追放されたので千年後に転生しました~その幼女、元転移転生魔術師の再来~

がっきー

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第一部 転生編

元転移転生魔術師、プリンで圧倒する 後編

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 無理もないじゃろうて。
 見た目は、スライムのような柔らかさ。
 しかし、飛ばせば弾丸並。
 そして、食べれば美味しいなんて物、この世界に存在せんのじゃからな。

 初めて転移した時、食べた時は感動を覚えたものじゃった。
 その素晴らしい甘味は、王族のデザートでも食べられん程の美味じゃったわい。

 まあ今回は戦闘で使ったがの。
 カップのつまみを折れば弾丸のように発射されるアレ、本来は皿の上に落として食べる物らしい。ワシの転移魔法の影響で、あんな風になってしもうたからのぉ。いつか、本場のプッチリ☆プリンを食べてみたいもんじゃ。

「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……!!」

 その時じゃった。
 オーガが大きな口をあけ、天に向かって吠え始めたのだ。

「な、何じゃ?」

「ウラァ! ウラァ! ウラァ! ウララララララララララ……!」

 突然、咆哮するオーガ。
 するとオーガは、手に持った棍棒を振り回す。その速度は速く縦横無尽。気を抜くと目で追えなくなる程じゃった。

「このガキャ、やるじゃねぇか! 大した魔法じゃねーか! だが、このオーガ様に通じると思ったら大間違いだぜ!」

「な、何じゃ……? 気合い入れとるのか……?」

「ガッハハ! そうとも! さっきの攻撃、もう一度してきやがれ! オレの剛腕はゴブリン共とは違う! 返り討ちにしてやるぜ!」

 なるほど、さっきのプリン、弾くんじゃね? と思わせそうな勢いを感じるわい。

『マスター、オーガの腕力と棍棒の強度、振り回す力関係を分析した結果、三十パーセントの確率で弾かれます』

「なるほどぉ。お主、よかったな。三回に一回は、プッチリ☆プリンを弾くらしいぞ」

「なっ……テメェ! ナメてんじゃねぇ!」

 やれやれ、褒めたつもりじゃったんじゃがの。オーガのヤツ、顔を真っ赤にして怒っておる。
 それに血気盛んじゃ。図体も口も大きいだけの事はある。
 これはもう、大きなプリンをくれてやらねばならんな。

「転移魔法、発動――!」

 掲げた手に魔力を込める。
 ――バチバチ! と音を立て、現れる稲妻。
 そして、ワシは求める物をイメージする。

「いでよ! ――バケツ☆プリン!」

 上空に現れたのは、一杯のバケツ。
 その中で満たされている、巨大なプリン。
 鈍い音を鳴らし地面に落下。その取っ手を握った。

「なっ……何だ! その……デカイのは!」

「バケツプリンじゃ。さっきのプッチリプリンとは比較にならんぞ。どうじゃ、大きいじゃろ?」

「っ……! それが、どおおしたああああああああああああああああああああ……!」

 オーガが再び咆哮する。
 そして、棍棒を振り回しながら突進してきた。

「……せーの」

 対してワシは、取手を握ったまま狙いを定める。
 狙いはオーガ。目前まで迫った所で。

「いっけええええええええええええ……!」

 かけ声と共に、ワシは力いっぱいバケツプリンを投げた。
 ――ゴォゥ! と轟きオーガに向けて迫りくる。

「なにっ! この……ぐぶぅッ!」

 オーガの腕力と棍棒で振り回す。
 が、バケツサイズのプリンはひょい、と中身を見せつつ避けてしまう。
 そして軌道修正し、顔面に直撃するのじゃった。
 オーガの顔がバケツに覆われてしまった。

