19 / 75
第一部 転生編
一方のたかし、ズッコける 前編
しおりを挟む
意識がはっきりしていく。
ああそうだ。オレはさっきまで寝ていて、過去を振り返っていたんだ。夢として。
そして、目が覚めて分かる。今の現状を。
「た、たかし様……? 大丈夫……ですか?」
寝起きのオレを見下ろしているのは、老人三人。
コイツらは、信者だ。
それでここは、ある洞窟の中。土でできた壁に覆われた閉鎖空間で、オレは祀られていた。
土着の女神として。
「はぁ~~……」
オレは、ため息を吐いてしまう。
自分の現状を思い出せば思い出すほど、悲しくなってくるからだ。
今のオレには、かつてデウディーンと旅をし、無双していたような力はない。それ所か、祭壇から身動きすらとれない体たらく。
さらにオレの体だが、下半身が幽霊みたいにぼやけて原型を留めていない。信者から見えてはいるから実体を無くした訳じゃないが、何ていうか、浮遊感がすごい。
それもこれも、全部あの女神のせいだ。
オレは、あの女神がビッグになれるっていうから女神化してやった。まさか信仰が減って力が衰えるなんて、夢にも思わねぇよ。
文句を言ってやりたい。なのにあの契約以来、全く連絡がとれねぇんだ。ああ、思い出しただけでイライラしやがる。
「あの……たかし様……」
「あぁ! うっさいねん今忙しいんじゃ話しかけてくんな!」
空気が読めねぇじじいに、オレは説教してやった。
と言っても、コイツらは信者。信者のじじい。
たった三人しかいなくて、しかも男。要するに、残りカスだ。
今のオレには、献上品もなし、女の子もなし、信者はほぼゼロ。
あの幼女との騒動があってから九百年近く、閑古鳥が鳴いているって訳だ。
当然、じじいだから空気が読めねぇし、気が利かねぇ。
いや、あの時、幼女の周りにいた信者たちもそうだったな。見ているだけで、なにもしやがらなかった。少しはオレのために動いてみやがれ!
「ふぅ……」
そんな時、オレはふと思うのだ。
あの場にデウディーンがいたら、違っていたかもしれないと。
アイツはいつだって、何かあるたび転移魔法で日本の道具を転移して、ファンタジーの雰囲気ぶち壊してしまう。
しかしその時に合った便利な道具を出してくるから、事件を解決しちまうし、人々に感謝されて結果オーライになってしまうんだ。
さらに、混半妖精からツッコミを入れられてしどろもどろ。そんな感じで便利に動いて笑いをとる。あの幼女の時だって、転移道具を出すとかして、空気を和ませてなぁなぁで済ませたに違いない。
そうなっていたら、今でもオレはみんなに崇拝される女神様を続けられていただろう。癇癪を起こして、素の感情を晒す事なく、な。
「はぁ~……」
オレはもう、ため息が止まらないね。
デウディーンですら機転を利かせられるっていうのに、かつての信者も、今のじじい共も何の役にも立ちゃしない。がっかりだわ、正直。
「あのぉ……たかし様…….」
「んやねん! さっきからうっさいな!」
ほらまた、空気を読めないじじいが……。
っと、いけない。前向きにならないと。
こんなじじいでもオレの信者だ。オレが教育して形にしてやんねぇとな。
そうと決まれば、まずはオレの威厳を……。
「何かな? オレでよければ話は聞くよ?」
「はぁ……実は彼が、脱退したいと言っているんです」
ファーーーーーーーーーーーーーーーァァァ???
ああそうだ。オレはさっきまで寝ていて、過去を振り返っていたんだ。夢として。
そして、目が覚めて分かる。今の現状を。
「た、たかし様……? 大丈夫……ですか?」
寝起きのオレを見下ろしているのは、老人三人。
コイツらは、信者だ。
それでここは、ある洞窟の中。土でできた壁に覆われた閉鎖空間で、オレは祀られていた。
土着の女神として。
「はぁ~~……」
オレは、ため息を吐いてしまう。
自分の現状を思い出せば思い出すほど、悲しくなってくるからだ。
今のオレには、かつてデウディーンと旅をし、無双していたような力はない。それ所か、祭壇から身動きすらとれない体たらく。
さらにオレの体だが、下半身が幽霊みたいにぼやけて原型を留めていない。信者から見えてはいるから実体を無くした訳じゃないが、何ていうか、浮遊感がすごい。
それもこれも、全部あの女神のせいだ。
オレは、あの女神がビッグになれるっていうから女神化してやった。まさか信仰が減って力が衰えるなんて、夢にも思わねぇよ。
文句を言ってやりたい。なのにあの契約以来、全く連絡がとれねぇんだ。ああ、思い出しただけでイライラしやがる。
「あの……たかし様……」
「あぁ! うっさいねん今忙しいんじゃ話しかけてくんな!」
空気が読めねぇじじいに、オレは説教してやった。
と言っても、コイツらは信者。信者のじじい。
たった三人しかいなくて、しかも男。要するに、残りカスだ。
今のオレには、献上品もなし、女の子もなし、信者はほぼゼロ。
あの幼女との騒動があってから九百年近く、閑古鳥が鳴いているって訳だ。
当然、じじいだから空気が読めねぇし、気が利かねぇ。
いや、あの時、幼女の周りにいた信者たちもそうだったな。見ているだけで、なにもしやがらなかった。少しはオレのために動いてみやがれ!
「ふぅ……」
そんな時、オレはふと思うのだ。
あの場にデウディーンがいたら、違っていたかもしれないと。
アイツはいつだって、何かあるたび転移魔法で日本の道具を転移して、ファンタジーの雰囲気ぶち壊してしまう。
しかしその時に合った便利な道具を出してくるから、事件を解決しちまうし、人々に感謝されて結果オーライになってしまうんだ。
さらに、混半妖精からツッコミを入れられてしどろもどろ。そんな感じで便利に動いて笑いをとる。あの幼女の時だって、転移道具を出すとかして、空気を和ませてなぁなぁで済ませたに違いない。
そうなっていたら、今でもオレはみんなに崇拝される女神様を続けられていただろう。癇癪を起こして、素の感情を晒す事なく、な。
「はぁ~……」
オレはもう、ため息が止まらないね。
デウディーンですら機転を利かせられるっていうのに、かつての信者も、今のじじい共も何の役にも立ちゃしない。がっかりだわ、正直。
「あのぉ……たかし様…….」
「んやねん! さっきからうっさいな!」
ほらまた、空気を読めないじじいが……。
っと、いけない。前向きにならないと。
こんなじじいでもオレの信者だ。オレが教育して形にしてやんねぇとな。
そうと決まれば、まずはオレの威厳を……。
「何かな? オレでよければ話は聞くよ?」
「はぁ……実は彼が、脱退したいと言っているんです」
ファーーーーーーーーーーーーーーーァァァ???
92
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる