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プロローグ
しおりを挟む俺は如月零。引きこもりだ。
俺は何もかもが嫌いだ。
この不自由な世界が嫌いだ。
こんな世界滅んでしまえばいいのに。
なんどもそんなことを思った。でも、そんな俺の願いは叶うことなく今も地球は回っているし、時間は動いている。
死にたいと思ったことも何度もある。
でも、結局死ぬのは怖くて死にたいと思うだけで終わっている。
それに、自分で自分を殺してしまったら本当の意味で俺はあいつらに屈したことになってしまう。
それだけは絶対に嫌だった。一度はあいつらに形だけではあるが屈してしまったが、まだ完全に負けた訳じゃない。
俺は俺のことをいじめてきたあいつらを絶対に許さない。いつか復讐するその時まで死ねない。そんなことを思ったのは引きこもってから半年経ってからだ。
我ながらこの間は何もせずに親にも心配をかけてただただ引きこもっていただけなのだから本当に情けない男だ。
でも、それからの俺は決意を改めて、引きこもっていながらも自分を鍛えることにした。いつか復讐するその時までに力をつけなければまたいじめられるだけだと思ったからだ。
毎日腕立て、腹筋、スクワットを百回ずつ、それとランニングを十キロ。このトレーニングを二年間続け、髪の毛を生贄にすることで、どんな敵もワンパンで倒せるくらいに進化した偉大なるハゲマ〇トを俺は尊敬して........その半分のメニューをこなした。
別に髪の毛が恋しかったとか、トレーニングメニューが自分には過酷すぎるとか言い訳するつもりは無い。
ただ、それ程に強くなってしまうと奴らへの復讐がワンパンで終わってしまう。それでは自分の気が晴れない。だから半分のメニューにしたんだ。ちなみにランニングは外に出られのでやっていない。
これは決していい訳では無い。そこの所を勘違いされてしまうと俺も本気で怒るだろう。俺が本気で怒れば..........わかるよね?そう。ワンパンで終わりだよ?
まあ、そんなことはどうでもいい。
俺はそんなメニューを一年半の間こなしながらにも、通信で色々な格闘術を学んだ。そう、通信でだ。
外に出る訳にはいかないので、通信だ。次外に出る時は奴らに復讐するその時だと決めていたので俺は外に出られないのだ。これは自分への戒めだ。決して外に出られなくなっている訳ではないのだ。
そして、そんな一年半の時間を過ごした俺は二年前の頃の俺とは全く違う。鍛え抜かれた鋼肉体は鉄をも砕くと言うわけではないがそれなりに強固だ。 どんな攻撃も全くの無傷で耐え抜くことができる訳では無いが、それなりに耐えることはできる。
そして、様々な種類の格闘術を体得した俺の戦闘スキルは、異世界に飛ばされたとしてもそれだけで生き抜いて行けるほどには成長していないのだが、割と強いくらいにはなっているはずだ。詳しいことは自分ではわからない。なにせ通信だからだ。
ともかく俺はいじめられていた頃とは全くの別人になっているのだ。そう、新しい俺。つまりはニューレイ君なのだ。
だから、大丈夫。きっと外に出られるようになっている。あの糞野郎共に復讐しなきゃいけないのだから外に出られなければ始まらない。
大丈夫。俺はやれる。
俺は深く深呼吸をして、まだ数度しか着ていなかった制服に着替えた。中学校入学当初は、身長が155cm程しかなかったが、この2年間で20cm以上伸びている。筋力も比べものにならない程増えていたため、制服はかなり小さくなっていた。ボタンすら厚い胸板が邪魔して下から三番目位までしかしまらなかった。なんだか奇妙な格好になっているが気にしない方が自分の心を傷つけなくていいだろう。
髪の毛もかなり伸びていた。自分で切ることすらしなかったので、背中の中ほどまで髪が伸びて、なんだか女の子見たくなっている。自分で切って変な髪型になるのも嫌だったのでゴムで一本縛りにして某るろ〇に剣士っぽくしてみた。
なんだか、案外似合ってるな俺。格好いいぞ俺!
こんなことなら飛天御〇流を通信で勉強しておくんだったな。通信であるのか知らないけどさ。
まあ、なにはともあれ準備は整った。後は外に出るだけだ。
ゆっくりと、ゆっくりと俺は重たい足を動かしてまずは自室から出る。そして、ゆっくりと、ゆっくりと玄関まで歩みを進める。時間は既に昼前なので共働きの親は既に家にはいない。久しぶりに顔を見せて安心させてあげたかったが、それは復讐を終えて本当の意味で過去のトラウマを克服してからの方がいいだろう。
母さんにも父さんにも本当に迷惑をかけた。これからは精一杯親孝行できるように頑張ろう。
そんなことを考えていたら、自然と先程まで重たかった身体が軽くなった気がした。二年前に履いていた靴では小さいので勝手に父親の靴を借りて、俺は玄関の扉を開け、二年ぶりの外出に赴いた。
家から出た瞬間強い風が吹いた。二年ぶりに感じる外の空気感になんだか心を洗われた気がした。
風も俺を後押ししてくれてるんだな。
大丈夫。一人だけど一人じゃない。俺にだって自然という味方がいたんだ。
「風さん、ありがとう。行ってきます。」
俺はたまたま吹いた風の名を呼び、感謝の言葉を述べてから外出の挨拶をした。傍から見たらヤバいやつだと思われるかもしれないが、俺はヤバいやつではない。自然に感謝する善良なる若き少年だ。不審者ではない。決して、決して。
数分歩くと、やがて目的地が見えてきた。俺が二年前に転入した北海道の中高一貫高の中学部の校舎だ。
高等部とは少し離れているいて、高等部よりも小さいものの、やはり他の建物と比べるとかなり大きい校舎だ。
久しぶりにその校舎を見て、思わず俺は歩みを止めてしまう。あの学校には、忌まわしい記憶しかないからだ。俺の味方なんて誰もいない。大人の教職員だって、俺のことを助けてくれなかった敵だ。俺がいじめられてるのを見て助けようとしてくれなかった同級生達も言うまでもなく全員敵だ。
でも、一番の敵はやはりあいつらだ。俺のことをいじめのターゲットにしてきた六人組グループ。やつらこそ本物の敵。過去の俺の仇だ。
殺すまではしない。ただ、もう二度と俺に逆らえなくなる位にはボコボコにしてやる。それで手打ちだ。もう二度と関わらない様にすればいい。ボコボコにした後に下僕にしてやろうかとも思ったが、あんな糞野郎共は俺の側に置いておきたくないし、ただ、胸糞悪くなるだけだ。
今は丁度、昼飯前の授業が終わる頃だろう。それぞれがどのクラスにいるかなんて分からないが、それは最初にボコったやつに案内させればいい。
「ふうー。行くか........」
俺は改めて一度深呼吸をして、歩みを進めた。
そして、校門を潜った瞬間だった。
ピカッ!!!!!
急に眩しい光が空に現れて、瞬間俺のことをその光が襲った。
「うおっ!!!!」
俺は驚きの声を上げると同時に力強く両目を瞑り、両腕で身を守るように身構えた。
それでも暫くは眩しいと感じる時間が続いた。
そして、ようやく目が治りゆっくりと瞼を開けて見ると、俺の目の前には森が広がっていた.........。
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本当に、ありがとうございます。
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