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第5章 ディアボルス編
5 内通者
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近衛を裏切ったのかと、ジュリエットに問われたジェフリーは、
「裏切るも何も、もともと俺は、ディアボルスの手先だからね」
「ディアボルスだと?」
ジュリエットが聞き返すと、ジェフリーは組織について語った。
ディアボルスは、国家の乗っ取りを目論む悪の組織で、ジェフリーは内通者として近衛に入団し、情報を組織に流していたという。
王女の拉致を裏で操り、レオンハルトを近衛から排除しようとしたが、それをテオドールに阻止されてしまう。
テオドールは大きな障害である一方、味方につければ、この上ない戦力になると考えた組織は、勧誘するも失敗に終わった。
「それで妾たちを、毒殺しようとしたのだな」
ジュリエットが問うと、組織の女が、
「そうだよ。だけど毒に気づかれるとは、思いもしなかったよ。あの毒は、ほぼ無味無臭だから、犬でもなければ嗅ぎ分けられないはず。それなのに、どうやって毒に気づいたんだ?」
「生まれつき鼻は、いい方なのでな。それで、妾たちをどうするつもりだ?」
ジュリエットはジェフリーを睨みつけて問うた。
「貴女たちを人質にして、テオドールを我々に服従させる」
「テオが断ったら?」
「それはあり得ませんね。テオドールが貴女たちを見殺しにするなんて、絶対にない。断言しますよ」
「うむ。少しはテオのことを理解しておるようだな。だがテオは、お主らに従うことはない。妾たちは人質になるつもりはないのでな」
「逃げようとしても無駄です。出入口は此処だけですからね。痛い目にあいたくなければ、大人しくしていてください」
此処は通さないとばかりに、ジェフリーは腕組みしながら、出入口の扉に寄りかかっている。
「痛い目にあうのは、お主らの方だがな」
「ほう。威勢のいい、お嬢ちゃんじゃねぇか」
そう言いながら、椅子に腰掛けていた大男が、ジュリエットに歩み寄る。
『フレア。エレナを頼む』
『わかったわ。おばさん』
フレアはエレナを抱き寄せた。
「大事な人質だ。手荒な真似はするなよ」
ジェフリーに釘を刺された大男は、
「ちっ、わかってる。この小娘、我がままに育てられた、箱入り娘なのだろう。何でも自分の思い通りになると、勘違いしてやがるから、己の非力さを教えてやるのさ」
我がまま王女と一緒にするなと、内心でツッコんだジュリエットは、
「その言葉、そっくりそのまま返すぞ」
ジュリエットの前で仁王立ちした大男は、不敵な笑みを浮かべ、
「俺の腹を、思い切り殴ってみな」
「いいのか?」
「そんな華奢な身体で殴られても、痛くも痒くもないグァッ!」
ジュリエットが拳を突き出すと、大男は後ろに吹っ飛び、テーブルを破壊した。
慌ててテーブルから逃げた男たちは、信じられないといった面持ちで、ジュリエットを見やる。
「手加減してやったのに、口ほどにもない奴だな」
「そいつを捕らえろ!」
ジェフリーが命じると、男たちはジュリエットに襲い掛かった。
ジュリエットは素早い動きで、男たちを一撃で倒していく。
全員を伸して振り返ると、ジェフリーがフレアに刃物を突き付け、
「動くな、そこまでだ。大事な妹を傷つけられたくなければな」
フレアが悲しげな目を向けると、ジェフリーは動揺を滲ませ視線を逸らした。
その隙をついてフレアはジェフリーの腕を掴むと、ジュリエットの方へ投げ飛ばした。
空中で身をひるがえしたジェフリーは、ジュリエットに攻撃を仕掛けるも、躱されてしまう。
床に着地したジェフリーは、間髪を容れず連続攻撃を繰り出したが、ジュリエットは回避しながら、
「さすが近衛に入っただけのことはある。他のザコどもとは違うな。まだ本気を出していないのは、妾がフレアの姉だからか?」
すると一気にジェフリーの攻撃速度が増すも、ジュリエットには掠りもしない。
それどころかジュリエットの反撃をまともに食らったジェフリーは、後方へ吹っ飛び壁に打ち付けられて動けなくなる。
「ふふふっ」
「何がおかしい」
「テオがジュリエットには敵わないと、言っていたのを思い出したのさ。まさか本当に強いなんて、思いもしなかったよ」
「殺そうとしておきながら、なれなれしくテオと呼ぶな」
「そう……だな」
ジェフリーは、床に倒れ伏したまま、力なく呟いた。
ジュリエットはフレアに向き直ると、
「フレア。妾は此奴らを見張っているから、エレナを連れて城に戻り、近衛を数名寄越してくれ。此奴らを城に連行するのに必要だから――」
