悪役令嬢が転生してきました

冷暖房完備

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幼児期

遥(仮)脱出する。No.3

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もしフライツさまに会えたら、あれも言おう、これも言おうと思っていた。
もしかしたら罵るかもとか、むしろ泣き崩れて しがみつくのでは?とも思っていた。
しかし月日の流れか、それともまだ仲の良かった頃のフライツさまの姿だからか、胸に広がるのは懐かしさだけ……。
 
ああ。ワタクシは、ただ純粋に彼に会いたかったのだわ。
 
思い思われた大切な人。
その姿を、嫌われていたとしても一目 見たかったのだ。
そんな感慨深い気持ちで彼の後ろをついて歩く。
 
本当に遠い昔、二人 森で遊んだ頃のようですわ。
 
「ねぇ、いつまで ついてくるつもり?」
ふいに立ち止まり、フライツさまが振り返る。
「もう逃げ出してから けっこう歩いてるんだけど?」
「あ……そうですわね」
 
うっかり忘れていましたわ。
 
「ワタクシまだ小さいですし、ここが どこかも分かりませんの」
「……だろうね」
「本当はフライツさまに家まで送り届けてほしいのですが」
「は?無理だし!!」
「ですわよね?では、この世界で一番安全に親元に届けてくださる機関とかはないですか?」
「……警察?」
「なぜ疑問系なんですの?」
「あ、いや。会社で迷子になってたなら戻った方がイイんじゃないかな?と思ってね」
「まぁ!!ワタクシ、あそこに誘拐されてきましたのよ?戻ったらまた捕まってしまいますわ!!」
「……そこなんだよね。誘拐ってさ、ホントなの?」
「本当ですわ!!目隠しされて連れてこられて、ガラの悪そうな男たちから逃げてきたのですわ!!」
「でも あそこヤ〇ザ事務所とかじゃないんだけど……」
「へ?じむしょ?」
「……まぁいいや。警察いこ」
「は、はい」
 
フライツさまが若干 面倒くさくなってきてるのを感じましたが、まずは家に帰ることが大優先ですわ。
 
「とりあえず近くの交番に置いてくから自分の名前と親の名前 言ってね」
「分かりましたわ!!」
 
はるか、あかね、ゆたか……。
 
と思い浮かべて固まる。
「ファーストネームだけで帰れますか?」
「へ?ファースト?下の名前だけってこと?」
「下か上か分かりませんが家名がわかりませんわ!!」
えっへんと胸を張るとガクッと項垂れられてしまった。
「まじかよ……」
「そんなに落ち込む事かしら?家名を知らずとも この親の名前を出せば すぐ分かりましょう?」
 
ワタクシたちの家は小さいけれど、実家は かなりの資産家。
そして、あれほどの おばあさまが いらっしゃるのですもの。
きっとすぐ分かりますわ!!
「いや、分かんないし」
「ええ!?」
「ええって、ブスッ子どんだけ自意識過剰なんだよ……」
「まぁ!!では、あれほどの実力者が埋もれていると言うことですの?」
 
それは国の損失では ありませんか!!
 
「どんだけ家族 好きなんだよ……」
冷たく言い放つとフライツさまは また歩きだした。
「あ、お待ちください」
「早く警察おいてく」
「あ、はい。よろしくお願いいたします」
 
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