追放されたので千年後に転生しました~その幼女、元転移転生魔術師の再来~

がっきー

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第一部 転生編

元転移転生魔術師、プリンで圧倒する 前編

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「おいおい、ガキが出てきたぜ」

 ゴブリンが、ワシを指さして笑っている。

「何だありゃ? 自殺志願者か?」

「いやいや、あんなナリでも、オレらに繁殖されたいんだろ」

「ないわー、さっきの女騎士の方がよかったわー。あんな小さいんじゃ、赤ちゃん産めねーだろー?」

「いやいや、ああいうのは育てとくんだよ。んで、大きくなってから、美味しくいただくんだ。よく言うだろ? 楽しみは後にとっておくって」

 ゴブリン共がニヤけた顔で、好き勝手な事を述べていく。
 当然、ワシへの悪口。いや、女騎士も含まれておるか。
 相変わらず交尾の事しか頭にない連中じゃな。千年たっても、性根は変わらんらしいのぉ。

「サージャ、こヤツらのステータスを確認してくれ」

『了解しました。……モンスター、オーガ一匹、ゴブリン九匹。オーガのクラスはC級。ゴブリンはE級に相当します』

 「なるほど……。千年前と変わらん、という訳じゃな」

 C級。モンスターのランクを聞いて、ワシは納得した。
 
 モンスターには、強さによって等級が振り分けられておる。E級が一番弱く、S級が最高で、魔王かその幹部が該当する。
 それでC級とは、騎士や冒険者が複数人で戦う事を推奨されており、一人で戦おうものなら、殺されるかもしれない強さじゃ。

 オーガとは、手に持った棍棒、額に生えた角二本、ゴブリンとは比較にならぬ巨体。
 女騎士が負けたのは、無理もない。思わぬ強敵が出てきたもんじゃ。

「親分、せっかくだし、あの子も攫っちまいましょうぜ」

 と、ここでゴブリンがオーガに耳打ちをしていた。
 ゴブリンの声は、サージャを通じて聞こえておる。【アプリ】というヤツのおかげじゃな。

「女騎士より貧相だが、腹の足しにはなりまさぁ。ガキの肉も骨も柔らけぇから、親分なら丸々喰えますぜ」

「確かに……腹ごしらえをしたかった所だ。お前、中々悪い事考えるじゃねぇか」

「いえいえ、親分ほどでは。それじゃ人探しのていで、近づきますんで」

 ヤツらの内緒話は、ワシに筒抜けじゃった。
 やれやれ、食べるとは物騒じゃの。ワシが腹の足しとは、ヤツらよっぽど空腹と見える。
 よかろう。なら、あの転移魔法でたらふく食わせてやらんとな。
 ワシがゴブリンたちに対する戦い方を決めた所で。

「お嬢ちゃ~ん、怖くないよぉ~?」

 ゴブリンが一匹、甘い声を出しながらワシに接近してきた。背中に隠したナイフがチラッと見えている。

「ボクたちね、人を探してるんだ。よかったらいっしょに手伝ってほしいなぁ~?」

 甘い声で言い終えるや否や。
 ゴブリンがナイフを出し、ワシに向けて振り上げようとした。
 その瞬間――

「転移魔法、発動――!」

 ワシは手を掲げ、魔力を込める。

「……へ?」

 ゴブリンは呆けていた。
 まさか幼女が魔法を使えるなんて、夢にも思ってなかったのじゃろう。

「いでよ! ――プッチリ☆プリン!」

 ワシが転移したのは、カップ入りのプリン。
 落下するソレを手に持つ。即座にゴブリンに向けて構える。
 そして、カップの底にある小さなつまみを、プチッ……と折った。


 ――パァァァン!


 同時に鳴る、破裂音。

「おむ……?」

 ゴブリンの顔面に、プリンがぶつかっていた。
 その衝撃のせいか、ゴブリンの顔が潰れておる。
 何が起こったのか分からんのだろう、そんな声を出しながら、絶命したのじゃった。

「え……?」

 ゴブリンだけでない。
 オーガも、並んで見ていたゴブリン共も、呆気にとられておる。
 まあ無理もなかろう。ワシが突然、この世界に存在しないはずのカップを転移してきた。かと思ったら、破裂音と同時にゴブリンが死んでしまったのじゃ。

 まさかプリンで撃ち殺されたなどとは、夢にも思うまい。

「何だこれ……何があった……?」

 ゴブリンのうち一匹が、あいた口が塞がらないでいる。
 状況を飲み込むのに、まだ時間がかかるらしい。
 すぐに気がついたのは、オーガじゃった。

「ボサッとするんじゃねぇ! あのガキがやったんだ!」

 オーガが大きな口をあけ、怒声をあびせる。ビクッと肩を強ばらせるゴブリンたち。しかし目に活力が宿り、ワシをにらみ始めた。

「野郎ども殺せぇ! 仲間の仇だ生かしちゃおけねぇ!」

 オーガが吠える。
 それを合図に、ゴブリン八匹が一斉になって飛びかかってきたのじゃ。

「何じゃお前ら、そんなにがっつきおって」

 ゴブリン共がみな大きく口を開け、キバを見せておる。
 各々がナイフや棍棒を振り上げ、ワシを仕留めようという気迫を感じられる。

「ならばくれてやろう! 転移魔法――いでよ!」

 そんな気迫ごときにうろたえるワシではない。
 なので、手を掲げてやった。ワシの手に、稲妻が走る。

「プッチリ☆プリン! プッチリ☆プリン! プッチリ☆プリン! プッチリ☆プリン! 
プッチリ☆プリン! プッチリ☆プリン! プッチリ☆プリン! プッチリ☆プリン!」

 現れたのは、八つのプリン。ちょうどゴブリンたちの数と合っておった。
 それぞれが宙を舞い、ワシの元に落ちてくる。
 すかさず一つ目を掴んだワシは、射撃体勢をとった。

「プリン八連続アタック! 喰らえぇ!」

 ――プッチンプッチンプッチンプッチンプッチンプッチンプッチンプッチン……!

 ――パァァァン! パァァァン! パァァァン! パァァァン! パァァァン! パァァァン! パァァァン! パァァァン!

「うごぉ!」「ごあっ!」「ぐべぇ!」「ぷぎゃ!」「がうっ!」「ぎょん!」「ちゅん!」「ぽおぅ!」

 それは、またたく間の出来事じゃった。

 プッチリプッチンが発射されるたび、ゴブリンが弾かれ、宙を舞っていく。一匹、また一匹と、その勢いは止まらない。
 
 そして、プッチリプリンが落下しなくなった。周りは静まっておった。
 ゴブリンが全て倒れたからじゃ。

「サージャ、どう思う? こヤツら立てそうか?」

『ステータスから見るに、その可能性はニパーセント以下です。全てが瀕死の重体、戦闘続行は不可能でしょう』

 サージャが分析したというなら、間違いないの。
 そうでなくても、ゴブリン共の顔や頭がみんな変形しておって、とても原型を留めておらん。その状態で無事な方がおかしかろう。

「な、何、だと……」

 さすがのオーガも、うろたえておる。
 まあ当然じゃろ。たかが幼女に、自慢の部下がやられてしまったのじゃからな。
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