底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

文字の大きさ
224 / 261
第6章

第3,5話(ミーツ不在話)

しおりを挟む

「ゔゔゔ、グスグス、ミーツさあん」
「アミ、いつまで泣いてんだ!いい加減にしねえと鬱陶しいぞ!」
「シーバス、そんな言い方ってないと思うよ?ミーツくんをあんな形で失ったんだよ。
少しは妹に対して優しくしてもいいと思うんだけどさ」
「そ、そうだそうだ!兄ちゃんは悲しくはないのか!おじさんが、おじさんが。アミが泣いてばかりだから、あたしまで涙が出ちゃう」
「ほらほら、アマちゃんも泣かないで。僕も思い出したら悲しくなっちゃう。アミちゃんだけじゃなく、アマちゃんまで泣いちゃうと、この子の機嫌が悪くなっちゃう」

 ミーツを失った彼の仲間たちはヤマト到着後、カプセルに入れられ眠っている間に検査が終わり、ギルド本部の待合室でヤマトでの行動や禁止事項などの説明を受け、最後に彼の仲間たちという理由で、特別待合室で担当者が説明をするために待っている状況での彼らの会話であった。

 士郎はダンジョンで拾った子供に『アキラ』と名付けて、常に抱っこして共におり、アミはカプセルから出てからずっと泣いており、アマはアミ同様にミーツをあのような状況で失ったことで悲しんでいた。
 そんな彼女らを鬱陶しそうにシーバスが怒鳴り、それを諌めるシロヤマであった。
 そんな状況の彼らは、部屋に入って来た者によって黙ることになる。

「あらん。ミーツちゃんの仲間たちの割には強さが足りないわね。士郎ちゃん、お久~。
あたしはダンク。ミーツちゃんと途中まで一緒にいた仲間よ」
「あ!ダ、ダンクさん?どうして此処に?」

 そうダンクであった。面識があるのは士郎だけであったものの、ダンクの異様ともいえる雰囲気に圧倒されるシーバスは咄嗟に身構えて妹たちの前に出て剣を構えた。

「シーバスの馬鹿!シーバスじゃ敵わないことくらい分かるでしょ!ボクが加勢してもこの人には勝てないよ」
「あらあら、このくらいの威圧でそんなに構えちゃわなくてもいいのに、案外可愛いのね。
 あなたたちの今の実力じゃ、この国の冒険者に淘汰されちゃうわ。良いわ、時間はまだたっぷりあるし、あたしが鍛えてあげる。あの方が言うには、ミーツちゃんは生きてて、これから最低でも半年から一年は会えないらしいから」

 そうダンクが威圧を解いて言うと、息を切らして咳き込むシーバスに、思いっきり息を吸い込むシロヤマ、驚きで固まっているアマとアミ、子供を抱き締めるだけで無言の士郎であった。

「あの、ミーツさんは生きて、いるんですか?」
「ええ、あの方の言葉を信じるなら生きているそうよ。今はまだあの罠の階層で落ちた暗闇の中にいるみたいだけどね」

 アミはダンクに恐る恐る質問し、ダンクの答えに一同が驚く。

「やっぱり!ミーツさんは生きているんですね!僕はそうじゃないかと思っていたんですよ!」
「あの人はどうやったら死ぬんだよ。
 だが、俺も礼を言えずじまいなのは心残りだったから、生きてて嬉しいぜ」
「だ、だよねー。さ、流石ミーツくんだよねー」
「おじさんってば、そんな暗闇の中で何やってんだろね。でも本当に生きてて良かったよ。
ね、アミ」
「うん!うん!!私、ミーツさんに再会したら告白する!それに、ミーツさんの足でまといにならないように実力付けます。ダンクさん!私を鍛えて下さい!」
「ふふふ、元よりそのつもりよん。
 そちらの双子のお兄ちゃんのシーバスちゃんよね、お兄ちゃんの武器は剣になるのだろうけど、剣だとシオンちゃんの分野だけど、あの人はお出掛け中なのよね。
 だから、皆んな素手や鈍器での戦い方を教えるわ。ミーツちゃんったら、レベルだけ上げれば良いと思ってんだもの、今のままじゃあこの先やっていけないわ」

 ダンクの言葉に一同は驚いたものの、すぐさまシーバスが食って掛かった。

「いきなり過ぎねえか?先に自己紹介が先じゃねえか?それもせず言いたいこと言いやがって、ふざけんじゃねえぞコラ」
「あらあら、さっき自己紹介したのに聴いてなかったの?でも、まあいいわ。
 特別に許してあげる。もう一度言うけど、あたしの名はダンクでSSランクの冒険者よ。仲間兼恋人予定の人が一人いるんだけど、お出掛けしてて今は居ないの。だからまた今度紹介するわ」
「まさか、シオンさんも此処に来ているんですか!一緒に旅をしてたなんていいなあ」
「そうよ士郎ちゃん。あたしたちはミーツちゃんと共に途中まで行動を共にしてたの。
でも、腐人がたくさんいたあの国で離ればなれになっちゃったのよ」
「なるほど、つまりダンク、あんたたちと別れたお陰でミーツさんは、俺たちと出会えたというわけか。あんたのことは分かった」

