異世界に転移した落ちこぼれ、壊れた右腕で世界を救う!?

夜月 照

文字の大きさ
30 / 35
2章 ゴブリン・マーケット編

4話 ローズヒップは笑えない

しおりを挟む
「いやいや、まさかショウト君がこんなに早く来るとは思いもしなかったよ」
 茶色い革製の高級感のあるソファーに腰掛けながらサクルソムは言った。ショウトの目がとらえたその顔は彼の嫌いな胡散臭い笑顔だった。
「言っとくけど、オレは好きでお前に会いに来たわけじゃないからな」
 そう言ってショウトは、そそくさとソファーに座り膝を組んだ。
 サクルソムの屋敷は宿からそう遠くない同じ東区の一角にあった。
 その場所は貴族たちの別荘地のようで、街の雰囲気を壊さないためか同じような作りの豪華な建物が並んでいた。
 ショウトとフリージアはサクルソムの屋敷に着くなり、メイド服姿の使用人の案内で応接室へ通された。
 応接室は三十畳はゆうにあるほどの広さだった。赤い絨毯が敷き詰められた部屋の中心には膝ほどの高さの長方形の白いテーブルが置かれ、それを前後に挟むようにして一人掛けと二人掛けの茶色いソファーがある。入って正面に見えるガラス窓からは、プロテアの街が姿を覗かせていた。
「分かっているさ。だから、そんな目で睨まないでくれよ。僕に敵意はないんだ」
 鋭く視線を送るショウトに、サクルソムはやや困り顔で笑う。
「そんなことより、フリージアもよく来てくれたね」
「はい。ご無沙汰しておりますストレプト様」
 ショウトと違って、フリージアは丁寧に答えると深々と頭をさげた。その姿にサクルソムはなぜか慌てるように、
「頭を上げてくれ、君にそんなことをされたら困ってしまうじゃないか」
 と言って、素早く腰かけていたソファーから立ち上がった。そして、フリージアが頭を上げるのを待って、
「ささ、フリージアも立ち話はなんだから、ソファーにでも座ってお茶でも」とドア近くに立っていた使用人に合図を送った。
 しばらくすると、金の模様の入った白いティーカップがショウトたちの前に置かれた。中には透き通る赤褐色の液体が注がれている。
 フリージアはティーカップを持ち上げると、臭いを嗅ぐためだろう鼻の前に持っていく。
「これは?」
 と発した彼女は不思議そうな表情を浮かべている。その問いにサクルソムは嬉しそうに、 
「これはローズヒップティーというらしい。実際に僕も飲んでみたが、バラの香りがとても優雅だったよ」
 と笑いつつも、尋ねたフリージアではなく、ショウトの方をちらりと見た。
 二人の様子をつまらなさそうに紅茶を飲みながら眺めていたショウトはその視線に気付き不快あらわに言った。
「なんだよ?」 
「いいや、なんでもないよ」
 そんな火花を散らすふたりの横でフリージアは紅茶を一口口にすると、持っていたティーカップをテーブルに置いた。
「本当ですね! バラの香りがしてとても美味しいです! 原産国はどこなんですか? バラにこんな使い方があったなんて知りませんでした」
 どうやら彼女はローズヒップティーを知らないらしい。ショウトにとってはファミレスに行けばドリンクバーにも置かれていることもある、いたって普通の紅茶でも彼女にとっては新鮮な味だったようで、その初体験に目を輝かせている。
「原産国ですか……、確かチリというところだったかな」
「チリ……ですか? それはどこでしょうか?」
 フリージアはサクルソムの言葉に不思議そうに首を傾げている。
「ショウト君、チリとはどこなんだい?」
 突然、矛先がショウトに向く。なんでオレが答えなきゃならないんだと彼は思ったが、フリージアの視線が痛い。
「チリ? チリは確か……南米とかその辺だろ」
 ショウトはソファーにもたれ掛かりながら面倒くさそうに答えた。
「へぇ、ナンベイね……」
