ドラゴンに育てられた少年、生みの親を探して旅に出る

千耀

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第5章 ディアボルス編

7 追跡

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 キーガンが地下に降りようとすると、階下は血の海で、心臓を剣で貫かれたテオドールが倒れていた。
 地下室の扉を背にもたれ掛かったジェフリーが、
 
「任務は果たしたと、ボスに伝えてくれ」

 テオドールがあっさり殺されていることにキーガンは、

「本当に死んでいるのか?」
「心臓を貫かれて、生きているわけないだろ。三人娘を人質にすれば、テオドールは手出し出来ないからな。るのは、造作もなかったぜ」
「娘たちはどうした?」
「室内にいる」

 キーガンが階段を降りてきたのでジェフリーは、

「中を見るつもりなら、やめておけ。男たちはお楽しみ中だからな。それともお前は、覗きが趣味の変態か」
「ふん。ちゃんと娘たちを始末しておけよ。俺はボスに報告してくる」

 キーガンは踵を返して階段を上ると、馬に跨ってアジトの本拠地に向かった。
 ジュリエットは、ジェフリーから鳥に変化して、キーガンを追いかけた。
 本拠地にジェフリーの弟妹が囚われている。
 だが、その場所をジェフリーは知らないので、キーガンの後を付けて本拠地を突き止めることにした。
 キーガンを捕らえて、場所を吐かせることも考えたが、マルシエの時みたいに聞きだせなくなると、弟妹が殺されてしまうので断念したのである。
 
 テオドールは、鱗を変化させて作った剣と血の海を、腕輪に戻して起き上がった。
 剣は体を貫いたのではなく、そう見せかけただけで、テオドールは殺された振りをしていたのだ。
 テオドールは地下室の扉を開けるとフレアに、

『終わったから、オレは行くね。エレナを頼んだよ』
『うん。任せて。テオ』

 テオドールが地上に出て合図すると、馬に乗った近衛が姿を現した。
 ジュリエットの策略に従い、近衛はキーガンより先に来て、建物の陰に隠れていたのだ。
 合流した近衛の一部が、捕縛した悪党どもを連行するため、地下へ降りていった。
 テオドールは馬に乗ってジュリエットの鳥を追いかけ、その後を団長を先頭に残りの近衛が付いていく。
 鳥が遠く離れていても、視力の優れているテオドールは、見失わなかった。
 
 ジュリエットがキーガンを追跡して小一時間ほど経つと、人里離れた山奥に怪しげな建物が見えてきた。
 その建物にキーガンが入っていく。
 ジュリエットは上空を旋回した後、ネズミに変化して建物内に潜入した。
 そして内部を隈なく探り、ボスや弟妹たちの居場所を特定すると、蝙蝠に変化して建物の外へ出た。
 その情報をジュリエットは、斥候として一人建物の近くまで来ていたテオドールに伝えた。
 そのあと建物に戻ったジュリエットは、門番を伸して近衛が入れるようにすると、弟妹が囚われている地下牢へ向かい、見張りの男を伸した。
 近衛は、アジトから少し離れた場所で待機している。
 そこへ戻ったテオドールは、ジュリエットのことは話せないので、自身が潜入して得た情報として伝えた。
 
 近衛はアジトに潜入し、複数の小隊に分かれて、各個撃破の制圧作戦を開始。
 レオンハルトの小隊(テオドールと団員2名)は、謁見の間へ向かい、扉から突入した。
 ボスと幹部の10名に任務の成功を報告していたキーガンは、

「どうして此処に!?」

 死んだはずのテオドールを見て、驚きのあまり叫び声をあげた。
 
「任務を失敗した挙句、後を付けられたようだな」

 玉座から立ち上がった髭面の大男は、大剣を手にすると、キーガンを睨みながら段を降りる。

「そんな……あ、あり得ません。剣が突き刺さっているのを見ました。それに追っ手も確認できなかっヒィッ――」

 必死に弁明するキーガンを、ボスは大剣で振り払った。
 大剣の側面で横に飛ばされたキーガンは、壁に激突しグシャリと潰れて絶命する。
 鳥に変化したジュリエットは、常人には視認できない高さから追跡し、テオドールたちはかなり離れていたので、キーガンが気づくのは不可能だった。

「軽く振り払っただけなのに、なんてパワーなんだ」
「鎧の上からでも、まともに食らったら、骨が砕けそうだ」

 などと、近衛の団員たちが戦慄する。

「貴様らを侮っていたようだな」
「ブラックウッド!? どうして、お前が……」
「腐敗した此の国と近衛をただすためだ。レオンハルト、俺と一騎打ちで戦え。貴様に勝って、俺こそが剣神の二つ名に相応しい、最強の剣士だと証明してやる」
「いいだろう。誰も手出しするな」

 団員に指示して、レオンハルトは剣を構えた。
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