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逃げた強盗団追え

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 サラが強盗団に人質として誘拐された…
 ボクに謎のメッセージを残して…一体どういう意味なのか全く分からないがこの事件に関係あるような口振りだった。
 そんなものをどうやってどのタイミングで知ったのか全てが謎だがそれがサラを救い出すための手段のようだ。あのメッセージの使い道も分からないがとにかく強盗団が逃げた後を追うボクとクラーク子爵とその護衛…
 すぐにサラの後を追いたかったがバリケードが予め用意されていたようで思うように追えなくて追うのが遅れてしまった。

 そして現れた二つの分かれ道。右の道に宝石が落ちていた。こっちに逃げたのだろうと思い全員が右を目指す。だがここでサラの言葉を思い出す右はおとり正解は左。

「クラーク子爵!サラがさっき言っていたんです。右の宝石はおとりで左が正解なのだと…もしかしてこれの事なのでは…」
「なんとサラがそんな事を…だが本当にこれの事かは分からない」
「いえ…わかります!これを見てください!これは僕があげた髪留めです。多分目印にわざとサラが落としたんだと思います!やはりこの事なんです。」
「そうか…ではそちらへ行くぞ!護衛の一部は一応右に向かえ!」
「はい!」

 なんの躊躇もなく僕の言うサラの発言を受け入れる子爵…普通ならなぜ先にそんな事がわかっているのかと疑問に思うはずなのに。子爵は既にサラの不思議な言動にはもう慣れているのだろうか…
 そして反対の左に走り抜けていくと…

「いた!いました子爵!」

 前方にはサラとサラの服をつかんでいる犯人がいた。

「あぁ…ホントにサラの言うとおりだった。やっぱりあの子は…」

 クラーク子爵が何かを言おうとしているが今はそれどころじゃない。

「サラァアアアアア!」

 僕は大声で叫んでいた。

「レオン!お父様!!」
「く…馬鹿な…なぜこっちに追いかけてきやがった…普通、宝石のあるほう追いかけるだろう。わざわざあっち側にも生贄としての部下を走らせていたのに。」
「そこまでだ!サラを返せ!子供と宝石を抱えたままではもう逃げ切れまい。諦めろ!もうお前に勝ち目はない。」

 子爵が犯人を追い詰める。

「くそぉおぉぉ!こうなったら!このガキを殺してやる!死ねぇええ!」

 犯人の男の持った曲刀がサラに向かって振り下ろされる!


 ザクッ!


 飛び散る鮮血



 手首から血が噴出している。




 そして響く犯人の叫び声!

「ぐぎゃあああああ!」

 子爵が投げたナイフが見事に犯人の手首に刺さったのだった。
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