは野菜』と言う判決が下されました。その理由として-日常的な使われ方（料理での扱い）を重視して野菜と言う判決を下したんだそうですが、ここ最近はこの糖度が高いトマトを使ったトマト大福とか、かき氷のシロップなんかに使われる事も有るので、もしも今この裁判が行われたら意外と判決はひっくり返ってたかもしれませんね。

　品種改良でいろんな味や食感のトマトが出て来るのは時代が求める物なのかも知れませんが私はここであえて言いたい、昔の青臭くて酸味が強くてお塩かけて食べるのが丁度良いトマトをもう一度見直してみませんか？あれって多分、夏の太陽のもとで育てないとああならない気がするんですよね。そんな事は無いのかも知れませんが、私はあれが夏の味、あれが無いと夏が来たって気分にならないのですよ。だからここ数年、ホントの意味で夏の気分を味わっていないんですよね。後でスーパーに行ってもう一回探してみようかな、昔の太陽の味と香りがするトマト……となりのトトロでお婆ちゃんが育ててたあの瑞々しく輝く季節の象徴の様なトマトを。