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異世界の少女①
しおりを挟むルカは一人森の中を歩き、地形を観察しながら結界を構築していた。
深い森の中で神官の制服である白い長衣の装束は異物感があった。
二人の騎士と比べると細身だが、長身の彼はで長い脚で足早に歩く。
焦燥感に駆られていた。
間もなく生まれる魔物は魔王クラスの化け物だろう。
渦から漏れだす密度の濃いしょうきで大分離れた場所に来たが息苦しい。
限りなく死が近くにある。
今まで数多く魔物の討伐に同行してきたが、ここまで絶望的な状況ははじめてだ。
しかし、さすが王族と言うべきか王子は私たちに動揺を微塵も見せず、任務の遂行のみを考えていた。
希望は失っていない。
自分に与えられた役目、結界を張り、そして死を覚悟して戦う二人を治癒すること。
それをやり遂げるのみだ。
小高い丘を登った先にナツヤシの群生を見つける。
薄桃色の可愛らしい小花を咲かせ、茎の部分は火傷の軟膏の素材にもなる神殿ではなじみ深い植物だが。
「おかしい…」
季節は秋から冬になろうとしていた。この時期に花を咲かすなんて。
「えっ…!?」
薄桃色の花々の中に横たわる少女がいる。
同系色のドレスを着ていて気付くのが遅れた。
なぜこんな場所に?静かに眠っている少女に近付いて行く。
艶のある黒髪をハーフアップに結い上げて、繊細な刺繍が施された胸元の空いた薄桃色のドレスを着ている。
小作りで整った顔立ち、美しい少女だった。
「ここは危険です、もし…?」
何も羽織っていない、露出した肩に触れた時、異変に気付いた。
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