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オホホ
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今日は平気だろう。
急いでいたから、そう考えてしまった。
終電が迫っている。乗り過ごしたらタクシーで帰るかホテルに泊まらなければいけなくなる。
とてもそんなもったいない事はできない。
だから急いでいた。
急いでいたから、近道を通ろうと考えただけ。
大丈夫。下を向いて、明るい音楽を聞いて、早足で行こう。
その公園を、夜に通るのは嫌だった。
変な話があるからだ。
夜11時以降にそこを通ると、必ず着いてくる。
ある女が。
ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを奥まで入れる。
ゴム製キャップのイヤホンは、奥まで入れると気圧のせいで鼓膜が痛む。
だけれど、今日は我慢する。
早足で公園を歩く。
ベンチ、穏やかな噴水、ジャングルジムを横目にペースを上げる。
昼間はきっと素敵な場所なんだ。
親子やおじいちゃんおばあちゃん、その他にもいろんな人が行き交っていて。
公園の出入り口を示す石門が見えてきた。
耳の奥で名前も知らない流行りの歌が流れている。
オホホ、オホホ
歌声の間に何か聞こえた。
ドクドクと脈打つ心臓。
泣きそうになる目をギュッとつぶり、薄目で走り抜ける。
その間、ずっと、ずっと。
オホホ、オホホ、オホホ
声は私の耳元で聞こえる。
隣に居る。女が、居る。
急いでいたから、そう考えてしまった。
終電が迫っている。乗り過ごしたらタクシーで帰るかホテルに泊まらなければいけなくなる。
とてもそんなもったいない事はできない。
だから急いでいた。
急いでいたから、近道を通ろうと考えただけ。
大丈夫。下を向いて、明るい音楽を聞いて、早足で行こう。
その公園を、夜に通るのは嫌だった。
変な話があるからだ。
夜11時以降にそこを通ると、必ず着いてくる。
ある女が。
ノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを奥まで入れる。
ゴム製キャップのイヤホンは、奥まで入れると気圧のせいで鼓膜が痛む。
だけれど、今日は我慢する。
早足で公園を歩く。
ベンチ、穏やかな噴水、ジャングルジムを横目にペースを上げる。
昼間はきっと素敵な場所なんだ。
親子やおじいちゃんおばあちゃん、その他にもいろんな人が行き交っていて。
公園の出入り口を示す石門が見えてきた。
耳の奥で名前も知らない流行りの歌が流れている。
オホホ、オホホ
歌声の間に何か聞こえた。
ドクドクと脈打つ心臓。
泣きそうになる目をギュッとつぶり、薄目で走り抜ける。
その間、ずっと、ずっと。
オホホ、オホホ、オホホ
声は私の耳元で聞こえる。
隣に居る。女が、居る。
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