異世界転生だと思ってたのにただのタイムスリップでさらに歴史が変わってしまいました

桜ふぶき

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時の番人

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「奴らは化け物さ」

「それって…どういう」 

「時の番人の絵本を読んだんじゃないのか?」

「冒頭のみっす」

「読んだことに入らんだろう」

何を言っているのか、とため息をつき、続ける。

「異次元の力を持っているということだ。ここら一体をさら地にできるほどのなーーーだからわしは最初から反対だったんだ」

老人はまた本棚に向かいぼそっとつぶやく。

「まったく。あんな残酷なものを作り出したやつの気が知れんわ」

きらいなのか?と思っていると、

ーービーーーっとベルが鳴り響く。

「なんだなんだ?!?!地震か?!」

慌てふためくりんごを片目に本を手に取る。

「違うわい、ライトとカイルが任務から帰ってきただけだ」

その瞬間、りんごの目の前に2つの人影が現れる。

「どぅわっ!!」

「見回り終わりましたー、異常なしです」

1人はオレンジがかった金髪でにこやかに笑っているが、もう1人は黒髪で目つきが悪い。
同じようにきらびやかな青色の軍服をまとっていた。

なんだ、こいつら。シリウスと同じ制服を着てるってことは時の番人か?

「んん?誰です、この子は」

オレンジ髪の方がりんごに気付く。

こいつ、笑顔で笑ってるが営業スマイルだな、これ
クラスに1人はいる普段は愛想がいいがガチで怒ったら怖そうなパターンだな

「…あ?」

もう1人がギロっとりんごを睨みつける。

うん、黒髪はかかわらんどこ。



「ロストチャイルドだ。シリウスが連れてきた」

「ロストチャイルドだと?ーー肝心のシリウスはこいつをほっぽりだしてどこいってやがんだ?
ぜってえあのやろー俺らに回そうとしてんだろ」

黒髪の方が舌打ちをし、あきらかにきれている。

「落ち着いてくださいー、なにか理由があったのかもしれません」

笑いながらもう1人をなだめた後ボソリとつぶやく。
「ーーーナンパしにいってたら殺す」

ゾっ
こいつ人格ブレすぎだろ、サイコパスか?   

すぐにパッと笑いながら、
「とりあえず、会議に行ってるリアムに全部回しますかねー。ちょうど近くにロストチャイルド長がいるでしょうし」

ピコン、と目の前にタブレットのようなものが現れる。

「うおおっっ!ゲームのステータスみたいだな!!」

りんごの目がかがやく。

「なにいってるかわからないですけど、あなたがだいぶ古い時代からきたのはわかりましたー」
オレンジ髪の方が笑顔でいう。

「浅田りんごくんですね。はじめまして僕はライト・ドフラスっていいます。こっちはカイル・トリバーです」

「え、おれの名前知ってんのか?」

「はいー、タブレットにかいてあったのでシリウスがメモしてたんですね。」

「便利だな!俺はいつ帰れるんだよ?」

「安心しろ、手続きを済ませればすぐに帰れる」

カイルが言う。

「今手配しているのであとは申請するまで待っているだけですね。ーーとりあえず城に戻りますか、おじさんの目が怖いですしー」

「だれがおじさんだ」

「冗談ですよう。ではラフテル首相、失礼します~」

りんごを連れ部屋の外に出て長い廊下を渡る。

綺麗な青空が窓の外に広がっていた。

「うお~、雲一つない青空だな!!」

「うるせえな、当たり前だろ。ここは雲の上なんだからな」

カイルが呆れたようにいう。

「雲のうえ?!?!」

「あれ?ここを通ってきたんじゃないんですか?」

「いや、握手したら突然Gがかかって…気付いたら扉の前にいたんだ」

「めんどくさがりだからな、あの人は。ーー下を見てみろ」

カイルが窓を指差す。

「わぁーーーー」

少し下に雲が風に流されているのがみえ、その奥に美しい夜景が広がっていた。

「ここは上空なんですよー、世界の最重要組織が集まっている場所です」

歩きながらこの時代のことをライトが説明してくれた。

ーーロストチャイルドは年に5人ほどいてさまざまな時代の人たちが時を超えてくるという。

時の番人はそんな彼らを上空に連れ帰り元の時代にもどすのも任務の一貫らしい。



そうこうしているうちに城に到着した。

城の前には白髪の大きなバックを持った人物がこそこそあたりを見回していた。

「あれ?ミシェルじゃないですかー」

「うげっ」

ミシェルと呼ばれた人物が振り返りバツの悪そうな顔をする。

左右で目の色が違う、オッドアイを持っていた。

「オッドアイだ!!すげえ!まじでいるんだ」

りんごがミシェルの方にかけより、まじまじと顔を覗き込む。

「は、近!!なんだよ、この子っっ」

「ロストチャイルドですよー。仲良くしてあげてくださいね」

「その前に、そのバッグの中なんだ?あ?
最近金が次々消えていくなあと思ってたんだよ」

カイルがミシェルにつめよる。

「な…なんの話?おれはべつに…」

「目をみろ!!てめえな!無駄なことに使うなって何度言ったらわかるんだよ?!?!どーせ今回もアイドルのグッズとか買ってんだろ?」

「や…買ってなーー」

「わーすごい量です」
いつのまにかライトがバックを持っている。

「っっ!みんなよ!!」


「え!!俺もみたい!!この時代のアイドルみたい!!」

未来の女の子はどんな感じなんだろな!!エルフとかいたりしてーー

りんごがワクワクしながらバックを覗く。

「アイドルって男じゃねえかよ!!しかも似たような雑誌ばっか!」

りんごが嘆くようにいうとミシェルが反発する。

「全然ちがうよ!!たくとをバカにするな!!どんなポーズもめちゃくちゃかっこいんだからな!!」

ミシェルが憤慨する。

「買ってんじゃねえかよ」

ミシェルの胸ぐらを掴み上げる。

「ーーうう…ごめんなさい」

こいつもしかしてそっち系の人ーーー

「違うよ!!尊いと好きは別!!」

すかさずつっこむ。

「なんで考えてることがわかるんだ?!」

「顔見ればわかるっつーの!!」

りんごには強気なミシェルだがカイルの顔を見てまた小さくなる。

「その…ハイタッチ券がもらえるって聞いて…いてもたってもいられなくて、つい…」

「ついっていえる量ですかね、これ。明らかに10万はこえますよね」

ライトが呆れた表情でいう。

「この切符なんだ?」

りんごがバックの中から金色のカードを取り出す。

「ーーーっっ!!!」

「おわっっ!!」見た瞬間ミシェルがカイルを振り解き、りんごからカードを奪い取る。

「触らないで!!!おれの命のつぎに大事なカードなんだから!!!

100万注ぎ込んでようやく手に入ったんだよ!!

これでたくととハイタッチできるんだからっ!!!」

「ひゃ…100万だと?!?!」
カイルの顔に筋が浮かび上がる。

「あ、やべ」

しまった、と慌てて口を手で塞ぐ。

それも虚しく、カイルから雷が落ちた。

りんごは思った。


ーーーこいつバカなんだ。。


























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