鬼来タル。

下郡ばった

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鬼来タル。

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昭和30年代の話だった。
それは節分の日の夕方でどこの家からも鰯を焼く匂いが漂っていて、ごく日常的に夕飯の支度をする頃だった。
大沢家の玄関がタンタンタンと叩かれた。
この大沢家の亭主、大沢慎太郎は魚が苦手であった。
全般的に魚を好まないのだが、なぜか鮎や岩魚といった川魚だけは少々喰らう事もあったという。

しかしながら、特に鰯の匂いが大の苦手だった。
最近ではすっかり見かけなくなったが、当時では節分の厄除けに鰯の頭を柊のひと枝に挿して、玄関に掲げておくといったような風習が残っていた。
大沢家では節分に鰯を焼かないので、ご近所から鰯の頭だけを御裾分けしてもらって玄関に掲げる。
それも亭主に言わせれば、毎朝出勤時、帰宅時にその匂いとイヤでも鉢合わせになるというので、昨年はそんな風習をやめてしまった。
なに、豆だけ撒いておけば、厄除けには十分だといったものだったのだ。

さて、玄関の戸が叩かれたものだから、家内の静が見に出向いた。
格子にガラスが嵌まった引き戸越しにはちょうど子供ほどの背丈が映っている。
そっと開けてみると、ちょうど当時の平均身長で五つ七つぐらいの歳の子供が数人佇んでいた。

それにしても、見るにずいぶんとみすぼらしい子供達だった。
二月の夕暮れ時だというのにほとんど裸同然である。
頭髪は当時の男子には丸刈りが普通ではあったが、毛髪がないに等しい。

終戦を迎えてまだ十年とは経ていない。
もう、ほとんどそんな子供も見る事はなくなったのだが、いなくなったわけでもないだろう。
気の毒には感じたのだったが寄付を募るというならば、こんな夕方に子供だけというのも不審に思える。

「あらあら、どこか御家を間違えたのかしら?」

静は前に屈み込み。子供達に向かって穏かに話しかけた。

「あぁっ!」

目の高さに屈んだ拍子に幾人かの子供が静の体の下に潜り込み、担ぎあげて家の中にドカドカと運び込んでいく。
台所の釜土は吹き上がり、もうすでに焦げ臭いニオイを立て始めていた。
居間に降ろされた静は引きちぎるように着けていた割烹着を剥ぎとられ、子供の姿をした何かが寄って集って着物を剥ぎとられる。
女三十七歳にして、立ちどころに素っ裸に剥かれてしまった。

異変に勘付いて階上から下りてきたのは娘のハツエだった。
驚嘆とも悲鳴ともつかぬ母の声が時折漏れて聴こえ、始終ドタバタと慌ただしい物音がする。
居間に足を運んで目にしたのはあられもない母親の姿だったのだ。

「早っ・・・逃げ・・・」

 もう半ば絶望的と分かっていながらも静は娘を庇おうと四つん這いになり、もがく。
それらは体が小さいが意外力は強く。見た目より重い。
上体を捻り腹這いに這うといくつかの者は奮い落ちたが腰にふたつと上体の下にまだひとつしがみ付いている。
腰に乗った者はそのまま覗き込むように肛門に舌を挿し込んで、太腿にずり落ちたのが膣孔に手を突っ込みながら、尚且つ女の蕾を引っ張り起こす。
脚を胴に絡め、ぶら下がった者は乳房に吸い付いて離れない。さすがの静もここで動けなくなる。

一方、母のあられもない姿に茫然と佇むハツエの方はといえば、たちまちになぎ倒されて当時は常用していた長丈の下着をも剥ぎ取られてしまう。
母親譲りでそれなりの大きさはあった張りのある十七歳の乳房を尖るように硬ばらせた。
小石のように硬い乳首にころころと舌を絡められ、小さな手のひらで目一杯に拡げられた陰部は舌と指先に掻き回される。
バタバタと抵抗する脚を数本の細くて小さな腕に抱え上げられると、無防備に開く引き締まった陰部にペニスを挿し込まれた。

「んっ・・・」

口を大きく開き、はぁはぁと息を吐き出す。そうしてハツエはしきりにカブリを振った。
母親のようにペニスで口を塞がれているわけでもないのだが、悲鳴ひとつ漏らさない。

目の当たりにした母、静は恐怖のあまり声もでないのかとハツエに心を痛める。
とはいえ、どうにかできるものでもなく与えられる刺激に体は重く意識は朦朧としてくる。
その中で女というものは何か哀しいものだと静はどこかしらから感じていた。

