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動きだす

騎士様はダンスもお上手

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「すまないアキ…やりすぎた…」

自覚はあるんだね、ホントだよ何あれ?

「急にどうしたの?」

「あの占い師が術をかけようとしてるのが見えて、カッとしてしまった」

なるほど…

「ありがとう。俺のために怒ってくれて…」

ちょっとびっくりしたけど、新たなカイの一面見ちゃったな。

エーミル様の号令で仕切り直されたパーティは生演奏でのダンスが始まっている。
ファーストダンスはクラウス達、美男美女の二人は息もぴったりだ。

でも俺達は踊らないよ、まだお仕事あるからね。
シールズ騒動を遠巻きに見ていた国内貴族の皆様にご挨拶です。

これは正にアイドルの握手会だな、横にいるカイは敏腕マネージャーです。
事前に頭に入れていた貴族名鑑でトピアスのチェックが入っていた高位貴族の皆様。俺と個人的に仲良くなりたい息子さんがいる人達ね…その方々はカイの威圧とイヤーカフの効果で早々に退場…
後の皆様もテンポよく挨拶が終わり俺の役目は終了。

会場をみると壁際にトピアスとアハトがいたから、そちらに移動。果実水を飲んで休憩です。

「トピアス、シールズの人達はどうなった?大丈夫かな?」

「アルト様とルーカス様が対応されていました。お戻りになれば詳細がわかると思います」

父さんとルーカスで大丈夫なのか?と思ってたら二人が戻ってきた。

「アキ…間に合った…さあ父と踊ろう」

父さん…必死か…

「アルト様見苦しいですよ、父親の出番は練習までです。アキこっちにおいで…」

ルーカスに手を引かれ壁際に行くとルーカスがイヤーカフをはずして自分の胸ポケットにいれた。

「これは預かっとく。かわりにこれね」

俺の胸ポケットにはルーカスの髪色のチーフが…お前も準備してたんかい…

「アキ様、私と踊って頂けますか?」

差し出された手を取りホールの中央へ…
周囲の視線が自分達に集中しているのがわかる。

「ねぇルーカス、みんな見てるよ、恥ずかしい…」

「恥ずかしがるアキが見たいし、見せたい…大丈夫、俺にまかせて…」

音楽が始まる。
ルーカスの完璧なリードに、最初は緊張してた俺も楽しくなってきた。

「ルーカスやっぱり上手いね」

「アキも上手、ねぇもう一曲踊ろうか」

楽しくなってる俺はもちろん了承。
カイが切ない目で俺達を見てることも、トピアスが苦笑いしてることも会場中が息を飲んで見つめていた事も気が付かなかったんだ…

俺は知らなかった。
二曲続けて踊ることの意味を…
ルーカス、謀ったな…




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