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英雄は道化を演じる
しおりを挟む「うおぉぉぉぉ!女騎士様が化け物を倒してくれたぞぉぉぉ!」
御者の男性だろうか?私のほうを見ながら大声で歓声を上げている。
「先ほどは助けてくれてありがとうございます。」
この人はさっき喰われそうになっていた女性だ。私の手を握りながら本当にうれしそうに感謝の言葉をかけてきた。
この私が人に感謝されている?今まで大きな功績があげれずそのせいでこんな辺境の行方不明事件の捜査なんて言う訳のわからない左遷仕事をさせられたと思ってたのに…
「やるじゃないか。立派にみんなを守りきったな。さすが騎士だ。」
私に剣を貸してくれた彼が地面に座ったまま言う。
「いや…あんたのおか…」
そう言いかけ言葉使いを訂正する。騎士が命の恩人に対してさっきのままの言葉使いでは騎士の名折れだ。
「…いいえ…貴殿のおかげです。このご恩は必ず…」
だが私の言葉は途中で別の女性客によってかき消される。
「すごいわ!あなた木の枝一本であの化け物を切っちゃうなんて!さぞ名のある騎士さまなんじゃないかしら?」
「いえ…私はまだまだ新人の…」
「えぇ!?そうなの!?じゃーもしかして私たち伝説の始まりを見ちゃったんじゃない?」
「そうね!こんなすごい新人さんがこのままうずもれるわけないもの。きっとすごい伝説を作る騎士になるわ。」
なんかむちゃくちゃ言われている。困った…私自身はそんなすごい騎士じゃないのに…すごいのは彼が渡してくれた剣で…
そう思い彼のほうに視線をやると…
「すまん。俺…さっきの戦い見てたら腰が抜けちゃって立てないんだ。少ししたら立てるようになるから先にみんなで歩いて村まで向かってくれ。」
そう言いながら座り込んだまま大きな声でみんなに届くように話す。
絶対嘘だ。私にはわかる。彼はあんな戦い程度で腰を抜かすような人間じゃない。きっと何か理由があるのだろう。私がいることすら邪魔になるのか手を縦に振って先に行くように催促してくる。
「そうだな。私の馬車は壊れてしまったが村までもうそう遠くはないだろう。少し頑張ればつくはずだ。」
御者の男性が答える。
「わかりました。でも、必ずこの先の村まで来てください。後ほど話がしたいので…私の名前はミリアです。」
このまま彼と別れたままにしてはいけないと思い再会の約束を願いそう伝える。
だが私の言葉を受け彼はふっと笑い今度は手を横に振ってこの場を立ち去るよう促す。
「なに…あの人…変な人。まぁこっち方面に向かう男なんてほとんどが都会での夢破れ人だもんね。腰抜けなのは当然よね。」
「そうそう。やっぱこれからはこの女騎士様のように女の時代よ。行きましょう。騎士様!」
女性客に引っ張られ連れて行かれる私。
いいのか?ほんとにすごいのは彼なのに…彼はそんな功績なんていらないと言わんばかりにこちらにずっと手を振っていた。
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