エミー

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僕のエミー

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おはようエミー!

今日もエミーは、僕の顔にチュッてしてくる。
「朝ですよ~、起きて~!」って。

「うんうん・・わかってるって今起きるってば!」

それでもエミーは容赦ない。
まるで僕が寝坊の常習犯みたいに、顔の上から寝ぼけた僕を攻撃している。

そんな僕とエミーは朝食を一緒に食べる。

・・でも・・エミーの変なクセ。

クンクン・・?
まずは一度は必ずにおいチェック!

気に入らないと「ふん!」とそっぽを向く。

でも気が変わると・・またクンクンから・・パクッって!

そのたびに朝食をあっちこっちに散らかす。

お水もポタポタこぼす。
テーブルの上、びしょびしょ・・になるんだ。

でも・・そんなのどうでもよくなるくらい可愛い・・エミー♡

エミーはショートカットの女の子。

ちょっとドジで、少しツンデレな子。

でも・・笑うと世界が一瞬で明るくなる。

「あっ・・またぶつかったね、エミー!」

「アッハハ・・ほんと、オッチョコチョイだなぁ」

そのときのエミーの瞳が、ほんとうに綺麗だった。
真っ黒で、深くて、僕の顔をまっすぐ見つめてくる。

僕のこと、ちゃんと見てるんだなって、そう思ってた。



・・でも、違ってたんだ。

ある日、エミーはご飯を食べなくなった。

呼んでも反応が鈍い。

僕はエミーを抱えて・・病院へ行った。

冷たい診察台の上で・・医師が静かに言った。

「この猫《こ》は・・目が見えていません」

「耳も聴こえていません」

「・・鳴くことも、できません」

「そして・・残念ですけど・・重度の腎臓病です」

僕の頭の中で・・何かが崩れた音がした。

医師の声が遠くで響くけど・・意味がすぐには分からなかった。

ぶつかってたのは・・見えてなかったんだ。

ご飯をこぼしてたのは・・匂いだけを頼りに食べてたから。

ツンデレなんかじゃなかった。

僕の声が、聴こえてなかったからだ。

それでも、エミーは毎朝僕にキスをしてくれた。

匂いだけで、僕を見つけて。

僕の顔にチュッてして・・「おはよう」って伝えてくれてたんだ。

半年後。
僕らの同棲生活は、静かに終わりを告げた。

小さな白い箱の中で、エミーは眠っている。

もう苦しまない顔・・で!

まるで、明日もまた「おはよう」って言いそうな顔で。

・・ありがとう、エミー・・僕は泣く。

君のチュッで始まる朝は・・もう来ない。

ーENDー
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