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1章
1話 これってもしかして、異世界転移?
しおりを挟む「..........えっ..........?」
俺はポツリと一言そう言って呆けていた。
2年ぶりに外に出て、2年ぶりに学校の校門を潜った瞬間、ひかりに包まれて気がつけば森の中。
これは一体どういうことですか?
誰か至急説明求む。
うん。
そんなこと言っても誰も説明してくれないよね。わかってる。
だって、周りを見れば森しかないんだもん。
だーれもいないんだもんな。俺が何を言おうと誰もいないんだから返事が返ってくるわけないさ。
よし、落ち着け俺。状況を整理して現状を理解しないと何も始まらない。
それから数分間その場で長時間思考を巡らせて現状を理解した。
これは、もしかして、異世界転移というやつなのでは?
ていうか、これ異世界転移だわ。
冷静に考えれば簡単じゃないか。
久々に外に出た引きこもりの元いじめられっ子が突如謎の光に包まれて、気づけば別の場所に移動していた。
紛うことなき異世界転移だ。
テンプレだ。テンプレートだ!
よし、とりあえず現状は理解出来た。
さて、次はなぜ俺がいきなり転移したかという原因を探ろう。
異世界転移のテンプレといえば大きくわけて二つだ。
一つは何者かによる召喚。
もう一つは理由は不明だ。
前者の場合は召喚主が近くにいて俺に話しかけてくる可能性が高いのだが、既にここに転移させられてから十分近く経っている。それでも今だに俺に接触してきていないということは、こちらの線は薄そうだ。
てことは、後者か?後者であれば原作者としてはかなり楽だ。
.................はっ!!!
今なにかに取り憑かれた気がする.....気のせい?
えっと、どこまで考えたんだっけか....そうだ、前者の場合の線はかなり薄いからこの転移は謎転移という線が現段階では一番高いということだ。
そもそもここが異世界でない可能性もあるわけだが、今は異世界ということにしておこう。
別に異世界系のネット小説にハマって自分も異世界に行ってみたかったとか思っていない。
俺もしかして異世界転移物の主人公的なやつになれるんじゃねとか思っていない。
とりあえずこれで原因も断定出来た。
さて、次は待ちに待った俺のチートスキルとは一体どんな性能なのか確認する作業に入ろう。
そりゃいきなり異世界転移したわけだし、もちろん俺にはチートスキルがあるはずだ。ていうかわなかったら生きていけないだろ。
まずは、スキルの確認だ。
とりあえず俺は「スキルオープン!」「ステータスオープン!」とかそれっぽいスキルが確認できそうな謎の呪文を唱えて見たり頭の中でイメージしてみたりしたのだが、全くもって意味はなく、なにも分からなかった。
くそ!!!!!これじゃあチートスキルがあっても意味ねえよ!!!使い方も性能もわかんないチートスキルとかただのゴミスキルだよ!!
ていうか、そもそもスキル自体ない可能性もあるのか.........。
いけないよ。それはいけないことだ。チートスキルがないなんてありえない......。とりあえず今はスキルについては考えないことにしよう。
とりあえず大体の現状は整理できただろう。
と、そこでお腹がグゥーとなってしまった。
そう言えば家を出る前に昼飯を食べてこなかったんだった。
どうしようか......。
周りに食べられそうな物は.......ないな......。
まあ、せっかく異世界転移したんだし、探検ついでに食料探しでもするか。
俺はそう考えつくとすぐにその場で両手で頬を2回ほど叩き気合をいれて、その場から動き始めた。
そして、暫くしてから俺はこの場所にきてから初めて自分以外の生き物を発見した。
その生き物と俺との距離は数十メートルは離れているだろう。その生き物は俺の存在にはまだ気がついていない様子だ。
俺はその生き物に気づかれないように素早く近くの木陰に入って身を隠す。
なぜ身を隠すのかって?
