底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第2章

第14話

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 とうとう村に着く事が出来たものの、門とかが全く無く、田舎の村はこれが普通なのだろうと思った。
 村を覆ってる柵も、申し訳程度に木の杭を適当な間隔で打ち込み、イバラの様な物が杭と杭の間に張ってあるだけだ。
 触ったら、乾燥してボロっと崩れる。
 大丈夫かこの村は!と思いながらも、村に入ったら、村の入口は広場になっていて、トーラスとその他の馬車を二台分くらいしか入れない広場だ。
 トーラスと馬車と子供たちは、村の外に待機させ、馬車と子供たちを守らせる為に冒険者達を残して俺はシスターとタゴにサクを連れて村の奥へと進んだ。
 村人は家から出てこようとしないものの、家の中から俺たちをジッと見つめている視線を感じた。

 村の奥にある家が長老の家だと言うので、彼らは後ろに下がらせて俺がノックして待つこと数分、扉を開けずに中から声を掛けられ、どんな要件で何しにこの村に来たとくぐもった声が聞こえてきた。
 出てきて話せないものかと考えたが、このまま話すしかないのかと思い、このまま話そうとしたら、タゴが俺の横に立ち扉に話し掛けた。


「長老、オラたちタゴとサクだべ。
この方は冒険者で何も悪い人じゃないべ」
「んだべ、頼むがらオラたちを中に入れて話だけでも聞いてくんろ」

 タゴとサクがそう言うと、扉が開いて老婆が出てきて、無言で中に入れと言わんばかりに首をクイっと上げて再度家の中に入って行った。
 彼女が椅子に座ってこちらの様子をジッと見つめているところ、説明を待っているのだろうと思って、俺が説明に入ろうとすると、後ろに控えていたシスターが出てきて、俺の代わりに説明してくれた。

 この村で子供たちと、子供たちを世話する大人たちが生活したら、若い子たちが増え、活気が付いて村自体大きくなるのでは?と説明してくれた。
 だが、説明を聴いているうちに彼女の眉間に皺が寄っていき、こちらの提案は聞き入れてくれなさそうだ。


「ワシらは老人ばかりですから、もう静かに暮らしたいのですが」
「では、ここの近くに村を作り、静かに暮らしたい人はここに残り、子供らと一緒に生活したいって人が居れば、そちらに移るってのじゃダメでしょうか?」
「そんな者はこの村には居ないと思いますがいいでしょう。村人達に聞いてみましょう」

 面倒そうに彼女は口を開いたものの、村人に聞いてもらえることで、少しは受け入れてもらえる希望があるのではないかとホッとした。
 彼女はタゴとサクを連れて広場に向かい、彼らに村の家々の声掛けを任せて彼女は広場の中央に立っている。
 シスターはもっと快く受け入れて貰えると思っていたようで、落胆した様子で申し訳なさそうに俺に謝ってきたものの、無事にコトが済めば良いが、受け入れを拒否されたらと思うと、ここまできて帰るわけにも行かないため、頭を悩ませる問題に頭が痛くなる。

 村人たちと長老である彼女をいれても全部で四十~五十人程しか居ない村だが、彼女を中心に輪になって集まった所で先程、俺が提案した事を皆んなに伝えると、殆どの人が受け入れを承諾した。
 拒否した人は彼女と変わらないくらい歳取った老人くらいなもので、四十中三十人は受け入れを歓迎した。
 受け入れてくれた事に俺は嬉しかったが、拒否する人がいるのであれば、別に村を作る必要があると思い、再度長老に問う事にした。


「長老みたいに拒否される方がいるので近くに村を作ります。この村はこのままにして、子供達と共に生きたいと思う方を連れて行きますがいいですか?」
「いいも悪いも、皆が決めた事。
ワシら老人は静かにここに残るべ」
「長老!子供達と触れ合えればきっと考えが変わんべ」
「んだべよ、タゴの言う通りだべよ!みんなで育てよう!」
「お前たちは村から勝手に出て行ったべ、今更何言ってんだ」

 段々と賛成派と反対派の口論が激しくになってきたから、俺は賛成も反対も関係なく近くに村を作る事を提案し、新しく作る村はどのくらい離れて作れば良いかを聞く事にした。


「普通に生活しで声が聞ごえなければそれで良い」
「なら、ここから2~3キロくらい離れていたら良いですかね?」
「ああ、それなら良いが今後ワシらの村に迷惑はかけて貰いたくは無い」
「分かりました。でも私がこれから作る村や家々に着いての質問は一切受け付けません。
そして、子供達と一緒に生活したいと思ったらいつでも受け入れますから」
「あんだが新しい村の長老かい?」

