煽りスキルMAXのメスガキ、異世界で無双するも時々敗北する件

第一章

36話 決闘終了後

煽りの覇者が完全に倒れ、静寂が訪れた。その瞬間、私の体の緊張が解け、倒れ込んでしまう。リリアが無表情で、まるで何事もなかったかのように立ち尽くしているのを見ながら、私は信じられないような気持ちでその場に立ち尽くした。

「リ、リリア……」

「うるさいな～やっと終わったんだし、静かにしててよ」

リリアは手を一振りし、その周囲に残った黒い霧を軽く払うようにして言った。まるで彼女の言葉に意味もないかのように、あっさりと戦いが終わってしまったように感じた。

「お前、ほんとにすごいんだな……」

私はふと声を漏らしながら、リリアの方を見た。彼女がどれほど強力な力を持っていたか、ようやく実感できた。それは、戦いの中でわずかに見せてくれたその本気の力、ただならぬ威圧感によって強く感じ取った。

「当たり前じゃーん。私、めんどくさいけど、やるときはやるって言ったよ？」

リリアはあくまで軽い調子で答えるが、その目には確かな強さと冷徹さが宿っている。私が見たかった、彼女の本気の一面をようやく目にした気がした。

「でもさ、リリアの煽りでこんなに混乱したんだから、もう少し何とかしてよ」

私は少し不満げに言うが、リリアは何も気にしていない様子で肩をすくめた。

「だって、面倒だから。言葉遊びが楽しかったんだし、別にいいじゃ～ん」

「いいわけないだろ！」

私は反論しながらも、リリアの飄々とした態度にどこか安心感を覚える自分がいる。彼女は常に冷静で、どんな状況でも何とかしてくれる、それがわかっているからこそ、私は彼女に頼ってしまう。

「まぁ、でも、今日は頑張ったんだから。許してあげるよ」

リリアが少しだけ笑みを浮かべ、そう言った。

その言葉に私は少し驚きながらも、自然と肩の力が抜け、思わず笑みがこぼれた。

「ありがとう、リリア」

私は心からそう言った。そして、リリアはあまりにも自然に、また軽く首をかしげながら言った。

「うん、別に気にしなくていいって。私、あんたが戦うのも面白いから、今後も一緒にやるつもりだし」

その言葉に、私は少しだけ嬉しく感じた。リリアの強さと、その隠れた優しさが伝わってきて、心の中で少し温かくなるのを感じた。

「まぁ、でも一つ言っておくけどさ」

リリアが突然真剣な表情を浮かべ、私の顔をじっと見つめた。

「あんた、まだまだ甘いよ。次、こんな状況になったら、あんただけじゃどうにもならないってこと、ちゃんと分かってね」

その言葉に、私は少し心に響いた。リリアの本気の警告。彼女はいつも冷静で、私に対しても正直に言う。その強さと冷徹さに、私は改めて彼女の頼もしさを感じる。

「分かった、気をつけるよ」

私は力強く答え、再びリリアを見つめた。彼女の強さに引っ張られて、私ももっと強くなりたい、そう思った。

その後、私たちは王都の残党と協力して、崩壊した街を再建する作業を始めた。リリアの力もあって、最終的には街の復興も一段落し、王都の人々も少しずつ落ち着きを取り戻し始めた。

「ふーん、案外やればできるじゃーん」

リリアが少しだけ得意げに言う。その言葉に、私は思わず笑ってしまう。

「お前、ほんとに何もかも軽く見すぎだろ」

「そんなことないって～私だって、結構気にしてるんだから」

リリアの冗談交じりの言葉に、私はまた笑いながら、少しだけ肩の力が抜けたような気がした。

私たちの戦いはまだ終わらない。でも、今はこんなふうに、リリアと一緒に過ごしていけることが、何よりも心強く感じられた。