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1章
22話 成長
しおりを挟む魔石でステータス強化を終えた後、オレはすぐに森の中に戻ってきた。謎部屋に行く前まで身体には無数の穴を開けられ、血まみれでズタズタボロボロだったはずの俺の身体には傷一つついていなかった。蘇生半端ない........。
とんでもない数になってしまったスキルポイントやソウルポイントには一切手はつけていない。というよりも手をつけられるような状況じゃないというのが正解だ。
だって、俺が死んだあとに出会った女神様の力で俺のステータスは月とスッポンレベルで豹変してしまったから。正直いってしっかりと扱える気がしない。だから、何もしなかった。
これ以上スキルを増やしたり、ステータスを強化しすぎたら、能力に振り回される道具となってしまいかねない。だから、今は今の自分に慣れるために自分の力を確認するのが最優先とした。まあ、だったらなんで世界の害悪の魔石でステータス強化なんかしてんだよって思うかもしれないが、ツッコミはノーサンキュー。あの時の俺は青かったのさ..........。
とまあ、冗談はこれくらいにしておかないと本格的に森の中で一夜を過ごさなければいけなくなる。さっきまではここで一夜明かすのも覚悟していたが、二人がいなくなってしまったから、そんな覚悟なんて何処かの彼方へ行ってしまった。
そう、二人はもう俺の傍にはいない......................だめだ。やめよう。考えたらだめだ。さっきお互い強くなろうと約束したんだ。こんな所で別れを悲しんでる場合じゃない。二人は神様直々に鍛えてもらうんだから、成長速度は凄まじいことになるだろう。主人である俺が置いていかれるわけにはいかない。
そのためにも、まずはこの森から出て、人里を見つけて、ゆっくりと英気を養わなければいけない。
俺はスキル、マップを発動する。
発動させた瞬間、目の前にゲームウィンドウのようなものが瞬時に飛び出てきた。あまりの唐突さに驚き、尻餅をつきそうになったがなんとかこらえて出現したマップウィンドウを見る。
【現在地 カルの森】
マップウィンドウの一番上に現在地と、現在地の地名が記されていて、マップウィンドウの中心がカルの森となっている。そして俺の現在地を示すアイコンのようなものが赤く点滅している。確認すると、どうやら、俺は森の中心にいるみたいだ。
.............いや、まさかかなり歩いたのに、出口じゃなくて中心に向かって歩いてるなんて思わなかったわ。こういうのは適当に歩いてれば出口に向かってるご都合主義設定を活かせよ? なんで中心向かってんだよ..........。そりゃ出れるものも出れないわな........。
はあー............。まあ、気にしてても仕方ないか。
俺は無理やりに気持ちを切り替えて、再度マップウィンドウを見る。使い方は既に把握してる(だったらなんで最初に驚いたんだよとかいうツッコミはいりません)ので、現在地から一番近くにある人里を検索機能で検索する。
検索を実行した後、すぐに結果が示された。
えっと、なになに? 一番近くにある街は、現在地から20キロ程離れたところにあるデルの街......か..........。
街の規模は、そんなに大きくはないけど、特別小さいともいえない。まあ、中規模程度か。ってなんだよ中規模程度って? 説明がざっくばらんすぎんだろこのマップ? こういう感じなの? レベルMAXになってから進化したはずなのにこんなる雑な感じなの? びっくりだよ!?
........ああ、もういいや。こうなりゃ何でも来いだ。もう便利なるそれでいい。森の出口も街の場所も分かったんだからオッケーだ。何も問題はない。小さいことは気にしないでワカ〇コしてラブ注入だ。それでオッケーだ。
んじゃま、早速出発するか。
とはいってもいきなりダッシュしたら大変なことになるだろうことは学習している。てか、敏捷が十数倍になった今、最大速度を理解しないまま最大速度を出したらどうなってしまうのだろうか? 同時に身体が頑丈になってるから俺の身体は大丈夫だとは思うけど、下手したら止まれなくて街を破壊とかありえるよな?
