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終章 最強のお願い(ノア視点)
すべてがおわって
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「あ……」
私は自分が寝ていた事に気がついた。
フワリとした布の上に寝ていて、なんだか懐かしい匂いがした。
誰かのお膝に頭を乗せて寝ていた。
「目が覚めた?」
誰かが私の髪を撫でて言った。
ここは祭壇の上のようだ。祭壇にある柱に寄りかかって誰かが座っている。私はその人のお膝に頭を乗せて寝ていたらしい。
誰だろう……グッと頭を動かして顔を見る。
「ママ?」
びっくりして私は飛び起きた。
私はママのお膝に頭を乗せて寝ていたのだ。
「ごめんなさい、ノア」
起きた私を抱き寄せてママが言った。
「どうして?」
「リーダ……様に怒られちゃった」
涙目でママが言った。
チラリとママの顔を見ると微笑んで嬉しそうだった。
「リーダが?」
「ノアに会いに行きなさーい……って、怒られちゃった」
「え?」
「リーダがレイネアンナを助けたのよぉ」
トコトコと私に近づいたロンロが言った。
リーダが、ママを助けた? 会いに行きなさいって言った?
私はリーダに言わなかったのに。ママに会いたいって言わなかったのに。
リーダは知っていたんだ。
私がママに会いたい事を。
「おぉ、目覚めたでござるか」
オークの戦士に戻ったハロルドが近づいて言った。
「ハロルド、呪いは?」
「ふむ。そちらにおられるご母堂様に解いて貰ったでござるよ」
「完全な解呪ではないから、また戻ってしまうけれどね」
ハロルドの呪いを解けるなんて、やっぱりママは凄い。
よく見ると、周りの景色はすっかり変わっていた。
祭壇の壁は壊れて、そこから外が見えた。祭壇の外は、何も無かったはずなのに、木が一杯生えていた。魔物はどこにもいなかった。
夜だったのに、またお昼になっていた。
風が良い匂いを運んできた。そして空は真っ青で綺麗だった。
「魔物が草木に化けたですゾ」
「凄い音がして、雲が吹き飛んだでゴンス」
キョロキョロと辺りを見回す私に、キンダッタ様とマンチョ様が近づいてきて言った。
「お嬢様!」
チッキーが駆け寄ってきた。
ピッキーにトッキーも。
「パリンって空が割れてお昼になりました」
「流れ星が凄かったです」
「地震が沢山起こったでち」
皆が口々に不思議な事を言った。
他にも巨人が出たり、光の柱が輝いたらしい。
沢山の不思議。
でも、私は誰がやったのかを知っている。
きっとリーダが何かやって、それで奇跡が起きたのだ。
「魔神も、魔王もいなくなって、平和になったに違いない」
ゆっくりと近づいてきたお爺ちゃんがお髭を撫でながら言った。
「さて、後はリーダ様達が戻られれば万事めでたしですね」
ファラハ様が近くに立って言った。
私は知っている。
リーダ達はもう居ない。わかってしまった。ずっと感じていたつながりが無くなっている。
皆、元の場所に戻ったのだろう。
「うん……」
でも、私は皆がいない事を言わない。
「どこにいようとも探すだけでござるよ」
ハロルドが言った。
そうだ。
遠くに行っても、テストゥネル様は手紙を渡せると言った。
私は足下を見る。
皆で作った積層魔法陣は、焦げたよう黒ずんでいた。
壊れているのかもしれない。
でも、問題無い。
とりあえず手紙を送ろう。
そして、もう一度魔法を使って、リーダに会うのだ。
壊れていたら勉強して治せばいい。
「困ったときは、笑顔になって、周りを見て、何が出来るか考える」
私は呟く。リーダが教えてくれた方法を呟く。
「何か言った?」
「ううん。何でも無いのママ」
私はフルフルと首を振った。
「ふむ、クローヴィス殿は早速探しているようでござるな」
ハロルドが空を見上げて言う。
遠くの空に、フラフラと飛ぶクローヴィスが見えた。
「うん。負けていられないね」
私はできる限りの笑顔で言った。
空はすっごく青くて、どこまでも綺麗に続いていた。
――完――
私は自分が寝ていた事に気がついた。
フワリとした布の上に寝ていて、なんだか懐かしい匂いがした。
誰かのお膝に頭を乗せて寝ていた。
「目が覚めた?」
誰かが私の髪を撫でて言った。
ここは祭壇の上のようだ。祭壇にある柱に寄りかかって誰かが座っている。私はその人のお膝に頭を乗せて寝ていたらしい。
誰だろう……グッと頭を動かして顔を見る。
「ママ?」
びっくりして私は飛び起きた。
私はママのお膝に頭を乗せて寝ていたのだ。
「ごめんなさい、ノア」
起きた私を抱き寄せてママが言った。
「どうして?」
「リーダ……様に怒られちゃった」
涙目でママが言った。
チラリとママの顔を見ると微笑んで嬉しそうだった。
「リーダが?」
「ノアに会いに行きなさーい……って、怒られちゃった」
「え?」
「リーダがレイネアンナを助けたのよぉ」
トコトコと私に近づいたロンロが言った。
リーダが、ママを助けた? 会いに行きなさいって言った?
