【完結】最後つかまる

冬田シロクマ 

文字の大きさ
10 / 12

兄弟?

しおりを挟む
「今日からあなたがかすみの兄。
何ヶ月かは大雅くんの方が早いから…」

生まれた順番だろう。
半ば強制的に、俺の意思は関係なく勝手に話を進められていた。

「かすみには、大雅くんが私たち夫婦を選んでくれたって聞いたの」
「…」
「…?どうかしたの?恥ずかしいのかしら」

優しく笑う香澄の母親。
なにか含んだ笑みを浮かべる香澄が隣にいた。

してくれるって言ったよね?』

目を閉じると、香澄の言葉がこだまする。
事の重大さをわかっていない香澄。
だけど本当にことの重大さをわかっていなかったのは、俺の方だったとあとで気づく。

取り乱しても、このとき必死に抵抗すべきだった…と。

「あのとき、ここを乗り越えさえすれば、大雅は僕から簡単には離れられなくなる!って計算してたんだ」

ベッドの中で脇の下に手が入る。
大雅は目を開けず、かすみの手首を掴んだ。

「入ってくるな…」

地面から這い出たような低い声。
脇に入った腕が、ぎゅっと抱き締めてくる。
後ろ首に香澄の息を感じた。
  
「やめろって…」

顔を手で押す。
後ろに身体を向き直し手を離すと、「ふふっ」と花のように笑う香澄。
冷たい目で見る。

「なに…」

眠いのを振り払うように、長めの前髪をくしゃくしゃとかく。
イライラしたときの大雅の癖だろう。
そして大雅の瞳には、昔ほどの冷たさは残っていなかった。

ほだされたな…俺は。コイツに

あれから随分時間が経った。
じっくり、じっくりと優しくめげずに話しかけてくる。
少し距離が近いと思ったが、その他には意外なことに害はなかった。

寒いとベッドに入ってくるだけ。
だけど、たまにひっついて離れない。
ボンドでくっ付いたようなかすみを、無理やり自分の身体から離させていた。

「ねぇ大雅」
「なに」
「覚えてる?なんでもするって言ったの」

わずかに緊張が走る。
ニッと笑った気配がした。 

「随分昔の事な」
「半年前だよ。
……しばらく帰って来ないんだ。父さんと母さん,。
……あっ!待って」

ベッドから出ようとした大雅を引き摺り込む。

「ゔあ…」

大雅は絶望の声が漏れ出す。
力が強くなってしまった香澄。  
はかいじめにらされ、しっかりと抱きつかれている。
本気でやりあったら、勝てなくもないが、このときは起きたばっかりもあって力が出なかった。

「たいが…」

上に乗り、不意をかれキスをされた。
……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

Bランク冒険者の転落

しそみょうが
BL
幼馴染の才能に嫉妬したBランク冒険者の主人公が、出奔した先で騙されて名有りモブ冒険者に隷属させられて性的に可哀想な日々を過ごしていたところに、激重友情で探しに来た粘着幼馴染がモブ✕主人公のあれこれを見て脳が破壊されてメリバ風になるお話です。 ◯前半は名有りモブ✕主人公で後半は幼馴染✕主人公  ◯お下品ワードがちょいちょい出てきて主人公はずっと性的に可哀想な感じです(・_・;) ◯今のところほとんどのページにちょっとずつ性描写があります

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

卵を産んでしまったハーピィ男子の話

志田
BL
ハーピィのヒューイは相棒の天族のディオンに片想いをしていた。ある日、卵を産めるようになったのをきっかけに、こっそりディオンの子どもを作ろうと衝動的に計画するが…。異種族×異種族。おバカ受。

血液製の檻

サンバ
BL
囲い込み執着美形×勘違い平凡受け 受けのことが好きすぎて囲っている攻めと攻めのために離れようとする受け 両片思い 軽い流血表現

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしてもお金が必要で高額バイトに飛びついたらとんでもないことになった話

ぽいぽい
BL
配信者×お金のない大学生。授業料を支払うために飛びついた高額バイトは配信のアシスタント。なんでそんなに高いのか違和感を感じつつも、稼げる配信者なんだろうと足を運んだ先で待っていたのは。

処理中です...