異世界に転生しました?

冷暖房完備

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勇者 編

No.3 勇者 覚醒?

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とある土曜日、アタシはお弁当を塾のバックに入れて手に持つ。
『ま、真紀子さま!!またモンスターが作った食べ物なんか持って!!』
汚らわしい!!とでも言いたげな天使。
「弁当ないと昼メシ自腹なるじゃん」

ただでさえ、お小遣い少なめなんだからさ~。
て、そうか!!

「ねね、モンスターなんて倒さなくても今まで貯めてたお金で何とかならないの?」
モンスター(つうか、この世界で生活している人間?)を倒して お金を奪うっていうなら日本円が使えるんじゃないの?と思って聞いてみる。

ダメ元だけどね。

『間に換金省を通したら大丈夫ですよ。こちらの1円が向こうの100ルジャアルゲーターになります』

え?ルジュ?アリゲーター?

よく分からん通過だけど、使えるって分かっただけでも良かった!!
正直、少ない お小遣いを よく分からん物に使うのはは痛いが人に危害を加えるよりイイ。
『では、カタログを見ますか?』
「うんうん!!」
カタログという響きに心が踊る。

戦いには興味はないけど、お買い物は大好きなんだよね~。

天使の手のひらがパァァと光り出し、そこから古びた分厚い本が出てきた。

ね、年代物だな~(泣)

一抹の不安を覚えつつ、ページを開く。
「わ~!!」
武器は、剣、弓を筆頭に種類も豊富だ。
防具もガッチガチの戦士使用から ちょっとお色気ありのエッチなビスチェまで幅広い。
防御できんのか!?てくらい布面積狭い。

でも可愛い!!

もうちょっと体に自信があったら着てみたいデザインだった。
そして怪しい容器に入った回復ドリンクやら毒消しやら、頼もしい旅のお供もあるようだ。
しかも、何より素晴らしかったのは その値段!!

うん、これなら小学生が勇者でも魔王討伐に行けるね!!

手持ちの お金でも買えそうだったけど、どうせなら一気に全部 揃えたい。
「今から銀行いく!!」
部活なんて行ってる場合じゃない。
思い立ったが吉日だ!!
『え?ぎん、こ?』
天使が可愛く小首を傾げる。
「お金が いっぱいあるとこ!!とりあえずフルセットで揃えるから必要最低限のもの後で教えてよ」
『ま、真紀子さまは、お金持ちなんですね!!』

まあ、そういう事にしといて。








ウィィンと自動ドアが開き、ATMを見る。
「あちゃ~」
二台ある機械には会社の制服を着たお姉さまたちが列を作っていた。

ちょうど昼時に かちあったか……。

手数料とられるけどコンビニのATMにしようかな……と踵を返す。
と、
『モンスターが現れた!!』
頭の上で天使が叫んだ。
「え、ええ!?」
思わず声を出した瞬間、
「手を上げろ!!」
そう叫びながら入ってきた黒ずくめの男たちに突き飛ばされた。
『モンスター レベル15 武器はライフル銃とタガーナイフ HPは…』

待て待て~い!!

「普通に死ぬわっ!!」
『え?でも、真紀子さまがおっしゃった悪そうな知らない人ですよ?』

ええ、ええ。言いましたね。でも、

「悪すぎるやろ!!」
この平和な日本で銃相手に丸腰のJKが勝てる訳がない。

空気読め!!

『大丈夫ですよ?ナイフは本物ですけど銃はオモチャです』

ま、まじ?

『銃相手ならレベルは20以上です。それに彼ら自身は初めての悪行みたいですね。ほら、背中に若葉マークが…』

ええ!?
目を見開いて背中を見ると、た、確かに若葉マークがあった。

……なんだろ、目頭が熱い(泣)

『同じ初心者同士なら戦いやすいですよね』

そ、そうか~?
向こうは大人の男だぞ?しかも二人だ。

「ねね、こうさ、近づかなくて倒せるようなアイテムはないの?」
ダメ元で聞いてみた。
『ありますよ』

あるんかいっ!!

『魔法を使える粉なんですけどね。それを舐めると舐めた量によって効果が違います』

そ、それって白い粉じゃないよね?
舐めた瞬間ハイテンションに なっちゃうヤツじゃないよね!?

『これなんて どうですか?効果は金縛りです』

おお!!それは相手に怪我をさせずに捕獲できそう!!
悪人と言えど 人の子!!
罪を憎んで人を憎まずだね!!

『そして動けなくなったとこを この雷神の剣で喉元に…』

て、お前 悪魔だろっ!!
怖すぎるわ!!

天使から粉を奪い取るとペロリと舐める。
すると犯人たちはピキッと動けなくなる。
その即効性に驚きつつも 異変を察した警備員らが犯人を取り押さえる姿に安堵した。

良かった良かった。

『あ~あ。あれは勇者さまの役目なのに…』

いやいや、もう誰が捕まえてもイイんじゃね?

不満そうな天使を宥めていると、
『あれ?』
「どうしたの?」
『いえ、モンスターを倒すと体から青い炎が燃え出すんですけど…出ませんね』

うん、出てないね。

『これは、まだ他にもモンスターがいるようですよ』
「ええ!?」

いるようですよって、分かんないのか!?

とたんに また緊張感が増す。
『まれに気配を感じさせないモンスターもいます。ほら、いきなり襲ってきたとかって攻撃してくるのがいるでしょ?アレです、アレ』

アレ アレってアタシはゲームやった事ないっつうの!!

ビクビクしながら辺りを見渡す。
「ね、ねぇ。まさかアタシも いきなり襲われたりするの?」
『まだ真紀子さまのレベルでは勇者と認識されませんので大丈夫ですが、レベルが上がれば襲われることも あります』

ひ、ひぃぃぃぃ!!

か弱そうなお姉さまたちや大阪のオバチャンみたいなご婦人までモンスターに見えてきちゃうよ~(現に うちの母親もモンスターらしいからね)

「な、なんかモンスターって分かるアイテムないの?」
『ありますよ』

あるなら出さんかいっ!!

得体の知れない緑の液体を取り出す。
『さあ、お飲みください』

飲むんかい!!(泣)

でも、背に腹は変えれない!!と一気に飲む。
身の危険を感じると人は得体の知れないものでも平気で飲めるようになるんだなぁと他人事のように思った。
「ぐへ~!!」

青汁もビックリな味だな!!こっちが先に死ぬわ!!

でも、そのお陰でもう一人のモンスターらしい人物が青く光った。
「そいつも仲間だよ!!」
アタシは大きな声を出すと、カウンターの中を指さした。
犯人に金を渡そうとしていた窓口の銀行マンがギョッとした顔をする。
そして慌てて金をかき集めると飛び出すように走り出した。
が、机だらけで退路を阻まれ、あっけなく同僚たちに取り押さえられた。
瞬間、青い炎が燃え上がり、天に昇っていった。










わ~!!こうやって倒すのか!!
これなら、アタシ自身が犯罪者にならずに済むね!!
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