 俺が代表だとでも思ったのか、彼女はそう言ってきたが、俺はすぐさま否定し、俺の考えていることを伝える。

「いえ、違います。新しい村の長老か代表は、先程のシスターか別の者にお願いしようと思ってます。本来なら私は子供たちをこの村に送り届けた後にでも、ある程度の生活環境を支援して、すぐに出立する予定だったのですが。
 予定が変わり村を作らなければいけなくなってしまいましたけど、直ぐに作る事ができる事が私には可能です。
 村を作り環境が整い次第、行く所が有りますので出立します。
それらが終われば、いずれは今回新しく作る村に帰ってくるかもしれません」


 俺がそう言うと彼女は頷き、村人達を解散させ、散り散りに家に戻って行く。
 移転を希望する村人に新しい村に関する質問をされたが、とりあえず明日村を作るから今日の所は帰って明後日に村に案内すると言って帰ってもらった。
 俺はタゴとサクを呼び、どの辺りなら作っても問題ないか検討する事にした。
 シスターは別の用件で村の人に話があるとかで何処かに行ってしまったが、タゴとサクと一緒に村から出て来た所を姐さんに見つかり、説明を要求されたから村であった経緯を説明した。


「分かったけど、どうするのかしら?新しい村を作るなんてミーツちゃんに出来るの?」

 コソッと姐さんの耳元に近付いて、想像魔法で作る事を伝えた。
 そして、先程トーラスが暴走して俺がトーラスに抱きついて居た辺りに戻り、そこに作る事に問題ないかをタゴとサクに聞くと、問題ないようでこの場に作る事に決めた。

 俺の魔法の事を知ってる人を除き、余り見られたく無かったから、冒険者たちには帰ってもらいたかったが、まだ馬車が必要な為、もう一泊だけ俺のこの場所が見えない場所まで移動してもらう。
 移動先で、こっそりと食材の野菜と竃や水がタップリ入った壺を、想像魔法で作って置いて世話役の人に見せた。
 こんな物どうしたのかと聞かれたが、今までの野営の時と同じで、土魔法と水魔法で作ったと適当な事を言い誤魔化す。
 もう日が暮れ始め、日が沈みかけていたものの、俺だけ先程の新しい村を作る予定地に戻り、とりあえず作り始める想像をしだす。

 まずは土台となる地面を平地に正すべく想像魔法で慣らしていく。
 今現在ここに居る地面は、デコボコではないものの、家を建てるには些か、都合が悪い地形していた為、平らにする想像やると、かなりの広さになってしまったが、村の中で畑を作ったりすることを考えたら、どれだけでも広い方がいいと思い、今度は平らにした地面を取り囲むように壁を作る作業に取り掛かる。

 王都にある様などでかい物は作らず、高さ五メートルくらいで厚さを一メートルくらいの煉瓦で出来た壁を作り出すが、壁を作っていくと、目の見えない範囲になってくる場所が出てきて見えない場所に作ろうとしても出来なかったり、出来ても歪な形だったりしていた為、移動しては作っていく作業をおこなっていく。
 壁を作り始めて半分くらい来た頃か、俺の背後から姐さんが声をかけてきた。


「ミーツちゃん、やり過ぎよ!これ王都の平民街より広いんじゃない?それに、ミーツちゃんボーッと突っ立ってるだけで地面が平らになったり壁ができたりしてるから、怪し過ぎよ!」

 そう姐さんが言ってきた。確かにその通りだが形だけでも、手をかざした方が良かったかも知れないと思い、次の作業からは手をかざす振りだけでもやりだす。
 俺の周りや姐さんの背後を見ても姐さんだけだったから、安心して作業を続ける。

「本当に今夜と明日だけで村が出来ちゃう勢いね。他の子達は止めておいて正解だったわ」
「あ、ダンク姐さんだけしかいないと思ったら止めてくれたんだね」
「そうよ!ミーツちゃん一人で行っちゃうもの。愛ちゃんたちや、キャロちゃん達に賢ちゃんたちとか、ミーツちゃんが大好きな人達みんな来る所だったのよ?」
「そうなんだ。ありがとうダンク姐さん。
とりあえず今日の所は、壁だけは全部終わらせてそっちに戻るよ」

 俺がそう言うと、姐さんは程々にね、と言い去って行ってくれた。
 残った俺は宙に浮き、空からやる事にした。
 地上でやると他の人に見つかる可能性があるからだ。今回は偶々姐さんだったから良かったが、他の人だったら弁解しなきゃいけないから大変だったと思う。空に飛び上がって浮いたまま、壁作りを再開した。





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