追放されたので千年後に転生しました~その幼女、元転移転生魔術師の再来~

がっきー

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第一部 転生編

元転移転生魔術師、転移魔法を連発する 後編

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「え……何を……キャア!」

 ワシは、女騎士の衣服をめくってみた。膨らんだ胸の、乳首が見えないギリギリ辺りまで。彼女が恥ずかしそうに赤面していたが、それ所ではない。

「うわ……」

 めくってみて確信したのじゃ。キズの多さと深さにの。
 至る所に切りキズ、差しキズがついており、今も出血が止まっておらん。
 特に腹部じゃ。かなり深いケガを負っておる。

「これはいかんの……。まずはキズ口を塞がねば……転移魔法――発動! いでよ……」

 手を掲げ、即座に転移しようとする。

「――貼るだけ☆絆創膏!」

 ワシが手に持ったのは、指くらいの大きさの貼りもの。
 十枚程度はある。

「こ、今度は何を出したんだ……?」

「治療用の道具じゃ。粘着性があっての。テープともいうらしい。時間がないので、キズ口に貼らせてもらう」

「えっ、どういう……あっ……あっ」

 さっそく、女騎士のキズ口に貼っていく。
 一枚、二枚……。キズ口が広い箇所には、複数枚重ねていった。

「よし……よし……よし……。どうじゃサージャ。こヤツの様態は?」

『出血の停止を確認。それにともない、キズ口の塞がりを確認。絆創膏を外しても支障はないでしょう』

「は……塞がった……?」

 サージャの説明に、疑問を口にした女騎士。
 彼女自身の手で絆創膏を剥がす。すると確かに完治していた。

「キズ口が……無くなっている……?」

「成功じゃな。治療完了じゃ」

「そんな! ただ貼っただけじゃないか! それを一瞬で! あれだけのキズを跡形もなく治せるなんて、上級クラスの回復魔法でも考えられない!」

 女騎士が自分の身体の変化に驚き、再び動揺してしまった。やれやれ、キズ口が塞がったからいいものを……。

 まあ、言わんとする気持ちも、分からん訳ではない。
 確かにワシから見ても、小さなテープを貼っただけでキズが完治するなどあり得ないと思う。

 じゃが、この貼るだけ☆絆創膏は別じゃ。いや違う。
 ワシの転移魔法で呼ばれた道具はみんな、強力な効果を宿すようになる。
 包み☆ふろしきで突然女騎士を持ち上げられたのも、宴会☆着物☆帯を巻いただけで鎧を脱がせられたのも、全てに共通点がある。

 異世界転移による影響というヤツじゃ。
 ワシの魔法で、異世界【日本】から転移された時、実体を形成する影響で魔力を含んでいく。その恩恵によって、普通以上の効果が発揮できるようになるのじゃ。

 まあ、普通の基準はたかしによるものじゃ。ワシは異世界【日本】に行った事がないからのぉ。

「驚くのも当然じゃろう。じゃが、病み上がりゆえに安静にしてほしい。話がしたいなら後で……」

『マスター、悪い知らせです。モンスターの集団が迫ってきました』

 モンスターの集団?
 女騎士をなだめようとした矢先にか?

『数は十匹。ゴブリン九匹、オーガ一匹。持っている武器は、ナイフと槍、オーガのみ棍棒。この秘密基地に近づいています』

「な……ゴブリンに……オーガだと……!」

 サージャの警告を聞き、女騎士の表情が張り詰める。
 そう言えば、こヤツ、オーガとゴブリンに襲われたと言っておった。まさかその連中が……?

「きっと、目的は私だ……。私にトドメを刺そうと迫ってきたんだ……」

『マスター。彼女のキズ口と、モンスターたちの武器の形状を照合するに、同一のものである確率は九十九パーセントです』

 なるほど、その者たちは、女騎士という仕留め損ねた獲物を追いかけてきた、と言う訳じゃな。
 そもそも、この近辺にオーガやゴブリンが出るなどあり得ぬ話。サージャの分析どおり、同一のモンスターで間違いないじゃろう。

 やれやれ、今日は来客が多い一日じゃい。

「お主は休んでおれ。ワシが外に出て、文句を言ってくる」

「なっ……! 何を言っているんだ! バカなマネはやめろ!」

 ワシを止めようとしておるのか、せっかく横になった上体を起こそうとしている。しかし肘が震えておる。疲労によるものか、恐怖によるものか。

「心配せんでええ。ちょちょいと出かけるだけじゃ。すぐ終わる。お主は布団の上で、安静にして休んでいればよい」

『マスターなら問題ありません。先ほど述べたモンスターが相手でも、九十九パーセントの確率で生き残るでしょう』

「いや……何をバカな事を……。君は幼女だろう! モンスターの集団を前に、問題ない……? そんな訳ないだろ! 君一人行かせる訳にはいかない! せめて私も……」

「あーもう、うるさい! これでも食っとけ!」

 快復した訳でもないのに、立ち上がろうとする女騎士に、ワシはとうとうシビレを切らしてしまった。
 具体的にどうしたかというと、ちゃぶ台の上に置いてあった食べかけのカップラーメンを食べさしたのじゃ。

「もが……! な、何……! ……う、うま……!」

「どうじゃ、美味しいじゃろう? 口の中が熱々でとろける食感に襲われるじゃろう? んでもって、しょっぱくて濃厚なスープが口内を覆っておるに違いない……」

 ワシはカップラーメンから割り箸を取り出し、つかんだ麺を女騎士の口に無理やり入れてやった。ワシが食べた時に味わった感想を、口にしながら。
 するとどうじゃろう。女騎士の険しい表情が、みるみる瓦解。美味しそうに脱力していくではないか。

「お、おいひい……! こんな、こんな美味なもの……貴族の晩餐会でも味わった事……にゃい……!」

 麺をすすりながら感激しておる。
 さて、こうなっては食べ終わるまで身動きはとれんじゃろう。
 今度こそ、おとなしくしてもらうからの。

「さて行くぞ、サージャ。分析は任せる」

『はい。了解しましたマスター』

「ま、まへぇ! く……おいひすぎて、動けにゃいぃ……!」

 箸を片手に、カップラーメンをすすり続ける女騎士は置いていく。
 サージャを持って、ワシは秘密基地の外に向かっていった。

 さて、今度はモンスターの軍団か。
 ワシの転移魔法、今度は戦闘シーンで見せてやろう。



************************

【サージャ】≪『第三話をお読みいただき、ありがとうございます』

【サージャ】≪『マスターが次々と転移魔法を披露し、女騎士をまたたく間に治してしまいました』

【サージャ】≪『しかし、マスターの力はこうした支援に留まらなかったのです』

【サージャ】≪『そう、かつて妖精だったあの時、冒険心で故郷を飛び出し、道中モンスターに襲われ死にかけた私を助けるため戦い、命拾いさせてくれたように……』

【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
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