底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第6章

第29話

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「さあ、最初の破壊予定はここからですね」

用務員No.10の彼と人工ダンジョンの破壊にダンジョン街にやってきたのだが、この前一人で来た時は、ダンジョン街と聞いてやって来たのに普通の街でガッカリした印象で、今回仕事でやって来た今も何処に行くのだろうと思っていたら、一つの4階建てのマンションのような建物に入った。

「ここの建物自体がダンジョンで、建物の部屋全てもダンジョンなんですよ。
全部で20ほどありますけど、サクサク行きましょう」

そう言う彼の言葉に驚いた。ダンジョン街というから、そこら中に分かりやすい出入口があるかと思いきや、このマンション自体がダンジョンで、扉一つ一つが別々のダンジョンだというのに更に驚いた。この街にはこのような建物が沢山あるところ、その全てとはいわないものの、街のほとんどの建物がダンジョンだとしたら、途轍もない数のダンジョンがあることになる。ダンジョン街の規模はおよそ東京23区と変わらないくらいの広さみたいだ。

 学園都市自体が途轍もなく広いから、このくらいの土地は使っても問題ないのだろう。
 ヤマト国内だけでも、地球の陸地全てを合わせてもまだヤマトの方が広いというのだから、とんでもないことだ。
 ダンジョンマンションと呼ばれている建物に入ってみたら、エントラスに拳大の魔石が置いてあった。これがあるお陰で、一つ一つの扉に別のダンジョンを作成できるものらしい。
もちろん、一つ一つのダンジョンの中にも核があって、今回はマンション自体の核に手を出さずに、扉の中を調査し破壊するのが目的だ。
 彼は先ずは一階から回ると言って、扉の一つを開けた。

「ここは全て破壊して大丈夫でしたね。
まさか、ここまで放置しているとは思いませんでしたねミツルギさん」

 そうダンジョンマンションの最初に入った扉はただの一本道で、魔物は一切現れなくて核を壁の中に埋め込んでいるだけの所だった。
 その他の扉は、ヨロヨロに弱った状態のゴブリンが現れたり、痩せ細ったオークやオーガが現れた所もあった。
 それらの原因は核に弱い魔石を使ったダンジョンだからというものと、人が入らな過ぎて魔力の供給が出来ず、人工ダンジョンでは度々そのような現象がおこるのだとか。

 ダンジョンは人が入ってこそ機能するというもので、ダンジョンを制作し、ダンジョンマスターとなった者の魔力の供給がない状態が続くか、人の入らない人工ダンジョンは廃れて行き、こうして定期的に潰さないといけないらしい。しかし、ダンジョンマスターによる魔力の供給はわざわざダンジョンに行かなくても、魔力の供給を出来るが、その供給を絶ったからこうなったのだという。

 そうダンジョンマンションを出る時に彼からの説明で、ふと黄金のダンジョンのことを思い出した。あのダンジョンには、随分と行ってないことを目をつぶって思い出していたら、あのダンジョンの安全地帯に盗賊を置いて来ていたのを思い出した。

「あ!!!しまった!」
「急にどうしたんですか?驚くじゃないですか」

 盗賊たちのことを思い出した拍子に、心の中で思い出したことをそのまま声に出してしまい、相方の彼に驚かれてしまった。
 気になったら仕事どころじゃなくなってきたものの、急に消えたら彼に迷惑かけてしまうと思い、そわそわしながらも、次のダンジョン調査及び破壊を行っていった。

「なんだか、最初のダンジョンマンションを出て、ずっとそわそわしてませんか?
トイレを我慢しているのでしたら、待ってますから済まして来た方がいいですよ」

 俺の行動が余程上の空だったのか、彼にそう言われてしまい、転移で黄金のダンジョンの安全地帯に転移した。
 良くてミイラ化、悪くて白骨死体のどちらだろうと思いながらも、転移して辺りを見渡したものの、何も無かった。

 食べ物の食い散らかした後も、人が居た痕跡も何も無かった。 安全地帯とはいえ、人が死ねばダンジョンに吸収されるだろうかと思いながらも、魔力の供給のため、ダンジョンの核となる空間に転移したら、魔力の供給は必要なかった。何故なら、このダンジョンは今や、多くの冒険者たちで賑わっていたからだ。

 核がある空間で操作していると、過去にどの階層で何があったか分かる機能があったことで、安全地帯の盗賊たちがどうなったか見てみることにした。

 盗賊たちの行動は、しばらくの間、男同士肉体の求め合いを行ったあと、我に返った様子で落ち込む。そのあと、俺が置いて行った食料を食い尽くし、安全地帯の噴水の水だけで飢えを凌いでいたら、仮面を被った者が突然現れて手を掲げると、盗賊たちが消えた。

