日常生活の狂気

八方美人

おれは今
複数の女たちと
交友関係を
持っている
その中の女のうち
今までに一人も
性的な関係を
持つまでには
至っていない

若い頃は
一人の女のことを
ひたすら想って
その人と
結婚したいだのと
真剣に
考えたことも
あった

それでも
そうやって
一人の女のことを
真剣に考えても
ウマくいった
試しは
一度もなかった

おれが一人の
女のことを
大事にしても
最後には
その女から
逃げられるか
冷たくあしらわれて
それでおしまいだった

今までに
一人の女のことを
真剣に
考えても
一度もウマくは
いかなかった

だから
おれは一人ではなく
複数の女たちと
交わることにした

みんな美人で
しっかりした
女たちが
おれに好意を
抱いている
おれが彼女たちを
嫌いになる
理由は
一つもない

その結果
おれが八方美人で
女ったらしだと
思われても
仕方がない
魅力的な
女たちが
おれに好意を
持っているのなら
拒絶する
理由は見当たらない

その結果
おれが八方美人で
不誠実な
男だと
思われても
仕方がない

せっかく美人で
気立てが良くて
しっかりした
女たちが
おれに好意を
持っているなら
全部おれのモノにして
大事にしたい

おれが一人の女に
的を絞って
ウマくいった
試しがないから
なおさらだ

不本意ながら
おれは
一人の女だけに
的を絞って
相手をする
男じゃない
複数の女たちの
相手をして
初めて女と
ウマく付き合える
タイプなんだ

こうなったのも
運命だ
おれは運命を
受け入れるしか
術がない

仕方がないんだ