「もがっ……もがっ……!」

 悶絶する声が、バケツ越しに聞こえてくる。両手で引き離そうとしているが、あのバケツプリンには抗えないらしい。

「苦しいか? 当然じゃろう。何せさっきのプリンの数十倍の量が入っているんじゃからの」

「も……が……何……!」

「脱出する方法を教えてやろう。食べるんじゃ。全部な。プリンの数百倍のカロリーを飲み込んだら、解放されるじゃろう」

「こ、小癪な……全部、食べきってやる……!」

 バケツの中から聞こえてくる、咀嚼音。
 全く下品な音じゃ。ゆっくり味わえばいいものを。あんなに甘くて美味しいのに。
 あ、早く食べないと呼吸できんのか。

「ガフガフガフ……え、何これ! うまっ! 美味すぎっ!」

「そうじゃろう、おいしいじゃろう? このとろけるような甘さ、歯ごたえ。今まで経験した事なかろう?」

「ガフ……くそが! ……バカにすんな……ゲホッ! ゲホッ!」

「苦しいじゃろう? 早く食べんと呼吸できんぞー?」

「うるせぇ! 全て食べられる! こんなもん余裕……」

 オーガが豪語するも、その声は弱々しくなっている。
 食べてはいる。咀嚼音が響いてくる。
 しかし動きがぎこちない。苦しいのか、うめき声が聞こえる。さらにバケツの中に手を突っ込むも、動かせる様子はない。

「が……ぅ……」

 オーガの声が小さくなる。
 やがて動作が緩慢になり、――ドサッ! と仰向けに倒れてしまった。
 どうやら窒息したらしい。オーガでも、あの量は食べ切れんかったようじゃ。

「耐えきれんかったか……。ま、そう簡単に減る訳ないからの」

 オーガでも食べ切れなかった、バケツプリン。
 その正体について、ワシは知っておった。
 一度捕えた者は離さない。地獄の、超重量級プリンだという事を。

 あのバケツプリン、実は生きておるんじゃ。どうもスライムの親戚らしい。
 とはいえ、普通に食べる分には問題ない。プッチリ☆プリン同様、この世界にはない甘味と食感で幸福に包まれるじゃろう。

 じゃが、恐ろしいのは顔を丸々突っ込んだ時にある。
 まず弾力。重量もそうじゃが、一度でも顔に引っついてしまえばまとわりつかれ、離れる事は至難となる。

 そして厄介なのが、再生能力を持っておるという事。

 さっき言った、【生きておる】とはそういう意味じゃ。あのバケツプリン、転移した時に意思と自己修復機能を持ってしまったらしい。なので、オーガの攻撃を避けて顔を覆ってくるし、一度捕まったら食べても食べても修復するから減らぬという現象が、起きてしまったという訳じゃ。

 要するに、あの重量と弾力、そして永遠ともいえる量。
 呼吸ができない中で全部食べようなど、不可能同然。窒息以外に選択肢はない。
 まさに、一歩間違えれば死に至る、悪魔のバケツプリンだったという訳じゃな。

 辺りは静かになった。

「ふぅ……」

 プリンを見ていると、腹が減ってきた。そう言えば、カップラーメンを食べていた途中だったんじゃ。

『マスター、拾い食いはいけませんよ』

「せんわ!」

 こヤツ、ワシのステータスでも読んでおったか?
 さすがに、モンスターにくっついたプリンなどいらん。
 そこまで食い意地はっとらんわい!

「後で転移した物を食べるから問題ない」

 久しぶりにあの甘美、味わいたくなったわい。



************************

【サージャ】≪『第四話をお読みいただき、ありがとうございます』

【サージャ】≪『モンスターを圧倒する程の転移魔法。しかしそこまで使って、影響はないのでしょうか』

【サージャ】≪『例えば、誰かに見られてしまうとか……』

【サージャ】≪『それと、モンスターの等級について話がありましたので、強さと危険性を簡単に紹介します。

E級……スライム、ゴブリンなど。一般人でも倒せます。

D級……ゾンビ、キラービーなど。中堅冒険者以下で対処可能です。

C級……オーガ、リザードマンなど。騎士か冒険者複数人推奨です。

B級……クラーケン、エルダーリッチなど。巨大なモンスターが増えてきます。町一つ壊す危険性あり。

A級……ドラゴンなど。国の存亡に関わります。

S級……魔王かその幹部。世界崩壊の危機です。

以上です』

【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
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