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未来へ
女神の後悔
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「じゃあその人は転生したってこと?」
「そうね、魂がこの世界を求めていたのでしょう…」
アキに聞かれて思い出した遠い昔の話…
この世界と時間軸を同じくする日本の娘は意に沿わない縁談を嘆いて泉に身を投げた。
そしてシールズで運命と出会い幸せに暮らした…
あの子が幸せだったから、魂の片割れがこの世界にいたケイをこの世界に呼び寄せた。
世界に必要とされ、彼女も幸せになるはずと…
でもケイは違った。
「私にしか出来ない事があるならやる。でも終わったら日本に帰して…母には私しかいないの」
「皆貴方を忘れていても?」
「それでもよ…自分の目で確かめたい…」
はっきりと言い切ったケイ…
私は自分の過ちに気がついた。
母親からたった一人の娘を奪ってしまった事…
ケイはアルトを愛している。
けれども彼女は日本に戻る事を望んだ…
彼女の母親がケイにアルトの元へ戻るよう諭し、アルトと結ばれたケイはこの世界の為に尽力した。そして世界は彼女に期待した…
彼女が感じた違和感とアルトが背負った罪悪感…
私のやったことはケイとアルトを苦しめるだけだった。
「ルナ、私はこの世界でアルトと共に生きていく覚悟はできてるの。でもそれは今じゃない…」
カイがアキを見つけて、アキの未来がカイと共にあることが分かった時、ケイはアキにも選択肢を与えたいと言った。
「アキは日本で普通の男の子として育てたい…聖女と勇者の子ではなくて…」
結果的にはアルトとケイの決断は正しかったのだと思う。
今目の前にいるアキは、本当に素敵な子に成長した。
優しくて強くて美しい…日本で沢山の愛情を与えられたのが良くわかる。
与えた加護も必要ないくらいに逞しく新しい暮らしを受け入れている。
ケイの想いはこの世界も動かした。異世界の文明やシステムを取り入れて様々な改革が行われて、脅威から人々は解放された。今後はあの三人を中心に更に発展して行くはず…
「三人で協力すればきっと全てが上手くいきます。私の役目も一段落ですね、後は頼みましたよ…」
「え~ルナ様駄目ですよ、頼まれません。荷が重すぎます…」
「あの二人がいれば大丈夫」
「駄目です。ルナ様はこの世界のお母さんなんですよ、間違えそうになったらガンガン叱って諭さなきゃ…まだまだ隠居はさせませんよ」
「アキ…」
可愛い私の愛し子は可愛らしい口を尖らせてそう言った。
「ルナ様は後悔してるかもしれませんが、母さんが召還されなきゃ俺はこの世界にいなかったんですよ、母さんがこの世界に必要だったのは確かだし…」
「ありがとう、アキ…」
「ありがとうは俺のセリフです。この世界に戻ってこれて良かった…二人に会えて幸せです」
あぁ…貴方が産まれてきてくれて良かった…ありがとう…
「そうね、魂がこの世界を求めていたのでしょう…」
アキに聞かれて思い出した遠い昔の話…
この世界と時間軸を同じくする日本の娘は意に沿わない縁談を嘆いて泉に身を投げた。
そしてシールズで運命と出会い幸せに暮らした…
あの子が幸せだったから、魂の片割れがこの世界にいたケイをこの世界に呼び寄せた。
世界に必要とされ、彼女も幸せになるはずと…
でもケイは違った。
「私にしか出来ない事があるならやる。でも終わったら日本に帰して…母には私しかいないの」
「皆貴方を忘れていても?」
「それでもよ…自分の目で確かめたい…」
はっきりと言い切ったケイ…
私は自分の過ちに気がついた。
母親からたった一人の娘を奪ってしまった事…
ケイはアルトを愛している。
けれども彼女は日本に戻る事を望んだ…
彼女の母親がケイにアルトの元へ戻るよう諭し、アルトと結ばれたケイはこの世界の為に尽力した。そして世界は彼女に期待した…
彼女が感じた違和感とアルトが背負った罪悪感…
私のやったことはケイとアルトを苦しめるだけだった。
「ルナ、私はこの世界でアルトと共に生きていく覚悟はできてるの。でもそれは今じゃない…」
カイがアキを見つけて、アキの未来がカイと共にあることが分かった時、ケイはアキにも選択肢を与えたいと言った。
「アキは日本で普通の男の子として育てたい…聖女と勇者の子ではなくて…」
結果的にはアルトとケイの決断は正しかったのだと思う。
今目の前にいるアキは、本当に素敵な子に成長した。
優しくて強くて美しい…日本で沢山の愛情を与えられたのが良くわかる。
与えた加護も必要ないくらいに逞しく新しい暮らしを受け入れている。
ケイの想いはこの世界も動かした。異世界の文明やシステムを取り入れて様々な改革が行われて、脅威から人々は解放された。今後はあの三人を中心に更に発展して行くはず…
「三人で協力すればきっと全てが上手くいきます。私の役目も一段落ですね、後は頼みましたよ…」
「え~ルナ様駄目ですよ、頼まれません。荷が重すぎます…」
「あの二人がいれば大丈夫」
「駄目です。ルナ様はこの世界のお母さんなんですよ、間違えそうになったらガンガン叱って諭さなきゃ…まだまだ隠居はさせませんよ」
「アキ…」
可愛い私の愛し子は可愛らしい口を尖らせてそう言った。
「ルナ様は後悔してるかもしれませんが、母さんが召還されなきゃ俺はこの世界にいなかったんですよ、母さんがこの世界に必要だったのは確かだし…」
「ありがとう、アキ…」
「ありがとうは俺のセリフです。この世界に戻ってこれて良かった…二人に会えて幸せです」
あぁ…貴方が産まれてきてくれて良かった…ありがとう…
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