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第6章 聖アウロス教会編
1 嵐の前の静けさ
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城に戻ったテオドールは、団長に事情を説明し、ブラックウッドを引き渡した。
その後、テオドールと男爵夫妻は、団長と共に謁見の間へ行き、国王に報告をした。
「テオドールよ、其方の手柄に心より感謝する。男爵夫妻においては、さぞや難儀であったろう。無事でなによりだ」
「「恐悦至極に存じます、陛下」」
男爵夫妻は、声を合わせて感謝を述べた。
「ところで領地経営の方は、順調なようだな。領民の評判もいいと、聞き及んでいる。其方の献身に、我は満足しておる。これからも頼んだぞ」
「もったいないお言葉、ありがたき幸せ」
謁見の間を後にしたテオドールは、男爵夫妻を連れて家に戻った。
テオドールは、竜語でジュリエットとフレアに事情を説明し、男爵夫妻は愛娘との再会を心から喜んだ。
◇◆◇◆◇
毎朝ジュリエットは、ジェフリーに回復薬だと言って、魔力の液体を飲ませていた。
魔力の驚異的な回復力により、重傷だったジェフリーは、二週間ほどでほぼ完治した。
ジェフリーが、コップに入った魔力を飲み干すと、ジュリエットは、
「もう治療は不要だ。今日中に城を出て、国外へ向かえ。お主の罪を知る者は、妾以外にフレアとエレナ、そして国王と団長のみ。他の者には、お主は敵との戦いで負傷し、近衛に復帰できなくなったので、帰郷すると伝えてある。黙って去れば、良くない憶測を招きかねないので、皆にちゃんと挨拶をしていけ。よいな」
ジェフリーは、深く頭を垂れて、
「ジュリエットさん、本当に済まなかった。それと、こんなことを頼める身じゃないけど、最後に一つだけお願いがある。フレアちゃんとエレナちゃんにも、申し訳なかったと伝えてほしい」
「本人に直接、謝罪すればよかろう」
「無理ですよ。彼女たちに合わせる顔もないし、特別な想いもある――」
「妾とは毎日顔を合わせておるではないか。それとも何か。妾には何の想いもないと言うのか」
ジュリエットに頭を小突かれたジェフリーは、
「痛っ! それはジュリエットさんが毎日来るからで、仕方なく――」
「妾だって、好きで来ているのではないわ!」
再び頭を小突かれたジェフリーが、目に涙を浮かべると、ジュリエットは呆れ混じりに、
「情けない。男のくせに、この程度で泣くな」
「べ、別に痛くて泣いたんじゃ――」
ジェフリーは、少しだけ以前の関係に戻れた気がして、思わず嬉し涙が零れたのである。
その後ジェフリーは、世話になった人に挨拶して回った。
最後に近衛騎士団のもとへ挨拶に行くと、
「ジェフリー、もう大丈夫なのか?」
「帰郷するらしいな。お前がいないと、寂しくなるよ」
「いつでも会いに来いよ。歓迎するぜ」
などと、みんなが集まりジェフリーに温かい声をかけた。
「安心しろ、ジェフリー。フレアちゃんは、俺が幸せにするから」
「それは俺の役目だ。ジェフリーも、そう思うだろ」
などと、フレアを推している仲間たちが、親しげにジェフリーと肩を組む。
近衛の訓練は厳しかったが、仲間との楽しい思い出が蘇り、目頭が熱くなるジェフリー。
テオドールは握手を求めて手を差し出し、
「ジェフがいないと、寂しい。元気で、また会おう」
「テオ――」
ジェフリーは顔をくしゃくしゃにしながら、テオドールに抱きついて号泣した。
テオドールと本当の親友になりたかった。
フレアちゃんと生涯を共にしたかった。
みんなと別れたくなかった。
ジェフリーは、申し訳ない気持ちに加え、様々な思いが巡り、感情が抑えきれなくなったのだ。
挨拶回りを終えたジェフリーは、弟と妹を連れて王城を出た。
ジェフリーは振り返ると、王城に向かい感謝を込めて一礼をした。
もう二度と会えない彼らのことを思い、ジェフリーが立ち尽くしていると、心配した妹が、
「どうしたの? お兄ちゃん」