 ダンクは自身の自己紹介を済ませたら、士郎が羨ましいがっている最中、シーバスがダンクとミーツが離れた経緯に納得した。

「それで元仲間であるあんたが、なんで現仲間である俺たちに関わるんだ。アンタには関係ないだろ」
「あらあら、元だなんて失礼ね!
あたしもシオンちゃんも、今もミーツちゃんの仲間のつもりよ」
「でも別れたんだろ?別に腐人がたくさん居たって、SSランクだったら問題なく対処出来たんじゃねえか?それにあの人のあの異常ともいえる強さと、あの聞いたこともないスキルがあれば難なく切り抜けられたんじゃねえか?
まあ、そのお陰で俺たちと出会って助かったんだけどよ」

 シーバスの言葉に返す言葉を失うダンクは仕方なかったのよ!と声を張り上げて彼をビンタした。

「あの時は色々としょうがなかったのよ!
何も知らないのに勝手なこと言わないでちょうだい!」
「あの~、ダンクさん。兄さまが気絶してます」
「あらあら、あれしきの張り手で気絶だなんて、シーバスちゃんって弱いのね。
 それで、鍛えるのはアミちゃんだけでいいのかしら?他に鍛えて欲しければ、今声を出しなさい」

 そうダンクは腰に手を置いて言い放った。

「あたしも!あたしも強くなりたい」
「僕もアキラのためにも強くなります」
「俺は強くなるためにミーツさんに付いて村を出て来た。だから、俺も連れて行け」
「ボクは付いて行くわけにはいかないかな。
実のところ、ボクはボクの売られたりした兄妹や友達の居所が分かったんだ。だから、しばらくの間、このパーティから離脱するよ」

 アマ、士郎、ヤスドルが手を挙げたものの、シロヤマだけが付いて行かないと言い出す。
 彼女は、かのダンジョンの罠の階層でミーツを嵌めそうになったことを喉元寸前に止め、自分の種族捜しと言って離脱を表明した。
 すぐに気絶から正気に戻ったシーバスはそれを聴いて、それなら俺も付いて行くと言い出すも、彼女によって付いてくることは却下され、待っててと言われた。
 待つついでに、ミーツ宛の手紙を自分の代わりに渡して欲しいとも言われ、彼女はマジックバックから封筒に入った手紙を彼に手渡して、彼と熱い抱擁をしたあと、一人一人に元気でねと声を掛けて、ダンクに後のことはお願いしますと頭を下げて部屋から退出した。

「シロヤマ姉ちゃんも居なくなっちゃった」
「アマ、泣かないで。私もミーツさんと再会するまで泣かないから」
「そうだぞ。なにも一生涯の別れじゃないんだ。そのうち、ひょっこり帰ってくるさ。
俺が彼女が出て行って一番悲しいんだ」
「シロヤマさんは、そんな大事なことがあるのに僕たちに付き合って残ってくれてたんですね」
「あ!そうだ。手紙だけど、勝手に見ちゃダメだからね!ミーツくんのために書いた物だから、勝手に読んだら帰ってこないから!」

 彼女は顔だけ部屋に戻って、しんみりした空気の中、それだけを言って引っ込んだ。
 シーバスはそんな彼女を追いかけるも、既に遠くにいる彼女は遠くから絶対ダメだからと言いながら、ギルド本部内にある転移陣の部屋に素早く入って行った。

「クソッ、いったい何書いたんだ。
あそこまで念を押したら気になるじゃねえか」

 シーバスは受け取った手紙を開けようとした時、ソッと背後からダンクが手紙を取り上げた。

「シーバスちゃんダメよ。あの黒エルフの子が言った通りにしないとね」
「ちょっ、返せよ!このカマ野郎!」

 シーバスの一言にカチンと来たダンクは手加減した往復ビンタを彼に与え続け、次第に顔が腫れていく彼は為す術もなく再度気絶した。
 ようやく追い付いた他の仲間たちは顔が腫れた状態で気絶しているシーバスを見て、彼の妹たちはダンクに警戒して身構えるも、シーバスが言い放ったことを彼女たちにダンクが説明したところ、一同シーバスが悪いとのことで納得した。

 それからは、担当者が遅れて現れてミーツのスキルに関しての秘密厳守の誓約書をダンクを除いた仲間全員が書くことになり、ギルド本部を後にした。
 ダンクを含めた一同は、拠点となる宿は既にダンクがギルド本部近くの場所で見つけおり、そこに移動した。
 宿の食堂は宿泊以外にも解放されていることもあって、ギルド本部に近い場所の宿だけあって、ギルド本部の職員が多く食堂に寄ることもあった。そこでまたトラブルを起こすことになるのだが、それはまた別の話である。

 ダンクが新たな仲間たちをどう鍛え、どう変わるかについては、ミーツが再会した時にでも分かることだろう。



しおりを挟む
感想 303

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。