「財布の緒と娘の股は知らないうちに開く」
昔はそんな事を言ったものだったが、静はハツエの処女を確信していた。
それにも関わらずハツエの方は最近、性交を覚え始めたところでより、性的に感じやすい。
相手が異次元の産物か、もしくは悪夢であったとしてもその体は与えられる快楽に逆らう事はできなかった。

 そこにようやく、主である慎太郎が帰宅した。
ハツエの肛門を舌で拡げていた者と静の乳首を貪っていた者。
それと続いて腋の下に舌を這わせていた者が迎撃に出た。

「何だ!?お前たちは?」

玄関で父の声が響くとパチンパチンと弾ける音がして、しばらくしてから玄関の戸が勢いよく閉まった。
亭主慎太郎は家中で起こっている出来事など想像もつかず、節分の行事か何かで近所の子供が集まっていて、悪戯にカンシャク玉でも投げられたのだろう。

この日、慎太郎は早くに帰宅する事を避けた。夕飯時の鰯の匂いを避けたと言った方が早い。
立ち飲み屋でどこかしこの家からも立ち上る鰯の焦げる匂いが収まるのを待ち、ゆったりと帰路に赴いていた。
どういう事情なのか分からないが近所の子供達に節分の鬼扱いされたのをいい事に、もう一杯ひっかけようと屋台に腰を下ろす。

一方、ハツエは子宮を押し上げられる快楽にとうに絶頂を迎え、膣孔を絞め込んで腰を震わせる。
それでも容赦なく股間に奮われる激しい衝撃。
ハツエの知ってる男の感触よりもそれは細長く、突き当たって子宮の入口を直接突き刺されるような感触に半ば失神状態となる。
不意にその刺激から解放されると、どぷり・・・と生臭い大量の粘液を膣孔から噴き出した。
なん言い表そうか、淫靡な性交の匂いというよりもどこかナマ臭い感じの草の匂いに似ている。

「ふぅ・・・んっあっ!!・・・」

射精が済んだら、次のがすぐに被さってくる。
異様に長いペニスを利用して股越しに肛門にペニスを挿し込もうとする者がいる。
そんな所まで犯されてたまるかと、ハツエは肛門をきゅっと絞め込んだ。
しかしながら、少し油断すれば一旦は子宮まで突き上げられて、一気に引き出される膣孔の感触に連動して、肛門までパクパクと開いてしまう。
性交に没頭してた者が頭から腹の上に振って来た。
それが乳首を波状的に吸い上げる者の頭にぶつかる。
これらはそれでも、淫らな行為を決してやめようとしない。
痛いという感覚がなくて、性的な快楽だけで生きているのだろうか?
若いハツエにはちょっと羨ましい気さえした。

どぷりと音を立てて、性器からまた粘液が噴き出した。
それは乳首を刺激する者達の頭に飛び散る。
また射精が終わったのかと思えばそうでもないようだった。
膣孔にペニスを挿し込んでるのがそこをまだ譲らない。
これらは射精すると、すぐに場所を退けるように見える。
腰を高く持ち上げられて、ハツエの膣内に充満した精液が零れ落ちたに過ぎなかった。
そうしてハツエはぬるりと大便を漏らしたような感触に襲われる。
とうとう肛門まで犯されてしまったのだ。

 違和感はあったけど、それも悪くはなかった。
ペニスが長細い上に柔軟性がある。
か、といって射精を済ました状態のように柔くて抜けてしまうような状態でもない。
体の造りが違うのか、ペニスは萎える事を知らず母子の膣孔と肛門に交互に射精し続ける。
ハツエの肛門を犯したペニスは直腸を貫いて、小腸を少し曲がった辺りを突き上げた。
その作用で便意をもよおして、その切ない感覚が足の裏を引き攣らせる。

パシッ・・・シャー・・・

ハツエのすぐ顔の横の畳に何か飛び散った。
母を見ると二人の者にお神輿のように担ぎ上げられ、ゆっさゆっさと揺らされる。
挟み込まれて持ち上げられる静の体は肛門と膣孔を同時に犯されて、小便をなみなみと漏らしていた。
その顔はもう、ひとりの女の表情をして恍惚と荒い息を吐いていた。