 サクルソムは彼の反応に満足したのか不適に笑う。逆にフリージアは眉をしかめている。二人の顔を見比べて、ショウトはフリージアの顔を覗き込んだ。
「どうしたんだ、フリージア?」
「ごめんなさい、少し戸惑っちゃって。ナンベイとかチリとか聞いたことのない言葉ばかりだったから……」
 そう言って、彼女は申し訳なさそうに笑った。すると、サクルソムは、
「いいんだよ、知らなくて当然さ。なんたって、とても珍しい物なんだからね。ね、ショウト君、そうだろう?」
 これ以上この会話は不要と言わんばかりにショウトに同意を求めている。
 ショウトはその言葉で理解した。これはすなわち、サクルソムたちからすれば異世界の話なのだと。
 サクルソムはショウトがこの世界の人間でないと悟っているようだが、フリージアにまで知られたら後々面倒そうだ。
「――ああ、そうだな」
 それを踏まえると、先ほどまでのフリージアの反応には納得だ。彼女の反応からしてこの世界には、チリや南米、それにローズヒップティーも存在していないのだろう。だが、そこに疑問が一つ。なぜ、サクルソムはその情報を知っていて、どうやってローズヒップティーを手に入れたのか。もとの世界と繋がる場所があるのではないか。
 ショウトの中でそんな疑問が駆け巡る。
 そんなショウトをよそに、サクルソムはそそくさと話題を変える。
「さてと、雑談はここまでにして本題にはいろうか」
 サクルソムは先ほど同様笑っていた。が、その笑う目の奥に圧を感じた。その姿に、ショウトは思わず姿勢を正した。膝の上に置いた拳に汗が滲む。
「ショウト君、きみがここに来た理由は分かっているよ。モッちゃんたちのことだね?」
 いきなり核心をつかれ、ショウトはドキッとした。さらに、
「あと精霊がいなくなった、だろ?」
 ショウトはただただ驚いた。なぜなら、モミジのことだけでなく、サイクルのことまで知っていたからだ。
「どうしてそれを!?」
「粗方の話はモッちゃんから聞いた。もちろんきみの異能の力もね。だから、きみの相棒についても少なからず分かるってだけの話だ。でも、精霊の方については今は心配いらないと思うよ」
 たんたんと話すサクルソムだったが、どこか気遣うような優しさが感じられる。その証拠に、さっきの圧が今はない。
「心配いらないってのは、どういうことだ?」
「きみは、まだあの精霊とちゃんと契約していないだろう?」
 表情にこそ出さなかったが、ショウトはこれにも驚いていた。契約の話はまだ誰にもしていなかったからだ。相棒のサイクルにすらしていない話、それなのに、この男はそれがあたかも当たり前のように話している。
 唐突な出来事に、ショウトはすっかりフリージアの存在を忘れていた。彼に会った人物たちは、口をそろえて彼の力を異質、異能と言っていた。だからこそ、ショウトは思う。いま横にいる彼女にはこの力のことは黙っておいた方がいいのではないかと。
「異能? 契約? なんのことだ?」ショウトはしらをきった。しかし、
「別に隠さなくてもいい。きみの右手の小指のそれ、それは契約の証だろ? 僕は古い文献を集めて読み漁るのが趣味でね」
 サクルソムはショウトの指の模様を指差した。横に座るフリージアも彼の言葉につられてショウトの指に注目した。
「へぇ……。ショウトさんって精霊術士だったんですね。通りで他の人と違うと思った」
 フリージアの発言でショウトはさっきの思考は無駄だったことを自覚した。そんな、ため息にも似た息を吐き捨てるショウトを無視するようにサクルソムは、
「それで、さっきの話に戻すと……だね、ここから先はフリージア、きみにも関係のある話になると思うから良く聞いておくんだよ」 と言ってソファーから立ち上がると、背を向け窓の方へと向かった。その声にフリージアはサクルソムに視線を向ける。そして、サクルソムは外を見つめ――
 
「この街は今、瘴気に満ちている」
 