 その後の映像が消え、しばらくしたら映像が復活したものの、その時には人がいた痕跡が綺麗さっぱり消えていた。
 あの仮面は本部のギルドマスターであろう、見たことのある仮面だった。

 何故、ギルドマスターがあの場所にいたのか、何故、盗賊たちを連れて行ったのか、そして何処にいったのか謎は残るものの、盗賊たちがこのダンジョンで死んでなくて良かったと思って、用務員No.10がいる元に戻った。

「遅かったですね。丁度つい先程、一番に自家用魔導車で出発した人たちが到着したばかりで、何で私たちが先に来ているんだと説明を求められましたけど、私の能力じゃありませんし、どうしたものかと思っていたところだったんですよ」

 彼の背後には、不機嫌そうなNo.1と胸に書かれた男が腕を組んで立っていた。
 その彼と一緒に今回の相方で来ているNo.998と名乗る男は軽い感じの男のようで、彼が不機嫌な理由があの男の所為であるようだ。

「お前は上司である相棒を放って何処行っていたんだ!それに、俺たちより先に来ていたのは何故だ!」

 威圧的にそう怒鳴るNo.1に、その方法を実際に使ってやりますよと言って、彼ともう一人の相方に向かって手を突き出して出発時の場所まで転移させた。

「ちょっ!彼らを何処に転移させたのですか!
彼のことですから、早く元に戻さないと後で酷い嫌がらせをされますよ。その巻き添えを私も受けるのですから、早く元に戻してあげて下さい」

 そう焦るNo.10に焦らなくても元に戻すよ。と言って、五分ほど待った。

「何待っているのですか!早く!早くしないと!」
「ふふふ、分かった分かったって」

 余程、No.1からの嫌がらせが怖いのか、彼は何もせずにボーッと立っている俺の肩を掴んで揺らしながらそう連呼するのが面白くて、少し笑ってしまったものの、そろそろ良いかなと思い、俺も出発地点に転移して戻ったら、彼らは遠くの方で走っていた。
 気付かれないように彼らの近くに転移して気配を消して近付いたら、No.10が不安に思うような事を話していた。

「クソがあああ!絶対あのNo.10の野郎が何かやったに違いねえ!次会ったら時がアイツの最後だ!」
「ハハハハ、No.1さんチョー怒ってるぅ。
顔がゆでダコみてえ」
「誰がゆでダコだあああ!テメェも、今回の調査が終わり次第、タダじゃおかねえぞ!」

 随分とご立腹な彼だが、彼らの前方数十メートル先に転移して、消していた気配を元に戻した。

「何だあ。テメェはあの時の野郎じゃねえか!今回俺たちを出発地点に追いやったのは、テメェの仕業かよ!」
「さっきまでNo.10だって言ってたのに、今になって俺がやったことだって分かったんだね。
だったら、嫌がらせは俺にするんだね。
おっと、俺たちが先に目的地に着いた理由はこれだから」

 キレて今にでも俺に殴りかかってきそうな彼を、隣で笑いながら見ている相方と共にダンジョン街の元の場所に一緒に転移して戻った。

「あ?あれ、ここは?」
「ハハハハ、おっさん凄えじゃん!
転移持ちでも、ダンジョン街は転移出来ねえのに転移しちゃったよ」
「は?ああそういえば、あの看板はダンジョン街の入口だな。え、お前、転移魔法使えるのか?だったら先に言えよな!そうかそうか、だったら、コイツと交代で俺の相方にお前を任命してやるぜ」

 転移によって一瞬混乱したNo.1だったが、現状を把握した途端に、自分の相方であるNo.998と俺の交代を命じた。
 だが、ここにはNo.10もいるが、彼の様子を見る限り、俺とNo.998の交代と言われて大層嬉しそうだ。

「良かったですね。No.1さんとご一緒できて、でしたら、私は関係ないですよね」
「おう!お前は関係ねえ、ソイツ連れてさっさと調査してこい。ついでに俺の車を俺の車庫まで運転して帰れよ。少しでも傷付けたら分かってんだろうな?」

 余程彼が怖いのか、No.10は彼から車の鍵を受け取ると、すぐさまNo.998の手を引いて走り去って行った。
 残された俺は、不適な笑みを浮かべる彼と共にするのだが、どんなことされるのだろうかと楽しみ八割、不安二割といった感じで彼とダンジョン調査及び破壊をしにいくのだった。





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