ハツエは平気だった。
自分だって、オシッコだってウンチだって漏らしてしまってもいいと思えた。
時間にして、約二時間ほどの間だった。
それらはいつしか、慌ただしく退散して後には快楽に疲れた二人の女の体と生臭い体液だけが残される。

「初めて・・・だったんでしょ?」

静の声は涙に震えていた。
女達の膣孔と肛門からはまだ、青臭い粘液が滴り出る。
ただ、汚れた畳の上に二人は身を横たえた。

「 ううん・・・五郎ちゃんと・・しちゃったの・・・」

静は娘のその声を聞くと、ふん・・・と黙ってうなずいた。
ハツエはいつか、母親にだけは告白しなければならないと思っていたがこんな時でも事なく伝えたられた事に少しは安堵した。



慎太郎が再び、我が家の玄関を開けた時には家の中はすっかり片付いていた。
妻と娘の様子に何事の異変もなく、あえて不審をいうならば草をすり潰したような匂いが微かにして、今頃になってふたりで夕飯の支度をしている。

「何だったんだい?あの子らは?」

背広から長襦袢に着替えた慎太郎が尋ねた。

「あの子らって?」

ハツエが返した。
まだ気持ち湿った畳はどこか生臭いようだったが、父、慎太郎が特に何も言わないのはご近所の鰯の匂いで鼻が麻痺してるのだろうとハツエは思い込んだ。

慎太郎は夕飯がやけに遅い事も、一度帰宅した時にいた妙な子供達の事もそれきり何も言わなかった。
ただ、ちょっとしたご近所の用事で家を空けてしまった事で飯を焦がした事を詫びる妻の言葉に「ふうむ。」と頷いただけだった。





異変はその後起こったのだった。
それから、ハツエも静も月経が停まったのだ。
双方それ以来、口には出さなかったが母子で共に体験して、後片付けまで慌てて済ませた事は悪夢ではない。
まず一番に考えられる事は当然、妊娠・・・
少々なら遅れる事もある。ふた月が過ぎて三月を過ぎると母子共に下腹部が膨らみ始めてきた。

ハツエは恋人の五郎と性交を頻繁に繰り返しては「大丈夫だから」とあえて避妊をしなかった。
もう、妊娠してしまっているのだから、今更その必要もない。
五郎と呼ばれる青年も、もうすっかりそれが習慣になって何も言わなくてもハツエの中に射精する。
当時の男子なら、避妊法や妊娠についての知識は白痴に近いのも当然だった。

妻の陰部から顔を上げて、慎太郎は呟いた。

「お前、最近太ったか?」

「そうかしら?」

黒々と茂る陰毛を麓に蓄えて張り出した白い腹が目についたのだろう。
ハツエはいざとなれば五郎の子だと言い張るつもりがあったが静にはそうはいかない。
そうは言ってもどんな子供が生まれてくるか分かったものじゃないのではあるが・・・

ハツエを連れて、どこか遠くの病院に中絶に行く覚悟をした。
事情を訴えられない事情から、掛かるとすれば当時ならば闇医者に近い。
十七歳の娘がいて、もう妊娠する必要もない静はともかく、ハツエの将来を思えばそれを躊躇わせる。
かくして、もうそろそろ処分しなければ、事態は日に日に悪化するのは明白なのだ。

そんな折、母子は同じ夜に眠ってる間に子宮がパチンと弾けたような感覚を覚えた。
それはまるで眠りの中でブラジャーのホックでも外れたかのような軽い感覚であったため、母子共に起き上がるにまでも至らなかった。
下腹部は決して、臨月というにはほど遠い。
慎太郎がそれに気づいてから、やや張り出したかも知れないといったところだった。
妻の下腹には気がつくかも知れないが、娘の下腹まで慎太郎は気をおかない。

その朝、目覚めたら布団のシーツに無数のミミズが這い出るような血の跡が残っており、それは布団から這い出したあたりで忽然と消えていた。
その後の母子の身体には、これと言って異常はなかった。

あえてひとつ異変があった事といえば、ハツエはその時以来、耳かきを使って尿道や子宮口に挿し込む奇妙な自慰行為を覚えてしまった事を付け加えておこう。


ー完ー 
 
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