 そんな彼の言葉を聞いて、フリージアがソファーから勢いよく立ち上がる。
「――瘴気ってどういうことですか!?」
 彼女の反応に、サクルソムは振り向き、やはりと言わんばかりに息を吐く。
「きみは気付いていなかったようだね。確か、きみは魔力感知が得意だったね?」
「はい。ご存知かと」
 少しの間をとって、サクルソムは説教する教師のように部屋の中をゆっくりと歩き出した。
「きみは昔からそうだ、その力に頼りすぎて物事の根本を見逃している。街の変化に気付けていないんだ。全くといっていいほどね」
「街の変化ですか?」
「ああ。だが、街といっても全てじゃない」
 サクルソムは窓のある位置で足を止めると、再び外を眺めた。
「きみはこの街の雰囲気……いや、マナの流れに違和感を感じているのだろう? だから、得意の感知能力で街を探ってみた、が何かが邪魔をして上手く探れなかった。そして、きみが次にやったことは足を使って調べることだった、違うかい?」
 ショウトを無視するように横で繰り広げられる二人のやり取りを彼は置いていかれないようにしっかりと必死に聞く。フリージアのことも、サクルソムのこともあまり知らない彼にとってはどれも新鮮な話であり、同時に息を飲むような話でもあった。
「どうしてそれを!?」
 フリージアの驚きの混ざった声が部屋に響く。サクルソムはその声に、
「たまたまだよ。今朝たまたま早くに目が覚めてね。外を見ていたら走っているきみの姿を見つけただけさ」
 とフリージアに笑いかける。フリージアは、そうだったんですね、とでも考えていたのだろうか少しの沈黙のあと、
「ですが……、それでも、何も変化に気付けていません……。マナも昨日と特に変わりもなく……」
 思ったほどの成果が得られなかったのだろう。彼女はうつむき、浮かない表情だ。
「では、なんで、朝を選んで走っているのだい?」
「それは……、朝の方が……。あっ!――」
 何かに気付いたのか、フリージアはパッと顔をあげた。その姿にサクルソムはにっこり笑いかけると、
「気付いたかい? そう、朝走ろうが結局きみは能力に頼ってしまっているんだよ」
「申し訳ありません……」
「謝らなくていい。いま分かっただけでも良かったじゃないか。つまり、僕が言いたいことは、街の人たち、一人一人に目を向けろってことさ」
 そこまで話すと、サクルソムは再びソファーに腰掛け、ショウトたちと向かい合った。
「ところでショウト君、きみは瘴気っていうのが何か知っているかい?」
 その問いにショウトは、頭をフル回転させる。幸い彼はアニメや漫画でその言葉を聞いたことがあった。実世界でその知識が通用するのか分からないが、
「悪い空気的なもんだろ?」
「そうだね、それも間違いじゃない。でも実際は毒気といった方がいいかもしれない」
 急に訪れた毒という言葉。それがショウトの肝を冷やした。毒と聞いて彼が連想したのは死だったからだ。しかもそれは、蛇や蜘蛛のような個体から放たれるものではなく、空気、そんな物が身の回りに飛散しているのかと考えただけで正気の沙汰ではない。
「毒って……、それ大丈夫なのかよ!?」
「安心していい、きみが瘴気に侵されるとは僕は思っていない。なぜなら、その小指、契約があるからね。精霊との契約は契約者に加護を与えるんだ。だから、きみには精霊の加護が備わっている、守られているとっていいね」
 契約していたとはいえ、その情報は初耳だ。――アイツらそんな大事なこといってなかったのかよと思いつつも、サクルソムの言葉が結果的にとはいえショウトの気持ちを落ち着かせた。
「ちょっと話がそれてしまったね。話を戻すよ。――その瘴気、つまり毒気を一定量体内に取り込むと、それは毒素に変わるんだ。一定量といってもその量は人それぞれ、どのくらいの量を取り込むと毒素に変わるかは僕には分からない。だけど、毒素に侵された体には何かしらの影響が出ることは確かだ」
