異世界に転生しました?

冷暖房完備

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勇者 編

No.4 ラスボス倒してHappyEnd?

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一度 経験するとハードルが下がるようで手当たり次第モンスターを倒しています。 

て言っても主に薬を舐めて~ですけどね。
だって安いしさ、直接 手をくだす訳じゃないからね。
やはり人として、剣やら何やらでブチのめすのはね…?
神や天使は異世界だ異世界だ言ってるけどホントのホントに そうなのか まだ疑わしい。
へたしたらアタシが犯罪者なるからね。

まぁ、隣にいる天使は不満そうだけどな。

『もっとこうズバッと一発で仕留めれる武器もあるんですよ?このレーザーサーベルなんか…』

て、お前ほんとにモンスターだろ?











「真紀子、待った?」
駆け足で爽やかに走ってきたのは、大好きな元樹。

本日は久々のデートなり!!

甲子園を目指す元樹は、あまり時間がなくてデートも数えるほどしかしてない。
それでも どんなに疲れていてもアタシが お願いしたら時間を作ってくれる。
「アタシも今きたとこだよ!!」
ピョンと飛びついてニコッとする。

たとえ一時間 待たされようとも元樹と会えるならアタシはいくらでも待つよ?

二人並んで歩き出す。
「あ、そだ。右足は大丈夫なの?」
「え?」
佑奈ゆうなから聞いたの。練習中に怪我したって」
佑奈とは野球部のマネージャーをしてるアタシの親友。
去年、卒業したエースで4番の彼氏がいる。
「大丈夫だよ…」
そう言うと困ったように笑った。
「ほんとに大丈夫なの?」
「ああ…。まぁ言うほどのことじゃないしね」

そんな!!

「どんな事も元樹の事は全部知ってたいよ!!」

辛い時なら尚更だ!!

「ありがとう。でもホントたいしたこと ないんだよ」
男の子って皆そうなのかな?元樹は あまり自分のことを話してくれない。
特に野球のことは……。
偶然マネージャーをやってた佑奈が いてくれて良かった。
じゃなきゃ元樹が怪我したことも知らないままだった。

無理やり聞いちゃったけど、今後も佑奈には元樹のこと教えてもらわなきゃね!!









その後、アタシたちは映画を見て、ファーストフードでランチを済ませ、ウインドウショッピングなどしている。
その間、天使がモンスターがいるモンスターがいると騒がしかったがスルーさせてもらった。

今日は勇者の定休日だ。

楽しい一時を終えて家まで送ってもらい、後ろ姿を見送っていると低い低い声が頭の中に響いてきた。
『彼、呪われてますね…』

て、お前ほんとに悪魔だろ!!
怖すぎるわ!!

「モンスター討伐しなかったからってスネるなよ!!」
『いえ、それは確かにありますが、そういう意味ではありません』

スネてんのは否定しね~のか!!

『呪いの質が彼の癒しの魔法に似ているので気づくのが遅れましたが何か強い魔力を感じました』

強い魔力?

『本人にも周りにも気づかれずに魔法をかけられた事を考えますに このエリアのラスボスだと思われます』

ボ、ボ、ボス~!?
なんだか、いきなり現実味を帯びてきたな~(泣)

『ご安心ください!!コンスタントにモンスターを退治してくださってたので このエリアのボス程度なら楽勝で倒せます!!ただ…』
「ただ…?」
ゴクリと生唾を飲む。

なに?まさかアタシ死ぬの?

『今までのように薬で魔法を~という訳にはいきません。きちんと武器を持って戦っていただきます』

わ、わ~(泣)
とうとうきたか!!
できれば最後まで薬に頼っていこうと思ってたのに 現実は厳しいね!!









『親玉というのは決して自分では手を下さずに子分にやらせるのが世界共通ですね』

うん、知らんけどな。

『そんな中で元樹さまに直接 魔法をかけているあたり、彼が勇者さまのパーティの一員であると気づかれたのかもしれません』

わ、わ~(泣)
本人の承諾なしに加えちゃったバチが当たったな~(泣)

『真紀子さまのせいでは、ありません。たとえパーティに加えなくても元樹さまの魔力なら、いずれは見つかっていたと思います』
落ち込むアタシの肩を優しく撫でる。
「そ、そうかもね。でも落ち込んでばかりいられない!!何にも知らない元樹を むざむざモンスターの餌にするような事はできない!!」

武器を持って戦わなくちゃ!!
ぶっちゃけ、世界のためとか平和のためとかで戦えるほどアタシは人間できちゃいない。
でも大好きな元樹のためならアタシは何だってする!!