「待ってくれ。俺には幼い弟と妹がいる。任務に失敗したことがバレたら、弟妹は組織に殺されてしまうんだ」
ジェフリーはジュリエットに手を伸ばして懇願した。
「裏切るも何も、もともと俺は、ディアボルスの手先だからね」
「ディアボルスだと?」
ジュリエットが聞き返すと、ジェフリーは組織について語った。
ディアボルスは、国家の乗っ取りを目論む悪の組織で、ジェフリーは内通者として近衛に入団し、情報を組織に流していたという。
王女の拉致を裏で操り、レオンハルトを近衛から排除しようとしたが、それをテオドールに阻止されてしまう。
テオドールは大きな障害である一方、味方につければ、この上ない戦力になると考えた組織は、勧誘するも失敗に終わった。
「それで妾たちを、毒殺しようとしたのだな」
ジュリエットが問うと、組織の女が、
「そうだよ。だけど毒に気づかれるとは、思いもしなかったよ。あの毒は、ほぼ無味無臭だから、犬でもなければ嗅ぎ分けられないはず。それなのに、どうやって毒に気づいたんだ?」
「生まれつき鼻は、いい方なのでな。それで、妾たちをどうするつもりだ?」
ジュリエットはジェフリーを睨みつけて問うた。
「貴女たちを人質にして、テオドールを我々に服従させる」
「テオが断ったら?」
「それはあり得ませんね。テオドールが貴女たちを見殺しにするなんて、絶対にない。断言しますよ」
「うむ。少しはテオのことを理解しておるようだな。だがテオは、お主らに従うことはない。妾たちは人質になるつもりはないのでな」
「逃げようとしても無駄です。出入口は此処だけですからね。痛い目にあいたくなければ、大人しくしていてください」
此処は通さないとばかりに、ジェフリーは腕組みしながら、出入口の扉に寄りかかっている。
「痛い目にあうのは、お主らの方だがな」
「ほう。威勢のいい、お嬢ちゃんじゃねぇか」
そう言いながら、椅子に腰掛けていた大男が、ジュリエットに歩み寄る。
『フレア。エレナを頼む』
『わかったわ。おばさん』
フレアはエレナを抱き寄せた。
「大事な人質だ。手荒な真似はするなよ」
ジェフリーに釘を刺された大男は、
「ちっ、わかってる。この小娘、我がままに育てられた、箱入り娘なのだろう。何でも自分の思い通りになると、勘違いしてやがるから、己の非力さを教えてやるのさ」
我がまま王女と一緒にするなと、内心でツッコんだジュリエットは、
「その言葉、そっくりそのまま返すぞ」
ジュリエットの前で仁王立ちした大男は、不敵な笑みを浮かべ、
「俺の腹を、思い切り殴ってみな」
「いいのか?」
「そんな華奢な身体で殴られても、痛くも痒くもないグァッ!」
ジュリエットが拳を突き出すと、大男は後ろに吹っ飛び、テーブルを破壊した。
慌ててテーブルから逃げた男たちは、信じられないといった面持ちで、ジュリエットを見やる。
「手加減してやったのに、口ほどにもない奴だな」
「そいつを捕らえろ!」
ジェフリーが命じると、男たちはジュリエットに襲い掛かった。
ジュリエットは素早い動きで、男たちを一撃で倒していく。
全員を伸して振り返ると、ジェフリーがフレアに刃物を突き付け、
「動くな、そこまでだ。大事な妹を傷つけられたくなければな」
フレアが悲しげな目を向けると、ジェフリーは動揺を滲ませ視線を逸らした。
その隙をついてフレアはジェフリーの腕を掴むと、ジュリエットの方へ投げ飛ばした。
空中で身をひるがえしたジェフリーは、ジュリエットに攻撃を仕掛けるも、躱されてしまう。
床に着地したジェフリーは、間髪を容れず連続攻撃を繰り出したが、ジュリエットは回避しながら、
「さすが近衛に入っただけのことはある。他のザコどもとは違うな。まだ本気を出していないのは、妾がフレアの姉だからか?」
すると一気にジェフリーの攻撃速度が増すも、ジュリエットには掠りもしない。
それどころかジュリエットの反撃をまともに食らったジェフリーは、後方へ吹っ飛び壁に打ち付けられて動けなくなる。
「ふふふっ」
「何がおかしい」
「テオがジュリエットには敵わないと、言っていたのを思い出したのさ。まさか本当に強いなんて、思いもしなかったよ」
「殺そうとしておきながら、なれなれしくテオと呼ぶな」
「そう……だな」
ジェフリーは、床に倒れ伏したまま、力なく呟いた。
ジュリエットはフレアに向き直ると、
「フレア。妾は此奴らを見張っているから、エレナを連れて城に戻り、近衛を数名寄越してくれ。此奴らを城に連行するのに必要だから――」
「待ってくれ。俺には幼い弟と妹がいる。任務に失敗したことがバレたら、弟妹は組織に殺されてしまうんだ」
ジェフリーはジュリエットに手を伸ばして懇願した。
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