「影響って……、どんな風にでるんだ?」
「いくつか例をあげるなら、体の痛み、痺れ、酷くなると麻痺もあるね。それだけでも十分たちが悪いんだが、一番厄介なのは……」
 サクルソムはわざとなのか、一旦口を閉じ間を作る。その異様な溜めにショウトは唾を飲んだ。ショウト横ではフリージアも真剣な眼差しでサクルソムを見つめている。
 その溜めに我慢ができず先に口を開いたのはフリージアだった。
「早く教えてください! 一番厄介なのはなのですか!」
 フリージアの言葉を待っていたのか、サクルソムは前のめりになるように、テーブルに両手を着いた。そして、
 
「精神異常、すなわち狂気だ」
 
 応接室に沈黙が流れる――。
 狂気と聞いてショウトが思い浮かべたのはアニメや映画の殺害シーン、そして、ウルカヌスに乗っ取られた自分の姿だった。
 彼は何か言おうと口を開いたがそのせいか言葉が出てこない。助けを求めようとフリージアに視線を送るも、彼女もまたショウトと同じように口を開けたまま固まっていた。
 そんな二人をよそにサクルソムは再び話し始めた。
「人は誰しも心の中に負の部分、弱い部分を持っているはずだ。その毒素は心の闇に漬け込み、闇を増大させ、精神異常を引き起こす。つまり狂気へと変えてしまうというわけだ。そうなると、もう手をつけられない。人は荒れ狂い、犯罪や殺戮を好むようになってしまうんだよ」
 昨日プロテアに初めて足を踏み入れて、都会だと思った、豪華だと思った、圧倒すらされた。そんな街がまさかこんな事態に陥っていたなんて想像すらしていなかった。
 それなのに殺戮などという物騒なことと隣り合わせになっている。いましがた信じがたい話だが、それを否定する根拠もなければ情報もない。だから、ショウトがいまできることは、自分の気持ちに嘘を付いてでも、初めて会ったときモミジを想っている素振りを見せたサクルソムを信じ、話を聞くことだった。
「それが今、この街で起きてるっていうのか?」
「そうだね。そうともいえるが少し違う。その一歩手前まできているということが正しいかもしれない。きみたちもここに来る途中、もしくは別でも、足を引きずったりする人たちを見かけなかったかい?」
 すると、フリージアが食い気味で答えた。
「――見ました! ここ数日、辛そうにしている方々を何人か、でもお話しをしても皆さん笑っていたので……、気にもしませんでしたが……」
 それに続くようにショウトも答える。
「確かに……、オレも一人だけだけど見たな。昨日の婆さんだよ。お前も分かるだろ?」
「ああ、もちろん知っているよ。昨日の杖を付いていたお婆さんだよね。遠目からだけどきみと仲睦まじくお喋りしているところをしっかりと見ていたよ。それで? その人は何かいっていなかったかい?」  
「仲睦まじいってお前な……。まぁいいや、なんか最近、急に足が痛くなったって、前はこんなことなかったのにって言ってたな」
「やはりね。それは、間違いなく初期症状だ。断言してもいい」
 いや、しかし、ショウトには昨日の老婆が発狂しながら残虐になる姿なんて想像できなかった。
「うそだろ!? あの婆さんも狂気に荒れ狂うってのか?」
「いや、その人は大丈夫だろう。最悪の場合、全身麻痺にはなるかもしれないけどね……。狂気に落ちるのは基本的に体力のある人間だけだからね」
「人間だけ?」
「そうだ。獣人でも、エルフでもなく、人間だけ……。元々の抗体か、自力の強さか、はたまた心の弱さか……、どれも定かではないが、人間だけが狂気に落ちる」
 で、あれば、モミジたちの身に何か起こっているのだとしても、彼女たちが狂気に落ちる心配はないということだ。そこにだけに関していえばとりあえず一安心といったところだが、問題は人間たち……。
 ショウトはフリージアに視線を移した。彼女は、怯えているのか口をつむぎ、深刻そうな表情でどこか一点だけを見つめていた。