私はリーダに言わなかったのに。ママに会いたいって言わなかったのに。
リーダは知っていたんだ。
私がママに会いたい事を。
「おぉ、目覚めたでござるか」
オークの戦士に戻ったハロルドが近づいて言った。
「ハロルド、呪いは?」
「ふむ。そちらにおられるご母堂様に解いて貰ったでござるよ」
「完全な解呪ではないから、また戻ってしまうけれどね」
ハロルドの呪いを解けるなんて、やっぱりママは凄い。
よく見ると、周りの景色はすっかり変わっていた。
祭壇の壁は壊れて、そこから外が見えた。祭壇の外は、何も無かったはずなのに、木が一杯生えていた。魔物はどこにもいなかった。
夜だったのに、またお昼になっていた。
風が良い匂いを運んできた。そして空は真っ青で綺麗だった。
「魔物が草木に化けたですゾ」
「凄い音がして、雲が吹き飛んだでゴンス」
キョロキョロと辺りを見回す私に、キンダッタ様とマンチョ様が近づいてきて言った。
「お嬢様!」
チッキーが駆け寄ってきた。
ピッキーにトッキーも。
「パリンって空が割れてお昼になりました」
「流れ星が凄かったです」
「地震が沢山起こったでち」
皆が口々に不思議な事を言った。
他にも巨人が出たり、光の柱が輝いたらしい。
沢山の不思議。
でも、私は誰がやったのかを知っている。
きっとリーダが何かやって、それで奇跡が起きたのだ。
「魔神も、魔王もいなくなって、平和になったに違いない」
ゆっくりと近づいてきたお爺ちゃんがお髭を撫でながら言った。
「さて、後はリーダ様達が戻られれば万事めでたしですね」
ファラハ様が近くに立って言った。
私は知っている。
リーダ達はもう居ない。わかってしまった。ずっと感じていたつながりが無くなっている。
皆、元の場所に戻ったのだろう。
「うん……」
でも、私は皆がいない事を言わない。
「どこにいようとも探すだけでござるよ」
ハロルドが言った。
そうだ。
遠くに行っても、テストゥネル様は手紙を渡せると言った。
私は足下を見る。
皆で作った積層魔法陣は、焦げたよう黒ずんでいた。
壊れているのかもしれない。
でも、問題無い。
とりあえず手紙を送ろう。
そして、もう一度魔法を使って、リーダに会うのだ。
壊れていたら勉強して治せばいい。
「困ったときは、笑顔になって、周りを見て、何が出来るか考える」
私は呟く。リーダが教えてくれた方法を呟く。
「何か言った?」
「ううん。何でも無いのママ」
私はフルフルと首を振った。
「ふむ、クローヴィス殿は早速探しているようでござるな」
ハロルドが空を見上げて言う。
遠くの空に、フラフラと飛ぶクローヴィスが見えた。
「うん。負けていられないね」
私はできる限りの笑顔で言った。
空はすっごく青くて、どこまでも綺麗に続いていた。
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