.............うん、やっぱり徐々に速度を上げていって自分の力を確かめることから始めるのが正解だな。
まずは、軽いジョギング程度の速さ。
うん、普通だ。良かった。ジョギング程度の速さまで異常だったらどうしようかと思ったが、これくらいなら常識の範囲内だろう。普通の一般ピーポーだ。次から徐々にスピードをあげていく。時速10.........15........20.....30.........40...........50。
ああー。うん。やべえな? いややべえよ!!!!てかやべえなんてやべえじゃねえよ!?!? 激ヤバだよ!!!! もう既に世界最速の男よりも5キロも速く走ってるよ? てかまだまだ余裕でスピードが上がりそうだ。てか上がるわ。
はははっ。やばすぎて乾いた笑いしか出てこねえわ.......。ていうか、速度じゃなくて動体視力とか身のこなしもとんでもないことになってるわ。森の中で、無数に非規則的に存在している障害物をぶつかる紙一重で避けながら速度を落とさないで走るって普通に考えて人レベルを超えちゃってるよね? いや、どんだけ俺の肉体改造されてんだよ? 仮面のバイカーもビックリするレベルの改造っぷりだ。
とか考えながら走れてるっていうのも異常だし、てかそんなこと言ってるうちにもう森の出口にたどり着きそうだ。何時間もかけて森から出ようとしてた俺は、気づけば出ようと思って数分もしないうちに森の出口にたどり着いてしまった。
...........気にしない...........気にしたら負けだ..............
よっしゃ!!!やっと森から出られる!!!!ヒャッホォイー!!!!!!!!!!イェイーーーイイェイーーーイ!!!ジャアーーースティーーー.............。
.............虚しいだけだな.......やめとこう...............。
「はあー.........。」
思わず溜息が出た。それくらいの虚しさだったってことだ。
さて、森からは簡単.........に出られた。森からは出られたが、目の前に広がっているのは、草が生い茂った草原。辺り一面緑の大地だ。
街道的なのはないのかな? 一応検索してみたら、あるにはあるようだったが、ほとんど整備されていないような名ばかりの街道のようだ。
んー。ここら辺は田舎......いや、異世界用語でいう辺境の地とかそんなところなのかな?
まあいいか。とりあえず街に向かおう。
では、早速ダッシュ.......と思いっきり突っ走ろうと思ったら物凄い音が俺を襲った。
「ギョオォオオエエイエオオ!!!!」
「ぅおっっ!?!?なんだよ!?!?」
俺は音の聞こえた方向に目を向ける。
「.......はははっ.......まじかよ......やっぱり異世界だからな......そりゃあいるか.........。」
俺は視認した存在を思わず否定しそうになったが、ここが異世界だということと、そこら辺に魔物がいるという真実を既に経験していたことを思い出し、納得する。
それにしても、いきなり竜ってまた俺死んじまうかもな.......。
と考えながら、何の気なしに空で吠えた竜の下を見た。
人だ.................。
まじかよ!?!? 人だ!!!! 人がいやがる!!!! ゴミのような人数はいないけど人がいる!!!!!
いや、落ち着け俺!!!
街はが存在している時点で人がいることなんて分かってたじゃないか。てか、そもそも俺は人見知りの引きこもりなんだぞ? やべえな。親以外の人と話すのなんて二年ぶりだった。ちゃんと話せるだろうか..........。
そう考えているあいだに、竜が下に向かって急降下していき、人の群れとその中心に位置している馬車?を襲い出した。
ってよくよく考えたらなんで俺あんなに遠い場所で起きてる事態を目の前で見ているかのように見えてんだよ? なんか目が良くなるスキルなんて.....持ってたな........。千里眼......持ってるわ.....。
って冷静に自分の能力の確認してる場合じゃないな。
早く助けないと....................。
今更あんなただの竜が如きにビビる俺じゃない。
俺はあんな雑魚なんかよりももっと凶悪で醜悪で恐ろしい存在と対峙した経験がある。手も足も出ないままに虐殺された経験がある。
死ぬことは確かに怖いことだが、今更死を恐れて逃げるような弱い存在じゃない。それに俺には残基が50万もある。
痛いのは嫌だし、もうあんな地獄のような経験なんてしたくはない。
でも、襲われている人たちを目の前にして、逃げるようなクズに成り下がるくらいなら痛みでも死でも受け入れていやるよ!
あの二人に自慢できるような立派な主人でいられるならそんなの些細なことだ!
はっ!!! 覚悟しやがれクソ雑魚ドラゴン野郎!!!!
俺がてめえをぶち殺してやるよ!!!!!
俺はそう決断するのと同時に、全速力で、数キロ先で人の群れを襲う竜の元へ駆けた。
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