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武道家 編
No.1 お約束の展開
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チャチャチャ~、チャ~、チャ~、チャ~、チャ~チャ~チャ……
「ん…」
なんだか聞き覚えがあるような ないような音楽で目が覚めた。
目が覚めたのに…真っ黒とは、いったい どうなっているんだ?
ゆっくりと立ち上がると、地面が蠢き、生ぬるいスライムのようなローションのようなモノが足元から全身を覆うように擦り上がってきた!!
「あ!?ああん」
その気持ち良…いや悪さに思わず声が出る。
『……そなた良い体をしとるのぅ』
脳みそを直接 刺激するような声にゾクリとする。
『…が、中身は変態のようじゃな』
低く一言 告げると、パァァァァと光が差し込む。
眩んだ瞼を開けると緑豊かな庭園が広がっていた。
「……なんでオレは こんなトコにいるんだ?」
『死んだからじゃ』
「えーーー!?」
『うるさいのぅ』
面倒くさそうに目の前のチビじじぃが ぼやく。
「自慢じゃないがオレは風邪だって一度もひいたことないし頑丈なのが自慢なんだよ!!」
『…自慢じゃないがと言いながら二度も言うとるな』
チビじじぃが何か言ってるがスルーする。
オレは身長185センチ、体重100キロ!!
ほぼ筋肉のガチムチマッチョだ!!
「オリンピックも夢じゃないと言われた柔道部 期待の新人なんだぞ!!」
『その柔道で死んだんじゃ』
え?
『なんとかっちゅう試合で なんとかっちゅうヤツに投げ飛ばされて首の骨をポキッとな』
「えーーー!?」
『うるさいのぅ。すぐ生き返るんじゃから良いではないか』
「いき、生き返る!?」
『まぁ詳しくは天使にでも聞いとくれ……』
「え?天使?」
ちゃっちゃっと終わらせよう感が満載のチビじじぃが大きく杖を振りかざした瞬間、眩い光に包まれた!!
「天使って なんなのさぁぁぁぁ!!」
『この世界に はびこる魔王を倒すべく、伝説の武道一族の末裔ムツキは神の祝福を受けた勇者を探し共に立ち上が…』
「まてまてまて!!」
何しれっと枕元で ごちゃごちゃ言ってんの?
横目で羽の生えた七三分けの ちっこいオッサンを見る。
「まさか、お前が天使?」
『え?あ、はい。自己紹介は少し お待ちいただけますか?プロローグを冒険に出る前に一応言わないといけなくてですね』
天使は恐縮して目を白黒させながら話す。
「プロローグ?」
『何かある度に説明やらナレーションをするのがワタクシ天使の役目でして、怠ると減点されてしまいますので しばし お待ち下さい』
……大変だな。
ひとしきり話し終わると満足げにオレを見る。
『お初に お目にかかります。ムツキ・J・近藤さま。なんともエキゾチックな ご容姿ですね!!』
「ああ、父がアメリカ人で母が日本人だからな」
『ほほう!!いわゆるニューハーフってヤツですね!!』
「……ニューは余分だ」
『???』
「……まぁいい。それで?オレは死んだんじゃなかったのか?」
どう見ても ここは現代の病院だ。
痛みは感じないが死にかけて(むしろ死んでた)運びこまれたんだから集中治療室だろうな。
ベッドの周りを囲むように高そうな医療器具が並んでいる。
『皆さん勘違いされるのですが、ここは異世界でして元の世界でムツキ様は亡くなられております』
まったく同じ世界観なのに異世界なのか?
「……訳がわからないな」
『そこは おいおいワタクシが説明していきますので、とりあえず勇者さまを探す旅に出ませんか?』
「まてまて!!なんか普通に会話してたけどオレ今 点滴やら何やら繋がってて動けないからね?」
『あ、これは念話と言いましょうか脳に直接 語りかけているのです!!』
うん。それは分かってる。
「問題は そこじゃなくて、こんな状態から いきなり何事もなかったみたいに歩き出したら おかしいよね?」
実際は歩き出しても なんら問題ないくらい痛くも痒くもないけど さすがに そんな人間離れしたことは できない。
『先ほども言いましたが ここは そんなことで驚く人間はいませんよ』
はよはよ!と急かすように天使が言うが、それを鵜呑みにするほどアホじゃない。
「オレ自身、ここが どんな世界か分からないのに迂闊に歩き回れない。とりあえず怪我人のふりして様子見るよ」
ぶつぶつと不満を言う天使をよそにオレは目を閉じた。
「ん…」
なんだか聞き覚えがあるような ないような音楽で目が覚めた。
目が覚めたのに…真っ黒とは、いったい どうなっているんだ?
