16 / 27
監禁、暴力、薬漬け。
3
しおりを挟む
ご飯を食べ終わって、煌翔くんはいなくなった。
僕は逃げる方法を考える。
「拘束具は外せないな···そうすると、どうしたら···?」
うーん、と頭をフル回転させた。
はっ、
「お風呂だ···!お風呂のときは全部ついてない···しかも、煌翔くんは外してから少しの間部屋にいない···!もしかしたら、逃げれるかも···」
あとはどんなに考えても逃げる方法が浮かばない。
少しの可能性にかけることにした。
でも、今は体が動かないし、どうしようもない。
動くようになるまで、我慢する。
今は体力を温存したいから、寝るのが一番だ。
だけど、そろそろここからいなくなる。
今までのことを振り返ると、とても短いようにも、長いようにも思えた。優しかった煌翔くん、ときどき意地悪をしてきたりもしたけど、ご飯も美味しかった。
毎日僕と話してくれて、寝てくれて、愛情をたっぷり注いでくれて。
でも、もう煌翔くんはおかしくなってしまった。
今までのことを思い返すと、涙が止まらない。
そういえば、今日のご飯は、いつもより甘くなかったな。
そんなことが頭に浮かんだ途端、僕は強烈な睡魔に襲われ、目を閉じた。
·········夢を見る。
この人は誰だろう。
お母さんやお父さんから、罵声や暴力を振るわれている。
「ごめんなさいっ、ごめんなさいぃ···」
必死に謝っているのに、親はやめる素振りすら見せない。
面倒くさそうに見下ろす目は、とても冷たい。
助けてあげたいのに、僕は動けない。
親の顔はよく見えるのに、虐待を受けているその子の顔は霧がかかったように見えない。
しばらくして、ようやくその子は休む時間を与えられた。ひどく傷ついた身体は、痣だらけで、ところどころから血が滲んでいる。
「も······ん······う·········だ···」
捻り出すようにして喋っているその声はほとんどが聞こえない。
僕は集中してその声を聞こうとする。
「もう死んだほうが楽だ···。」
目が覚める。
目からはなぜか涙が溢れ出ていた。
「大翔···?なんで泣いてるの···?」
いつの間にか煌翔くんも部屋にいた。
「変な夢見ちゃって···大丈夫···」
「そう···」
そうだ、それどころじゃない。僕は逃げないとまた酷いことをされるんだ。
今しかない。
「あ···煌翔くん、お風呂入りたい···」
「ん···いいよ···ちょっと待って···」
だんだんと拘束具を外されていき、僕は動けるようになった。煌翔くんはそのまま部屋を後にする。
「よし···今だ···」
見つけていた窓から外に出る。薄暗くて、少し寒い。
ばいばい、煌翔くん。
僕は逃げる方法を考える。
「拘束具は外せないな···そうすると、どうしたら···?」
うーん、と頭をフル回転させた。
はっ、
「お風呂だ···!お風呂のときは全部ついてない···しかも、煌翔くんは外してから少しの間部屋にいない···!もしかしたら、逃げれるかも···」
あとはどんなに考えても逃げる方法が浮かばない。
少しの可能性にかけることにした。
でも、今は体が動かないし、どうしようもない。
動くようになるまで、我慢する。
今は体力を温存したいから、寝るのが一番だ。
だけど、そろそろここからいなくなる。
今までのことを振り返ると、とても短いようにも、長いようにも思えた。優しかった煌翔くん、ときどき意地悪をしてきたりもしたけど、ご飯も美味しかった。
毎日僕と話してくれて、寝てくれて、愛情をたっぷり注いでくれて。
でも、もう煌翔くんはおかしくなってしまった。
今までのことを思い返すと、涙が止まらない。
そういえば、今日のご飯は、いつもより甘くなかったな。
そんなことが頭に浮かんだ途端、僕は強烈な睡魔に襲われ、目を閉じた。
·········夢を見る。
この人は誰だろう。
お母さんやお父さんから、罵声や暴力を振るわれている。
「ごめんなさいっ、ごめんなさいぃ···」
必死に謝っているのに、親はやめる素振りすら見せない。
面倒くさそうに見下ろす目は、とても冷たい。
助けてあげたいのに、僕は動けない。
親の顔はよく見えるのに、虐待を受けているその子の顔は霧がかかったように見えない。
しばらくして、ようやくその子は休む時間を与えられた。ひどく傷ついた身体は、痣だらけで、ところどころから血が滲んでいる。
「も······ん······う·········だ···」
捻り出すようにして喋っているその声はほとんどが聞こえない。
僕は集中してその声を聞こうとする。
「もう死んだほうが楽だ···。」
目が覚める。
目からはなぜか涙が溢れ出ていた。
「大翔···?なんで泣いてるの···?」
いつの間にか煌翔くんも部屋にいた。
「変な夢見ちゃって···大丈夫···」
「そう···」
そうだ、それどころじゃない。僕は逃げないとまた酷いことをされるんだ。
今しかない。
「あ···煌翔くん、お風呂入りたい···」
「ん···いいよ···ちょっと待って···」
だんだんと拘束具を外されていき、僕は動けるようになった。煌翔くんはそのまま部屋を後にする。
「よし···今だ···」
見つけていた窓から外に出る。薄暗くて、少し寒い。
ばいばい、煌翔くん。
12
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞に応募しましたので、見て頂けると嬉しいです!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
学園の卒業パーティーで卒業生全員の筆下ろしを終わらせるまで帰れない保険医
ミクリ21
BL
学園の卒業パーティーで、卒業生達の筆下ろしをすることになった保険医の話。
筆下ろしが終わるまで、保険医は帰れません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる