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後日談 その2 出世の果てに
偉人
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皆の視線が、ミズキの指さしたソレに釘付けだった。
「おおっ、気づかれましたか!」
以前は偉ぶっていた村長が、うってかわった猫なで声で言った。
「えぇ」
「では、まずは案内しましょう。おい、道をあけさせろ!」
「道をあけろー!」
「ピッキー様達が通られるぞ!」
村長の命令で、彼の護衛が大声をあげる。
そして勢いに押されるように海亀は、案内に従って進む。
「あれは、ノーズフルト様のお考えなのです。ノーズフルト様が! ノーズフルト様がですな、故郷を盛り上げるべく命じられたのです。今や、王都にて立派なお立場になられましたノーズフルト様の心づかいなのです」
村長が海亀の前方を小走りで進みながら、説明をする。
どうやら、村のシンボルとして設けられたソレは、ノーズフルトという人の発案らしい。
「ノーズフルトって、前に来たときにボク達を案内してくれた人っスよね」
「そうそう。飛空船に乗せてくれた人で間違いないと思います」
同僚達の言葉で思い出す。
徴税官吏と揉めたときに仲裁してくれた人だ。そんな彼が、あれを考案したのか。何を考えているのだろうと思った。
そして、海亀が止まる。
「うわっ、マジで凄い」
「迫力あるぞ、これ」
「そっくりだと思います。思いません」
街に入ってすぐにオレ達が見つけたソレを前に皆がもりあがる。
そう。巨大なピッキー達獣人3人の像を前に。
それは茶色く輝く金属製の巨像……銅像だった。
チッキーが中央で万歳したポーズで立っていて、その両サイドにトッキーとピッキーがポーズを決めて立っている。凄く立派な銅像だ。
「あの、違うんです。オイラ達、知らなかったんです」
ピッキーが大慌てで弁明する。
「大丈夫。ピッキー達が知らなかった事は、わかっているよ」
慌てる彼に、笑顔で答える。
そりゃ知るわけないよな。
「ささっ、どうぞ。皆様、お近くでご覧ください」
村長に促されて、海亀から降りて銅像の近くによってみる。
「聖女ノアサリーナの従者として、魔神との戦いに貢献したる英雄3人。力のピッキー、勇気のトッキー、知恵のチッキー、生誕の地ですって。フフッ」
カガミが楽しそうに笑う。銅像の足元に書かれた説明のプレートを読み上げたらしい。
「もちろん。ご生家においても、保存する予定にございます。果ては博物館なども考えていますので」
上機嫌に笑うカガミに気をよくした村長は、そそくさと近寄ってきて説明した。
いろいろと今後の予定も考えているらしい。
「博物館ですか」
「左様です。わたくしめは、かのフラタナ! ……にて幼少のおり学んだことがありまして、歴史は、ひいては博物館が大事だと知っております」
「フラタナ?」
「ここ、キトリア領におけるもっとも大きな街ですよ。王子」
村長が、ことさら強調したフラタナという言葉……それについて首をかしげたら、すぐにイオタイトが補足説明を加えてくれた。
村の外にある都市で学んだことがあるインテリですよってことかな。
「イオタイトさん、あの銅像……どう思います? あれって普通の事なんでしょうか?」
不安な点があったので、念の為にイオタイトへ小声で問いかける。
「立派な銅像ですね。歴史に残る偉人でも、なかなか無いですよねー」
イオタイトが半笑いで答えた。
よかった。やっぱり銅像はやりすぎらしい。オレの感覚は間違っていなかった。
異世界では常識ですよって言われたらどうしようかと思った。
「あの、ご不安な点でも……」
村長がおそるおそるといった調子で声をかけてきた。イオタイトとのコソコソ会話が気になったらしい。
そんな彼は、泣きそうな顔で言葉を続ける。
「やはり、ピッキー……様のお父上に、村長を代わるべきでしょうか?」
「いや? それは別に考えていませんが」
「そ、そうですか。いや、はい。良かった……いえ、これからもおまかせください」
村長が安堵の声をあげた。
さて、どうしようかな。ピッキー達が困りきっている。自分達の銅像を前にして、落ち着かないようだ。それに、この調子だとピッキー達は両親と自由に話ができない雰囲気でもある。
「せっかくだ。ピッキー達は両親と、実家でお話しておいで」
ということで、彼らをこの場から遠ざけることにした。
「私も賛成です。村長様もよろしいでしょうか?」
ノアがオレの言葉にうなずき、村長へと語りかける。
「もちろんですとも! では、護衛をつけましょう」
村長が大きくうなずき、指示を出し始める。護衛はいらないだろうと思ったが、周りを見ると、いつの間にか野次馬が集まって取り囲んでいた。そして彼らの視線はピッキー達に集まっている。
あの中を歩くには護衛が必要なのだと納得できた。
「皆のアイドルっスよね。マネージャーに庇われて進む感じっス」
屈強な護衛に囲まれて進むピッキー達をみて、プレインが表す。
言われてみると、すごくしっくりくる表現だ。
そして、野次馬達の大半も彼らについて移動し、オレ達の周りにはすっかり人がいなくなった。
「そうだ。村長、ゲオルニクスという人を探しているのですが……」
人がいなくなったところで、次の目的であるゲオルニクスを探すことにする。
前情報が正しければ、彼はこの村にいる。
「大魔法使い様でございますな。はい、では、わたくしめがご案内致します」
村長はどこにいるのか知っているようで、二つ返事で案内を買って出てくれた。
「ではお願いします」
そういって、案内をお願いする。
そして皆でゾロゾロと歩いてだだっ広い村の道を進む。
海亀は銅像側で休憩するつもりのようで、手足を引っ込めて動かないからだ。もしかしたら、人混みにビビっているのかもしれない。
「はい。おまかせください。こちらの海亀様は、村の者にてお見守りしますので、ご安心ください」
村長の言葉にあまえて、海亀は放置。のんびりと歩く。
それにしても、ノーズフルトには、どういうつもりで銅像を造ったのか確認したほうがいいな。
巨大な銅像を見て、少しだけそんなことを思った。
「おおっ、気づかれましたか!」
以前は偉ぶっていた村長が、うってかわった猫なで声で言った。
「えぇ」
「では、まずは案内しましょう。おい、道をあけさせろ!」
「道をあけろー!」
「ピッキー様達が通られるぞ!」
村長の命令で、彼の護衛が大声をあげる。
そして勢いに押されるように海亀は、案内に従って進む。
「あれは、ノーズフルト様のお考えなのです。ノーズフルト様が! ノーズフルト様がですな、故郷を盛り上げるべく命じられたのです。今や、王都にて立派なお立場になられましたノーズフルト様の心づかいなのです」
村長が海亀の前方を小走りで進みながら、説明をする。
どうやら、村のシンボルとして設けられたソレは、ノーズフルトという人の発案らしい。
「ノーズフルトって、前に来たときにボク達を案内してくれた人っスよね」
「そうそう。飛空船に乗せてくれた人で間違いないと思います」
同僚達の言葉で思い出す。
徴税官吏と揉めたときに仲裁してくれた人だ。そんな彼が、あれを考案したのか。何を考えているのだろうと思った。
そして、海亀が止まる。
「うわっ、マジで凄い」
「迫力あるぞ、これ」
「そっくりだと思います。思いません」
街に入ってすぐにオレ達が見つけたソレを前に皆がもりあがる。
そう。巨大なピッキー達獣人3人の像を前に。
それは茶色く輝く金属製の巨像……銅像だった。
チッキーが中央で万歳したポーズで立っていて、その両サイドにトッキーとピッキーがポーズを決めて立っている。凄く立派な銅像だ。
「あの、違うんです。オイラ達、知らなかったんです」
ピッキーが大慌てで弁明する。
「大丈夫。ピッキー達が知らなかった事は、わかっているよ」
慌てる彼に、笑顔で答える。
そりゃ知るわけないよな。
「ささっ、どうぞ。皆様、お近くでご覧ください」
村長に促されて、海亀から降りて銅像の近くによってみる。
「聖女ノアサリーナの従者として、魔神との戦いに貢献したる英雄3人。力のピッキー、勇気のトッキー、知恵のチッキー、生誕の地ですって。フフッ」
カガミが楽しそうに笑う。銅像の足元に書かれた説明のプレートを読み上げたらしい。
「もちろん。ご生家においても、保存する予定にございます。果ては博物館なども考えていますので」
上機嫌に笑うカガミに気をよくした村長は、そそくさと近寄ってきて説明した。
いろいろと今後の予定も考えているらしい。
「博物館ですか」
「左様です。わたくしめは、かのフラタナ! ……にて幼少のおり学んだことがありまして、歴史は、ひいては博物館が大事だと知っております」
「フラタナ?」
「ここ、キトリア領におけるもっとも大きな街ですよ。王子」
村長が、ことさら強調したフラタナという言葉……それについて首をかしげたら、すぐにイオタイトが補足説明を加えてくれた。
村の外にある都市で学んだことがあるインテリですよってことかな。
「イオタイトさん、あの銅像……どう思います? あれって普通の事なんでしょうか?」
不安な点があったので、念の為にイオタイトへ小声で問いかける。
「立派な銅像ですね。歴史に残る偉人でも、なかなか無いですよねー」
イオタイトが半笑いで答えた。
よかった。やっぱり銅像はやりすぎらしい。オレの感覚は間違っていなかった。
異世界では常識ですよって言われたらどうしようかと思った。
「あの、ご不安な点でも……」
村長がおそるおそるといった調子で声をかけてきた。イオタイトとのコソコソ会話が気になったらしい。
そんな彼は、泣きそうな顔で言葉を続ける。
「やはり、ピッキー……様のお父上に、村長を代わるべきでしょうか?」
「いや? それは別に考えていませんが」
「そ、そうですか。いや、はい。良かった……いえ、これからもおまかせください」
村長が安堵の声をあげた。
さて、どうしようかな。ピッキー達が困りきっている。自分達の銅像を前にして、落ち着かないようだ。それに、この調子だとピッキー達は両親と自由に話ができない雰囲気でもある。
「せっかくだ。ピッキー達は両親と、実家でお話しておいで」
ということで、彼らをこの場から遠ざけることにした。
「私も賛成です。村長様もよろしいでしょうか?」
ノアがオレの言葉にうなずき、村長へと語りかける。
「もちろんですとも! では、護衛をつけましょう」
村長が大きくうなずき、指示を出し始める。護衛はいらないだろうと思ったが、周りを見ると、いつの間にか野次馬が集まって取り囲んでいた。そして彼らの視線はピッキー達に集まっている。
あの中を歩くには護衛が必要なのだと納得できた。
「皆のアイドルっスよね。マネージャーに庇われて進む感じっス」
屈強な護衛に囲まれて進むピッキー達をみて、プレインが表す。
言われてみると、すごくしっくりくる表現だ。
そして、野次馬達の大半も彼らについて移動し、オレ達の周りにはすっかり人がいなくなった。
「そうだ。村長、ゲオルニクスという人を探しているのですが……」
人がいなくなったところで、次の目的であるゲオルニクスを探すことにする。
前情報が正しければ、彼はこの村にいる。
「大魔法使い様でございますな。はい、では、わたくしめがご案内致します」
村長はどこにいるのか知っているようで、二つ返事で案内を買って出てくれた。
「ではお願いします」
そういって、案内をお願いする。
そして皆でゾロゾロと歩いてだだっ広い村の道を進む。
海亀は銅像側で休憩するつもりのようで、手足を引っ込めて動かないからだ。もしかしたら、人混みにビビっているのかもしれない。
「はい。おまかせください。こちらの海亀様は、村の者にてお見守りしますので、ご安心ください」
村長の言葉にあまえて、海亀は放置。のんびりと歩く。
それにしても、ノーズフルトには、どういうつもりで銅像を造ったのか確認したほうがいいな。
巨大な銅像を見て、少しだけそんなことを思った。
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