ドラゴンに育てられた少年、生みの親を探して旅に出る

千耀

文字の大きさ
42 / 64
第5章 ディアボルス編

8 ブラックウッド

しおりを挟む
  10年前、ブラックウッドは近衛に入団するため、初めて武術大会に出場し、決勝戦でレオンハルトに敗れた。
 そのあと血の滲むような鍛錬を重ね、臨んだ翌年の大会では、圧倒的な強さで優勝するも、近衛の入団は叶わなかった。
 近衛に選ばれるには、武勇のみならず、忠誠心や知性も必要である。
 人を見下し協調性に欠けたブラックウッドは、近衛に相応しくないと判断されたのだ。
 納得のいかないブラックウッドは、国と近衛が腐敗しているせいだと決めつけ、国家の乗っ取りを企てたのである。


 謁見の間の中央に、レオンハルトとブラックウッドが対峙して、それを玉座側から幹部の10人が、反対側から近衛の3人が見守る。
 レオンハルトよりもひと回り大きいブラックウッドは、体重は110kg、身の丈2mで、それと同じ長さの大剣を片手にする髭面の大男である。
 
 先に仕掛けたのはブラックウッドで、強烈な連撃を繰り出し攻め立てた。
 対するレオンハルトは、巧みな技ですべての攻撃を受け流した。
 防戦一方のレオンハルトは、押し込まれて徐々に後退りする。

「どうだ。この10年、貴様を倒すため、パワーとスピードに磨きをかけてきた。手も足も出まい」
「言うだけのことはあるが、大したことはない。ウチにはもっと凄い新人がいるからな」
「何だと!?」

 ブラックウッドに一瞬隙ができ、レオンハルトが反撃に出る。
 無駄のない洗練された剣の連撃は、ブラックウッドのスピードを凌駕した。
 辛うじて大剣で受けるも、たまらず後ろに飛び退いて、距離を取るブラックウッド。

「新人とは、テオドールか? あんなガキに、この俺が劣るだと! ふざけるな!!」

 激高したブラックウッドは、テオドール目掛けて突進し、大剣を振りかぶった。
 刹那、テオドールは、ブラックウッドの懐に飛び込み、勢いよく突き飛ばす。
 玉座の前まで吹っ飛ばされ、仰向けで倒れ伏すブラックウッドに、

「お前の相手、団長。オレじゃない」

 テオドールのスピードに反応できず、パワーに抗えなかったブラックウッドは、唖然としながら体を起こすと、

「一騎打ちはやめだ。近衛を皆殺しにしろ。生きて返すな」

 背後で待機している手下に命じた。
 幹部が前に出て近衛と対峙すると、ブラックウッドは玉座の裏に回り、垂れ幕の後ろに入った。
 手練れの幹部に少し手間取ったが、レオンハルトとテオドールの敵ではなかった。
 全員を倒し終えると、レオンハルトたちは玉座の裏に回り、ブラックウッドを探すも見当たらなかった。
 幕の後ろの壁が隠し扉になっていて、それに気づいた時は、ブラックウッドが逃げ去ったあとだった。

 アジトにいた一味は全員拘束され、ジェフリーの弟妹は救出された。
 ジュリエットは秘密裏に行動したので、テオドール以外は誰も関与を知らない。
 地下牢の見張りを倒したときは、テオドールに変化していたので、弟妹もジュリエットの姿は見ていない。
 
 翌朝、レオンハルト率いる近衛は、弟妹を馬に乗せ、捕縛した敵を連行して、王都へ向かった。
 仲間を取り戻そうと、ブラックウッドが手下を連れて、襲ってくるかもしれないので、ジュリエットは鳥に変化して、近衛の周辺を上空から監視した。
 
 王城に戻ったレオンハルトは、事の顛末を国王に報告した。
 国王は、早急にブラックウッドを捕縛することと、それまでは警戒を怠らぬよう命じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

本当の外れスキルのスロー生活物語

転定妙用
ファンタジー
「箱庭環境操作」という外れスキルしかないエバンズ公爵家の長男オズワルドは、跡継ぎの座を追われて、辺境の小さな土地を与えられて・・・。しかし、そのスキルは実は・・・ということも、成り上がれるものでもなく・・・、スローライフすることしかできないものだった。これは、実は屑スキルが最強スキルというものではなく、成り上がるというものでもなく、まあ、一応追放?ということで辺境で、色々なことが降りかかりつつ、何とか本当にスローライフする物語です。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...