ゆっくりと立ち上がると、地面が蠢き、生ぬるいスライムのようなローションのようなモノが足元から全身を覆うように擦り上がってきた!!
「あ!?ああん」
その気持ち良…いや悪さに思わず声が出る。
『……そなた良い体をしとるのぅ』
脳みそを直接 刺激するような声にゾクリとする。
『…が、中身は変態のようじゃな』
低く一言 告げると、パァァァァと光が差し込む。
眩んだ瞼を開けると緑豊かな庭園が広がっていた。
「……なんでオレは こんなトコにいるんだ?」
『死んだからじゃ』
「えーーー!?」
『うるさいのぅ』
面倒くさそうに目の前のチビじじぃが ぼやく。
「自慢じゃないがオレは風邪だって一度もひいたことないし頑丈なのが自慢なんだよ!!」
『…自慢じゃないがと言いながら二度も言うとるな』
チビじじぃが何か言ってるがスルーする。
オレは身長185センチ、体重100キロ!!
ほぼ筋肉のガチムチマッチョだ!!
「オリンピックも夢じゃないと言われた柔道部 期待の新人なんだぞ!!」
『その柔道で死んだんじゃ』
え?
『なんとかっちゅう試合で なんとかっちゅうヤツに投げ飛ばされて首の骨をポキッとな』
「えーーー!?」
『うるさいのぅ。すぐ生き返るんじゃから良いではないか』
「いき、生き返る!?」
『まぁ詳しくは天使にでも聞いとくれ……』
「え?天使?」
ちゃっちゃっと終わらせよう感が満載のチビじじぃが大きく杖を振りかざした瞬間、眩い光に包まれた!!
「天使って なんなのさぁぁぁぁ!!」
『この世界に はびこる魔王を倒すべく、伝説の武道一族の末裔ムツキは神の祝福を受けた勇者を探し共に立ち上が…』
「まてまてまて!!」
何しれっと枕元で ごちゃごちゃ言ってんの?
横目で羽の生えた七三分けの ちっこいオッサンを見る。
「まさか、お前が天使?」
『え?あ、はい。自己紹介は少し お待ちいただけますか?プロローグを冒険に出る前に一応言わないといけなくてですね』
天使は恐縮して目を白黒させながら話す。
「プロローグ?」
『何かある度に説明やらナレーションをするのがワタクシ天使の役目でして、怠ると減点されてしまいますので しばし お待ち下さい』
……大変だな。
ひとしきり話し終わると満足げにオレを見る。
『お初に お目にかかります。ムツキ・J・近藤さま。なんともエキゾチックな ご容姿ですね!!』
「ああ、父がアメリカ人で母が日本人だからな」
『ほほう!!いわゆるニューハーフってヤツですね!!』
「……ニューは余分だ」
『???』
「……まぁいい。それで?オレは死んだんじゃなかったのか?」
どう見ても ここは現代の病院だ。
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ベッドの周りを囲むように高そうな医療器具が並んでいる。
『皆さん勘違いされるのですが、ここは異世界でして元の世界でムツキ様は亡くなられております』
まったく同じ世界観なのに異世界なのか?
「……訳がわからないな」
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『あ、これは念話と言いましょうか脳に直接 語りかけているのです!!』
うん。それは分かってる。
「問題は そこじゃなくて、こんな状態から いきなり何事もなかったみたいに歩き出したら おかしいよね?」
実際は歩き出しても なんら問題ないくらい痛くも痒くもないけど さすがに そんな人間離れしたことは できない。
『先ほども言いましたが ここは そんなことで驚く人間はいませんよ』
はよはよ!と急かすように天使が言うが、それを鵜呑みにするほどアホじゃない。
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