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お披露目

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「お父様!完成いたしましたわ!見て下さい!私の渾身の作品を!その名もレオノーラちゃんです!」
「なんだ、随分はしゃいでいるな。どうしたんだ?てか、レオノーラって何だ…レオニードじゃなか…」

 お父様の動きが止まった…目を見開き口をパクパクさせている…

「れ、レオノーラです…今日はよろしくお願いします。お父様…」

 そういってレオンはスカートのすそをつまみカーテシーをした。
 グッジョブ…レオン王子…最高です!私の教育の通り完璧です!

「さ、さ、え??え?あ?」

 バタン…
 あれ?お父様が何か言葉にならない声を上げながら倒れてしまった…なんで?どうして?完璧じゃないの!


 五分後…

 お父様が意識を取り戻した

「サ、サラ…お前なんて事を…いあ…まぁ頼んだのは王子だしそれを命じたのは私だが…だからってアレはあんまりではないか…あんなの国王にばれたら私は殺されてしまうぞ。私はサラ…お前のために死ねるなら別にこの命などまったく惜しくはないがだからってこれはかばいきれないぞ…」

 何が気に入らないのやら…最高に可愛いく誰にもばれない依頼どおりの変装じゃないの。
 失礼しちゃうわ!お父様の馬鹿…

「お父様、サラを怒らないであげてください。全部ボクが急に言い出したことだし僕に原因があるんですから。それに万が一パパがお父様に何かするようならボクが絶対止めて見せますから。サラのお父様に対してひどい事するなんてパパでも許さないです。」

 まぁこんな事で国王はお父様を処刑にはしないでしょうけど。あぁ…今のセリフで余計な事思い出しちゃったな…残念ながら本気の国王を止められるものはこの国にいない。王子ですらあの時私の処刑を止めれなかったんだから。
 私はそっと自分の首筋を触りあのときのことを思い出し少しブルーになる…
 レオンは何も悪くない…いや…そもそも忘れてちゃいけないんだ。油断しない。あの時のあの光景を回避するために私は5歳からやり直しているんだから。今が幸せすぎてちょっと忘れちゃってたけどもう一度気合を入れて気を引き締めてがんばらなきゃ!

「サラだいじょうぶ?」

 私が落ち込んでいたのを心配してレオンが顔を覗き込んでくる。近い近い!

「いえ、だいじょうぶですよなんでもないでーすレオノーラちゃん。」

 私は気取られないようにおどけてみせる。

「うーん…なんか変だけど心配事があるなら相談してね。てか、仕方ないけどレオノーラちゃんって恥ずかしい…」

 疑いつつ納得し顔を赤らめるレオン…

「すまんな…私が怒りすぎたか?いやそもそも怒ってなどはいないんだぞ?サラ?私がサラを怒ったりする訳ないじゃないか。」

 そしてダメ親発言をするお父様。

「お父様?それはそれでダメだと思います。私が何か間違った道に進めばその時はちゃんと叱ってくださいませ。」
「サ、サラはなんていい子なんだ…やっぱり私の天使だ。」

 あ…もっとだめになってしまった…
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