「なんでもないよ。それじゃ行こうか」
微笑みながらジェフリーは、弟妹の小さな手を握り締め王城を後にした。
その後、テオドールと男爵夫妻は、団長と共に謁見の間へ行き、国王に報告をした。
「テオドールよ、其方の手柄に心より感謝する。男爵夫妻においては、さぞや難儀であったろう。無事でなによりだ」
「「恐悦至極に存じます、陛下」」
男爵夫妻は、声を合わせて感謝を述べた。
「ところで領地経営の方は、順調なようだな。領民の評判もいいと、聞き及んでいる。其方の献身に、我は満足しておる。これからも頼んだぞ」
「もったいないお言葉、ありがたき幸せ」
謁見の間を後にしたテオドールは、男爵夫妻を連れて家に戻った。
テオドールは、竜語でジュリエットとフレアに事情を説明し、男爵夫妻は愛娘との再会を心から喜んだ。
◇◆◇◆◇
毎朝ジュリエットは、ジェフリーに回復薬だと言って、魔力の液体を飲ませていた。
魔力の驚異的な回復力により、重傷だったジェフリーは、二週間ほどでほぼ完治した。
ジェフリーが、コップに入った魔力を飲み干すと、ジュリエットは、
「もう治療は不要だ。今日中に城を出て、国外へ向かえ。お主の罪を知る者は、妾以外にフレアとエレナ、そして国王と団長のみ。他の者には、お主は敵との戦いで負傷し、近衛に復帰できなくなったので、帰郷すると伝えてある。黙って去れば、良くない憶測を招きかねないので、皆にちゃんと挨拶をしていけ。よいな」
ジェフリーは、深く頭を垂れて、
「ジュリエットさん、本当に済まなかった。それと、こんなことを頼める身じゃないけど、最後に一つだけお願いがある。フレアちゃんとエレナちゃんにも、申し訳なかったと伝えてほしい」
「本人に直接、謝罪すればよかろう」
「無理ですよ。彼女たちに合わせる顔もないし、特別な想いもある――」
「妾とは毎日顔を合わせておるではないか。それとも何か。妾には何の想いもないと言うのか」
ジュリエットに頭を小突かれたジェフリーは、
「痛っ! それはジュリエットさんが毎日来るからで、仕方なく――」
「妾だって、好きで来ているのではないわ!」
再び頭を小突かれたジェフリーが、目に涙を浮かべると、ジュリエットは呆れ混じりに、
「情けない。男のくせに、この程度で泣くな」
「べ、別に痛くて泣いたんじゃ――」
ジェフリーは、少しだけ以前の関係に戻れた気がして、思わず嬉し涙が零れたのである。
その後ジェフリーは、世話になった人に挨拶して回った。
最後に近衛騎士団のもとへ挨拶に行くと、
「ジェフリー、もう大丈夫なのか?」
「帰郷するらしいな。お前がいないと、寂しくなるよ」
「いつでも会いに来いよ。歓迎するぜ」
などと、みんなが集まりジェフリーに温かい声をかけた。
「安心しろ、ジェフリー。フレアちゃんは、俺が幸せにするから」
「それは俺の役目だ。ジェフリーも、そう思うだろ」
などと、フレアを推している仲間たちが、親しげにジェフリーと肩を組む。
近衛の訓練は厳しかったが、仲間との楽しい思い出が蘇り、目頭が熱くなるジェフリー。
テオドールは握手を求めて手を差し出し、
「ジェフがいないと、寂しい。元気で、また会おう」
「テオ――」
ジェフリーは顔をくしゃくしゃにしながら、テオドールに抱きついて号泣した。
テオドールと本当の親友になりたかった。
フレアちゃんと生涯を共にしたかった。
みんなと別れたくなかった。
ジェフリーは、申し訳ない気持ちに加え、様々な思いが巡り、感情が抑えきれなくなったのだ。
挨拶回りを終えたジェフリーは、弟と妹を連れて王城を出た。
ジェフリーは振り返ると、王城に向かい感謝を込めて一礼をした。
もう二度と会えない彼らのことを思い、ジェフリーが立ち尽くしていると、心配した妹が、
「どうしたの? お兄ちゃん」
「なんでもないよ。それじゃ行こうか」
微笑みながらジェフリーは、弟妹の小さな手を握り締め王城を後にした。
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