ドラゴンに育てられた少年、生みの親を探して旅に出る

千耀

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第6章 聖アウロス教会編

7 vs近衛騎士団

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 聖アウロス教会の司教は、教会本部に戻ると教皇に、竜神について報告した。

「何だと! 魔物ごときが我らの聖なる神を冒涜するとは、断じて許せぬ! 魔物に屈したとあれば、教会の威信を損なうことになる――」

 激高した教皇は、ドラゴニア王国のエドワード国王に使者を遣わせた。


     ◇◆◇◆◇


 教会から教皇勅書を受け取ったドラゴニア王国の国王は、テオドールとジュリエットを謁見の間に呼び寄せた。
 謁見の間には100名の近衛が控えていて、いつもとは違う物々しい雰囲気にジュリエットは、

「何かあったのか? 国王よ」
「聖アウロス教会の使者が、教皇勅書を持ってきたのだ。それには、先日の公開処刑について書かれてあり、男爵一家と、教会に楯突いた領民すべてを処刑し、竜を討伐しろとある。それに従わなければ、聖戦としてドラゴニア王国へ侵攻すると書かれているのだ」

 頭を抱え、苦悩の表情を浮かべる国王をよそに、ジュリエットは不敵な笑みを浮かべ、

「愚かどもめ。目に物見せてやるわ」
「まさか戦うつもりじゃ?」
「無論だ。妾に逆らえば教会を滅ぼすと警告してあるのだからな」
「教会と全面戦争になれば、たとえ勝てたとしても、我が国も甚大な被害を被る。それに各国も黙ってはいないだろう。そうなれば到底勝ち目はない。考え直しては貰えぬか、ジュリエットよ」
「あり得ぬな」
「では仕方ない。近衛よ、この者たちを捕らえろ」

 国王が命じると、近衛がテオドールとジュリエットを包囲した。
 
 ジュリエットの前に、ベオウルフ副団長が対峙して、

「竜の加護を授かり、強くなっていると聞いている。手加減するなと、国王陛下の命令だ。本気で行かせてもらうぞ。だが安心しろ。丸腰の少女相手に、剣を振るうつもりはない」

 ジュリエットの正体を明かせないので、国王は二人が竜の加護で強くなっていることにした。
 体術の構えをしたベオウルフを見て、近衛の団員たちが、
 
「副団長、本気で戦うときの構えだぜ」
「あの体格差じゃ、ジュリエットは副団長に、近づくことさえ出来ないだろう」
「ジュリエットを掴まえれば、副団長の勝ちだ。怪力無双の副団長からは、逃れられないからな」

 ベオウルフは、じわじわと間合いを詰め、一気にジュリエットに掴みかかる。
 刹那、ジュリエットがベオウルフの腕を掴んで、大きく投げ飛ばした。


 レオンハルト団長は、剣をテオドールに向け、

「君には大きな借りがある。手荒な真似はしたくない。大人しく捕まってくれ」

 拒否したテオドールが、鱗の腕輪を外し剣に変化させると、レオンハルトは目を見張り、

「それは!? もしかしてブラックウッドが狙っていたという、お宝なのか? だが、どのような剣であろうと、剣技で私には勝てないぞ」 
「うん。わかってる。団長には敵わない。剣技では――」

 テオドールが斬りかかり、それをレオンハルトは受け流して、攻めに転じようとした。
 だが、レオンハルトの剣が真っ二つになり、剣身が床に落ちた。
 それをマジマジと見ながらレオンハルトは、
 
「ミスリルの剣を両断するなんて、反則だろ」
「こっち二人。そっち百人。反則」
「……あははははっ。そうだな。たった二人の相手に百人で掛かるなんて、人のこと言えないな。私の負けだ」

 レオンハルトは両手を挙げて降参した。

 投げ飛ばされたベオウルフは、身を翻して床に着地すると、ジュリエットに向かって突進し、右の拳を繰り出した。
 ジュリエットも右の拳を繰り出すと国王が、

「そこまで! 我々の負けだ」

 ジュリエットとベオウルフの拳は、炸裂寸前で回避された。

「命拾いしたな」

 そうジュリエットに言われたベオウルフは、
 
「そうなのか? テオドール」
「うん。副団長の骨、砕けてた」

 ベオウルフは華奢なジュリエットを見据え、肩をすくめて参ったねと呟いた。
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