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1話 婚約者の浮気
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「ラブメア……君との時間が本当に愛おしいよ」
「私もよ!! マゼンと一緒で嬉しいわ!!」
庭園で仲良くイチャイチャする男女の姿。
互いに高貴な立場であり、容姿も服装も整えられた光景。
知らない人から見れば尊さを感じていただろう。
けど、ここは私の家で私の庭。
更に言えばマゼンと言う男が私の婚約者だと知ったら、どう思うかしら?
「ねぇねぇ、ノエルの事はいいの?」
「別に構わないよ。あんな傷アリ令嬢の相手をするくらいなら、ラブメアのような素晴らしい女性とお話していたいね」
「あははっ!! マゼンってば嬉しいこと言ってくれるー!! ありがとうー!!」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で湧き上がったのは怒りとか悲しみとかでは無い。
貴方も私をそう扱うのね……という失望。
彼女達の目に触れないよう、足音を忍ばせてその場を去る。
「……痛い」
錯覚かもしれないが、とっくの昔に塞がったハズの傷跡が痛む。
昔、不慮の事故で傷ついてしまった私の右目。
眼帯で隠してはいるものの、今でも痛々しい傷跡がそこに残っている。
ノエル・ヴァーレイン。
右目の傷が原因で周りから傷アリ令嬢だと言われている辺境伯の娘だ。
今日は久しぶりの旅行で家を空け、帰ってきたらこのザマ。
最悪。
本当に最悪よ。
「はぁ……」
今までの思い出が全部偽りの物だったと自覚してしまう。
マゼンと私は婚約関係だ。
ヴァーレイン家は辺境伯としてこの地を納めてはいたものの、主人として優秀だったお母様の死や自然災害の増加により領地の経営が悪化。
国王様から地位と領地を剥奪される一歩手前まで追い詰められた時、オルクス家が長男であるマゼンとの結婚を条件に支援してくれると約束してくれた。
資金は潤って経営は安定。
ヴァーレイン家を潰しかけたお父様も首の皮が繋がって一安心。
私も契約結婚とはいえ、マゼンは右目の傷を気にせず接してくれて少し幸せな気分を味わえた。
けど、損をしたのは私だけだったのね。
『げ、ノエル様もう帰ってきたの……』
『ダメだろ、聞こえてるかもしんないし』
『あーあ、私も綺麗なお嬢様の元に仕えたかったなぁ』
従者達も小言を吐くなら隠れてやればいいのに。
執事長を除けば、ここの従者達は私の事が嫌いみたい。
まぁ、吐かれて当然の顔だしどうでもいいけど。
聞きなれた陰口を受け止めながら、私はとある場所へと向かう。
マゼンの愚かな行為も
従者達の敬意の感じない態度も
今の私にはそれよりやらなければいけない事がある。
「失礼します……お父様」
父親がいるであろう書室の扉をノックする。
婚約関係とはいえ、流石のお父様もマゼンの態度は見過ごせないハズ。
詳細に、
分かりやすく、
正確に伝えてしかるべき対応をとってもらわないと。
「はぁ……」
なんで私がこんな思いをしないといけないのかしらね。
重い身体と心を引きずったまま、私は目の前の扉を開けるのだった。
「終わらせましょう、こんな廃れた人生は」
「私もよ!! マゼンと一緒で嬉しいわ!!」
庭園で仲良くイチャイチャする男女の姿。
互いに高貴な立場であり、容姿も服装も整えられた光景。
知らない人から見れば尊さを感じていただろう。
けど、ここは私の家で私の庭。
更に言えばマゼンと言う男が私の婚約者だと知ったら、どう思うかしら?
「ねぇねぇ、ノエルの事はいいの?」
「別に構わないよ。あんな傷アリ令嬢の相手をするくらいなら、ラブメアのような素晴らしい女性とお話していたいね」
「あははっ!! マゼンってば嬉しいこと言ってくれるー!! ありがとうー!!」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で湧き上がったのは怒りとか悲しみとかでは無い。
貴方も私をそう扱うのね……という失望。
彼女達の目に触れないよう、足音を忍ばせてその場を去る。
「……痛い」
錯覚かもしれないが、とっくの昔に塞がったハズの傷跡が痛む。
昔、不慮の事故で傷ついてしまった私の右目。
眼帯で隠してはいるものの、今でも痛々しい傷跡がそこに残っている。
ノエル・ヴァーレイン。
右目の傷が原因で周りから傷アリ令嬢だと言われている辺境伯の娘だ。
今日は久しぶりの旅行で家を空け、帰ってきたらこのザマ。
最悪。
本当に最悪よ。
「はぁ……」
今までの思い出が全部偽りの物だったと自覚してしまう。
マゼンと私は婚約関係だ。
ヴァーレイン家は辺境伯としてこの地を納めてはいたものの、主人として優秀だったお母様の死や自然災害の増加により領地の経営が悪化。
国王様から地位と領地を剥奪される一歩手前まで追い詰められた時、オルクス家が長男であるマゼンとの結婚を条件に支援してくれると約束してくれた。
資金は潤って経営は安定。
ヴァーレイン家を潰しかけたお父様も首の皮が繋がって一安心。
私も契約結婚とはいえ、マゼンは右目の傷を気にせず接してくれて少し幸せな気分を味わえた。
けど、損をしたのは私だけだったのね。
『げ、ノエル様もう帰ってきたの……』
『ダメだろ、聞こえてるかもしんないし』
『あーあ、私も綺麗なお嬢様の元に仕えたかったなぁ』
従者達も小言を吐くなら隠れてやればいいのに。
執事長を除けば、ここの従者達は私の事が嫌いみたい。
まぁ、吐かれて当然の顔だしどうでもいいけど。
聞きなれた陰口を受け止めながら、私はとある場所へと向かう。
マゼンの愚かな行為も
従者達の敬意の感じない態度も
今の私にはそれよりやらなければいけない事がある。
「失礼します……お父様」
父親がいるであろう書室の扉をノックする。
婚約関係とはいえ、流石のお父様もマゼンの態度は見過ごせないハズ。
詳細に、
分かりやすく、
正確に伝えてしかるべき対応をとってもらわないと。
「はぁ……」
なんで私がこんな思いをしないといけないのかしらね。
重い身体と心を引きずったまま、私は目の前の扉を開けるのだった。
「終わらせましょう、こんな廃れた人生は」
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