 そのとき、サクルソムがショウトの心情を読み取ってか、
「ショウト君、僕たちのことなら大丈夫だ。この街に来てから日も浅いし、それなりに対抗策も準備してある。だから心配はいらないよ」
 と言って微笑みかけた。さらに、
「ね、そうだよねフリージア」 
 とフリージアに呼び掛けた。その声を聞いた彼女はあからさまに愛想笑いを浮かべ「ええ」とだけ素っ気なく答えていた。
 サクルソムはああは言っているが、本当にそんな策はあるのだろうかとショウトは思った。フリージアの顔から読み取れるのは不安の二文字、ショウトは変な胸騒ぎがしてならなかった。たが、それを今言ってもフリージアを余計に不安させるだけだ。
「……ならいいんだけどさ。それはそうと、なんでこの状況がサイクルと関係してくるんだ?」
「うん。その話もまだちゃんとしていなかったね。きみの相棒、つまり精霊は基本的に自力のマナと周囲のマナを使って存在を保っているんだ。だけど、こうも瘴気が濃いと周囲のマナを吸収するのが困難になる。だから、今のこの街では自分の存在を保つことができないんだよ。さっきも言ったけど、きみの小指にあるように契約を結んでいると、きみのマナを自分の力に改変できる。ま、ようするに、きみと精霊は一心同体ってことさ」
 つまりは、サイクルはこの瘴気のせいで姿を見せなくなった、ということだろう。逆にショウトが契約を結んでいるアイネ、クライネならこの瘴気の中でも自由に動き回れるということになる。だが、彼女らはもともと自力で姿を保つことができないほどの小さな存在だ。この街で力になるかどうかも危うい……。
「何はともあれ、僕は瘴気が自然発生することなんて聞いたことがない。それこそ、魔女でも……いや、多分だけど、裏で手を引く者がいると思う。もしかしたら、モッちゃんたちもその何者かに遭遇したのかもしれないね。だから今後は注意して行動した方がいい」
「注意っていったって……」
「なぁに、別に難しいことを言うつもりはないよ。ただ一人での行動は控えろってだけさ。ここから先は僕も協力するよ。ただし、僕には僕のやるべきことがあるから別行動をさせてもらうけどね」
 ショウトたちに向かって、サクルソムはお得意のウインクを披露する。しかし、それに反応するほど、彼らに余裕はなかった。それでも、サクルソムは気にする素振りも見せず、普通に話を続ける。
「とりあえず、きみたちは街に不審な人物がいないか調べてみてくれ」
 サクルソムの言葉に「わかった」とだけ返事を返すと、ショウトとフリージアはソファーから重い腰をあげ、ゆっくりと立ち上がった。
 そのとき、ショウトは体に疲労感を覚えた。それによりサクルソムの話に無意識に力が入っていたのだとショウトは気づく。
 背を向けて、部屋を出ようとしたとき、サクルソムが思い出したかのように口を開いた。
「そうだ、フリージア、きみはもう少し残ってくれ。聞きたいことがあるんだ」
「私にですか? わかりました」
 フリージアはその言葉に再びソファーに腰をおろした。
「待ってるあいだ、ショウト君にはおつかいを頼もうかな」
「おつかい?」
「ああ。この部屋を出て右にずっと行った角に鍵のかかった部屋があるから、そこから本を一冊とってきてくれないか?」
 そう言うとサクルソムは鍵とメモをショウトに渡した。メモには“世界幻想論”と書かれていた。
 それを目にしたショウトは疲れているせいか、自分でも驚くくらい、あっさりと答えた。
「わかった。論文には興味ないけど、読んでも文句言うなよ」
「文句なんか言わないよ。それじゃ、よろしく頼むね」
 サクルソムの言葉を聞き終えると、ショウトは部屋をあとにした――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...