それは仕方ないだろう。
なんせ、俺が初めて出会った生物は、俺の知識にはない、文字通り異世界の生物だったからだ。
体長は大体130cm程だろう。肌の色は全身緑。顔は人とは比べ物にならない程に醜い顔だ。耳なんかは長く尖っている。あれは紛うことなきゴブリンだ。
異世界の亜人種の魔物、ゴブリンがそこにいた。
俺は思わず声を上げそうになったが、慌てて両手で口を覆って息を殺した。現状俺にもしもチートスキルがなかった場合、たとえゴブリンであっても俺に勝つ術はないからだ。
現実的なネット小説の中では、ファンタジー最弱種のゴブリンですら、普通の一般人では成す術なく殺されてしまうのだ。
それは俺も例外ではない。これは夢の中の出来事じゃないんだ。これは現実に起こっていることなんだ。俺はまだ死ぬわけにはいかない。死にたくないんだ。
だから、ここで無駄に命をかけるような真似はしない。
と、考えていたのだが、不意に木の枝から毛虫が目の前に落ちてきたことで俺は悲鳴を上げてしまった。
「うぉおおっ!!!」
不意の出来事だったのでかなりの大声を上げてしまった。そして、慌てて先程見つけたゴブリンの方を見てみると、ゴブリンの方もこちらを見ていて、瞬間ゴブリンと目が合った。
まずい.......。これはヤバい......。
早く逃げなければ.........。
そうは、思っていても全く足が動かない。初めて経験する本物の死の恐怖に足がすくんでしまったのだ。
俺が動かないのを見ると、ゴブリンは奇妙な笑い声を上げて!気味の悪い笑顔で俺に向かって駆けて来た。
やばい!これじゃ本当に殺される。俺は竦んでいる両足を両手で何度も殴り、何とか足を動かそうと試みる。そして、ようやく足が動いてくれたところで俺はゴブリンの体当たりをまともにくらう。
「ぐぉっっっ!!」
俺は言葉にならない悲鳴を上げてゴブリンに押し倒された。ゴブリンはそのまま俺の上に跨り、俺の顔目掛けて何度も拳を振り上げては振るってきた。
俺は必死に両腕で顔面をガードしようとしたが、ゴブリンはガードの上からお構い無しに拳を振るってくる。
「ぐっっ!!がっ!!いっ!!!」
俺は経験したこともないあまりの痛みに悲鳴を上げる。奴らにいじめられていた時の暴力など生ぬるいと感じるほどの圧倒的暴力に俺は心が折れかけていた。
だんだんと意識が遠のいて行くのが感じられる。
あー。俺ここで死ぬのか.......。
まだまだ、やりたいことあったのにな.......。
死にたくないな.......少なくとも奴らに復讐して親に今までのことを謝るまでは死にたくない.....いや、死ねないんだ!!!!!
俺はそう決意した時、ガードに使っていた右腕で、地面を探り、近くに何か武器になりそうなものがないか探す。
その間も何度も何度もゴブリンの拳が襲ってくるが、既に痛覚は麻痺していて痛みは感じなくなっていた。不幸中の幸いというやつか。
そして、俺は右腕の近くに片手でギリギリ持つことが出来そうな中くらいサイズの石を見つけた。
俺はその石を見つけるのと同時に、右手でしっかりと石を掴み思いっきり横からゴブリンの頭を石で殴りつけた。
「ゲギァッ!!」
ゴブリンは、その衝撃で気味の悪い悲鳴を上げるのと同時に頭を両手で抑え出した。俺はその隙を逃すことなく、直ぐにもう一度ゴブリンの頭を石で殴る。
二度目の攻撃もまともにくらったゴブリンは、思わず足の力を抜き、俺の拘束を緩めた。
俺はそれを逃すことなく、今度は逆にゴブリンを押し倒してマウントポジションをとる。
今も尚、頭を抑えているゴブリン。頭からは青い血がドクドクと流れていた。
俺はそれを気にすることなく、ゴブリンの喉笛目掛けて両手に持ち替えた石を思いっきり叩きつけた。
「ゲァッッ!!」
ゴブリンは、声に鳴らない悲鳴を上げて思わず両手を頭から離してしまう。俺はすかさず再度両手で持った石を振り上げて今度は、ゴブリンの顔面目掛けて思いっきり振り下ろす。何度も何度も振り上げては振り下ろす。
どれくらい殴っていたのか分からない。
少なくとも二桁は軽く超えて殴っていただろう。
気づけば、ゴブリンは既にぐったりとして、絶命していた.........。
ああ、俺もすぐにこうなるのかな.........。
相打ちってやつか.............。
もう、先程感じていた痛みも全く感じない...........。
だんだん寒くなってきた..........。
だんだん近づいてくる死を感じ、身体が震え出す。と同時に頭の中に声が響いた。
『八の経験値を取得しました。レベルアップしますか?』
あ?ああ..........。
その声が聞こえてきた瞬間、俺は無意識のうちに了承した。
そして俺は再度光に包まれて、気がつけば俺の一番馴染み深い場所に転移していた。
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
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