授業が終わり、アタシは慌てて元樹のクラスに向かう。
部活のある彼は、ユニフォームに着替えるべく このまま部室に行くはずだ。
さささっと後ろをついていく。
『真紀子さま、なにとぞ見つからないように配慮 願いますよ?』
「見つかったらボスが出てこないんでしょ?」
それだけならイイが、元樹の中で魔力を暴発させられては たまらない!!
慎重に慎重に行動を起こして、そいつが現れたとこを後ろからザクッとやるんだよね!!

…て、勇者なのに卑怯すぎね?

でも、仕方ない。アタシは普通の女子高生ですから!!
なぁんて言い訳をしつつ、向かった先は野球部の部室とは真逆にある社会科の準備室だった。

こ、これはマジでラスボスとご対面!?

背中を冷たい汗が伝う。
み、見えないバリアの粉も飲んだし、攻撃力3倍のスープも飲んだ。
手にしてるのは世界最強のエクスカリバーだ!!

やれる…。アタシは、やれば出来る子だから!!

大きな深呼吸を何度もして、元樹が入っていった準備室のドアをそっと開けた。





「ごめん、遅くなって…。やっと二人きりだね」
元樹の言葉にドキリとする。
窓からの日差しで室内に二人いることを認識する。
「僕が不甲斐ないせいで、こんな隠れるように会わなきゃいけなくて……ホントごめん」
本当に申し訳なさそうな声音に なぜ そんな言い方をするのか理解したくない。
「私のことはイイの。今一番 大切な時だもん。元樹は何も考えず野球に集中してほしい」
さも気づかってますって感じの女の声がする。
「そんな言い方するなよ…。野球と同じくらい佑奈のことも大好きだから」

……え?

「ふふふ。真紀子に感謝しちゃうなぁ。中1からの付き合いだけど、元樹が好きって言葉にしてくれるの真紀子に告白されてからだよね」
「…ちゃんと断ったんだ。でも大泣きされて、泣き止んだと思ったら付き合ってると勘違いされてた」

…二人は何を言ってるの?
心臓がバクバクして、よく聞こえない。

「小さい頃から少し思い込みの激しいとこがあったけど、ここまでとは思わなかったよ。ただ、こんなこと続けてたら 僕たちも あいつも おかしくなっちまう。近いうちに…」
「ダメ!!ふられたら元樹を殺してアタシも死ぬって言ってた。あの時ホントに怖い顔してた…。私は大丈夫だから卒業までは このままで いてほしい」
「…高校 卒業したら」
「うん。待ってる……」
二人の影が そっと重なった。








さっきとは違う汗が流れる。

なに?ど~ゆ~こと?
元樹と佑奈がアタシに隠れて付き合ってたの?

うまく呼吸が出来なくて、口をパクパクさせてしまう。
『モンスターが現れた!!』
空気を読めないバカ天使が いつも通りのナレーションをする。でも……。

そうか、これは異世界だった。

『モンスター レベル30 武器は呪いの魔法 HPは…』

アタシの元樹に呪いをかけてるのは佑奈の姿をしたモンスター……。

心の中で呟きながら、ゆっくりと また ゆっくりと歩き出す。

「甲子園で記録を残して必ずプロになる!!だから、その時は誰の目も気にせず一緒にいよう」
元樹の囁きが いやに大きく聞こえる。
「うん……」

二人に近づくにつれ、心が死んでいくのが分かる。
これはホントに異世界なの?
あんな穏やかに笑う元樹を見たことない。
あんなふうに優しく抱きしめたりなんてアタシには一度だってなかった。

『早くモンスターを倒してください!!』
ふいに鮮明になる思考。

モン、スターを倒す?




そうか、そうだわ!!
あれは佑奈じゃなかったわ!!
危うくアタシまでモンスターの呪いで我を忘れそうになった。

佑奈に化けてるモンスターを滅多刺しにして元樹を助けなくちゃ!!

アタシはフラフラと近づきながらエクスカリバーを握りしめた。
……知らず口角が上がる。











アタシは勇者。
世界の平和を守るために戦っている……………
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