ドラゴンに育てられた少年、生みの親を探して旅に出る

千耀

文字の大きさ
40 / 64
第5章 ディアボルス編

6 真偽

しおりを挟む
 ジェフリーは、弟妹が人質に取られていて、任務に失敗したら殺されてしまうと訴えたが、ジュリエットは冷めた目で、

「お主の言うことなど、誰が信じるか」
「頼む。信じてくれ」
「構わぬ、フレア。城へ行け」
「クッ、行かせぬ」

 何とか立ち上がったジェフリーは、ジュリエットに襲い掛かる。
 だが動きは鈍く、簡単に殴り飛ばされ、壁に打ち付けられてしまう。
 何度倒されても起き上がり、ジュリエットに向かっていくジェフリー。
 ずたぼろになり歩くのもままならないジェフリーは、ふらつきながらもどうにかジュリエットの前まで辿り着く。
 容赦なくジェフリーを殴り飛ばそうとするジュリエットに、エレナがしがみついて、

「もうやめて! ジュリエット様」
「何故める? 此奴はテオを、殺そうとしたのだぞ」
「だって、お父様と一緒だから。決勝戦で何度倒されても、私のために立ち上がったお父様に――」
「此奴の言うことを信じるのか?」
「わからないわ。でもお願い。ジュリエット様」

 泣きそうな表情で訴えるエレナに、ジュリエットはため息を漏らし、

「わかった。もう殴るのはめてやるから、そんな顔するな」
「ありがとう。ジュリエット様、大好き」

 ジュリエットは、眼前の男に、
 
「妾の質問に、正直に答えろ。事と次第によっては、弟妹を救い出してやる。だが少しでも嘘をつけば、お主たちを城に連行する」
「誓う。嘘はつかない」

 流行り病で両親を失ったジェフリーは、幼い弟妹を養うため、近衛に入ろうとした。
 しかし武術大会で成果を上げられず、入団は叶わなかった。
 そこで実入りのよい仕事を探していたら、ある男からディアボルスの用心棒に誘われ、二つ返事で引き受けた。
 後になって悪の組織だと知るも、弟妹を人質にとられてしまい、抜けられなくなってしまった。
 そして組織から厳しい訓練を受けたジェフリーは、武術大会で結果を出して、近衛に潜入したという。
 
「お主以外に、ディアボルスの手下はおるのか?」
「城に一人、庭師のキーガンという男がいる。俺はそいつの指示に従って動き、テオドールの殺害を命じられた」
「殺害? 服従させる、ではないのか」
「それは俺の独断でしたこと。犠牲者を出したくなかったから」

 ジェフリーたちが捕まったことがキーガンに知られたら、組織に報告されて弟妹は殺されるという。
 その真偽を確かめるため、ジュリエットが城に戻ろうとすると、

「駄目だ。俺が戻らなければ、任務の失敗がバレてしまう」
「妾に考えがある。お主の言葉に、嘘偽りがなければ、妾を信じて待っていろ。悪いようにはしない」

 任務に失敗した以上、ジェフリーはジュリエットを信じるしかなかった。
 ジュリエットは、敵を全員縛り上げると、フレアとエレナに見張りをさせて外へ出た。
 そして鳥に変化すると、ジェフリーとキーガンの待ち合わせ場所に、飛んで行く。
 ひと気のない場所でジェフリーに変化して、指定の場所で待っていると、一人の男が現れた。
 ジェフリーから聞いた容姿の特徴と一致したので、キーガンだと確信する。
 男はジェフリーの近くまで来るとニヤリとして、
 
「上手くいったようだな」
「無論だ。たかが小娘三人、失敗するわけがない。あとは頼んだぞ」
「ああ、任せておけ」

 軽く言葉を交わすと、男は踵を返して去っていく。
 
 ジュリエットは鳥に変化して、男のあとを追い、空から城内に入った。
 男はテオドールの家に行くと、人目を盗んで扉の隙間から手紙を差し込んだ。
 すべてジェフリーから聞いた通りになったので、彼の言葉に嘘偽りはないとジュリエットは判断した。
 ジュリエットはテオドールのもとへ行き、ディアボルスのことや、その一味を捕らえたことなどを伝えた。
 そしてジュリエットの策略に従って行動するよう、テオドールに指示した。


     ◇◆◇◆◇


 近衛の任務を終えて家に戻ったテオドールは、手紙を拾って目を通した。
 手紙には、三人娘の命が欲しければ、テオドールが一人で指定の場所へ来いと、書かれている。
 テオドールは城を出ると、猛烈な勢いで突っ走った。
 そのあとをキーガンが馬で追いかけるも、引き離されて見失ってしまった。
 人質の三人娘がいる街外れの建物に、遅れて到着したキーガンは、地下へ降りようとした。
 すると階下は血の海で、そこには剣で心臓を貫かれたテオドールが、倒れていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

本当の外れスキルのスロー生活物語

転定妙用
ファンタジー
「箱庭環境操作」という外れスキルしかないエバンズ公爵家の長男オズワルドは、跡継ぎの座を追われて、辺境の小さな土地を与えられて・・・。しかし、そのスキルは実は・・・ということも、成り上がれるものでもなく・・・、スローライフすることしかできないものだった。これは、実は屑スキルが最強スキルというものではなく、成り上がるというものでもなく、まあ、一応追放?ということで辺境で、色々なことが降りかかりつつ、何とか本当にスローライフする物語です。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...