父親に会うために戻った異世界で、残念なイケメンたちと出会うお話【本編完結】

未来へ

トマスは見た

甘い…吐きそうな程甘い…
なんだこの状況は…

地獄の研修を終えてフォレストに無事戻れた私に与えられた任務はアキ様の影ではなかった。

「すみません、アキ様はトマスの事をご存知だったので、影ではなく私の後任として護衛についてもらいます」

トピアス様に告げられた衝撃の事実…アキ様が私を覚えていて下さったらしい。嫁も教会でアキ様の近くにいるらしく、公式な護衛として紹介したいとのこと…トピアス様の後任は荷が重いがやるしかない…

「大丈夫です。アキ様この間あなたの近衛の同僚を負かしてました。女神様の加護もありますし…まぁ終始あの二人が張り付いてますから胸焼けはするでしょうね…それくらいです」

遠い目をしたトピアス様…確かにアキ様は筋も良く覚えもはやかった。もう護衛いらないよね、婚約者二人は最強だし…
胸焼け？あぁなるほど…確かにこれは…

トピアス様と共にアキ様のお部屋に向かう。
異世界仕様だという一風変わった部屋には先日私の前でメソメソしていたルーカス様…
えっと…お二人距離近すぎませんか？

「あっ、騎士さんだ。お久しぶりです」

ソファーから立ち上がったアキ様を御自分の膝に乗せるルーカス様…そのソファーは三人掛けですよ…

「もぅルーカス恥ずかしいから離して…」

「いやだ…アキが足りないから…トマスにはトピアスの後任でアキの護衛についてもらう。うちの所属だ」

「トマスさんとおっしゃるんですね、これから宜しくお願いします」

アキ様…私のような者にそのようなお言葉…ありがとうございます命にかけてもお守りします。

「アキ…その顔は駄目だ…トマスは既婚者だが油断は出来ない…宜しくもいらない…」

ルーカス様…勇者様なんですよね…言動が残念すぎます…

「アキ様、トマスはユリアの夫ですよ」

「あっ！ユリアから良くお話は聞いてます。しばらく不在だったのはマリナに行かれてたんですね。ご苦労様でした」

あぁ…頑張って良かった…
アキ様ありがとうございます。

「アキ…俺もお仕事頑張ってるのに…」

ルーカス様…そんなキャラでしたっけ…アキ様の髪をくるくる触りながら口尖らせてる。

「もぅ…ルーカスは後でね…」

後で何をするんですか？
ルーカス様…幻かもしれませんが私にはパタパタ揺れるしっぽが見えます。
隣のトピアス様は苦笑い…
はい確かに胸焼けしますね。

「では私達は一旦戻ります。トマスは教会や国外への移動にはついて参ります。ルーカス様はお昼にはサファに戻るようドナート様から連絡がありましたよ…」

「ちっ…仕方ないな…アキがお昼御飯食べさせてくれたら行こっかな～」

「もぅルーカス、ドナート様に怒られちゃうよ…何食べたい？」

「アキとオムライス」

ルーカス様…昼間から何を言ってる…しかもアキ様なんか嬉しそうだし…
俺は何を見せられてるんだろう…

「ちなみにカイ様はもっとくっついてます。食べ物も手ずから食べさせて飲み物は口移しです…慣れるまで大変でしょうが頑張って…」

部屋を出た私に告げらた衝撃の事実…

「まぁアキ様も嬉しそうですしね…」

アキ様がお幸せならそれでいい…それでいいんだ…