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第24話:王都の闇、動き出す牙
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夜の王都支部は、昼間とは打って変わった静寂に包まれていた。
「……警備体制は強化済みです。各出入口には騎士を配備し、屋根と裏庭にも見張りを置いています」
ハロルドの冷静な報告が執務室に響く。
リリスは窓の外を見つめながら、ゆっくりと頷いた。
「ありがとう、ハロルド。でも……気をつけて…おそらく、ただの不審者じゃないわ」
リリスの声には、冷たい確信がにじんでいた。
アキラは隣で緊張しながら、そっと口を開いた。
「なんというか……背中がぞわっとするんですよね。嫌な感じがするというか……」
「なるほど。アキラ様のその“ブラック企業仕込みの直感”は、案外馬鹿にできませんからね」
ハロルドの言葉に、リリスもくすりと微笑んだ。
だがその瞬間——
ドォンッ!!
突如、外から爆音が響き、執務室の窓が震えた。
続いて、遠くから騎士たちの怒声と剣戟の音が届く。
「……っ、来たわね!」
リリスが振り返り、即座に指示を飛ばす。
「ハロルド、南側の出入口の警備を強化して! レオン、あなたは東翼の警戒をお願い!」
「承知いたしました」 「了解だ」
レオンとハロルドがそれぞれ駆け出す。
アキラはしばらく呆然としていたが、リリスの鋭い視線に気づき、はっとしたように立ち上がった。
「……アキラ、あなたはここにいて。危険だから」
「でも、俺……」
アキラは拳を握りしめた。
心臓の鼓動が早くなっている。頭の奥で、“逃げろ”と警報が鳴っている。
だが、それ以上に胸の奥が騒がしかった。
「……俺も、リリス様を守りたいんです」
リリスは驚いたようにアキラを見つめた。
「……あんた、本当に変わったわね」
「元々、変わってますから」
アキラは苦笑するが、その瞳はまっすぐだった。
「何かできることがあるなら、やります。リリス様の役に立ちたいんです」
「……分かった。でも無茶はしないで。いいわね?」
「はい、もちろん」
その時だった。扉の向こうから、騎士の一人が駆け込んできた。
「報告! 敵は仮面をつけた集団で、武装も統一されています。戦術的な動きから見て、単なる盗賊ではありません!」
「やはり……組織だった襲撃ね」
リリスの表情が険しくなる。
アキラは脇腹に冷や汗を感じながら、ちらりと窓の外を見た。
月明かりの下、燃え広がる煙と、交錯する剣の火花がちらちらと見える。
(……これは、ただの偶然じゃない。誰かが明確な意志をもって、このタイミングを狙ってきている)
「リリス様、急ぎましょう。安全な部屋に移動を」
ハロルドが再び現れ、扉の向こうを警戒する。
「わかってる。アキラ、ついてきて」
「はい!」
アキラはリリスの背中を守るように立ち上がった。
その瞬間、ハロルドが静かに一本の剣を差し出す。
「アキラ様、護身用に。これは我がクラウゼル家に伝わる業物、『影切(かげきり)』。軽量ながらも鍛え上げられた鋼で、扱いやすさに定評があります」
「ありがとうございます……って、これ、すごくちゃんとした剣じゃないですか!?」
アキラは驚きつつも受け取り、慎重に鞘から抜く。細身ながら鋭く光る刀身は、月光を浴びて美しく輝き、柄には銀糸で編まれた装飾が施されていた。
「す、すごぃ……」
──夜の王都に、火種が落とされた。
「……警備体制は強化済みです。各出入口には騎士を配備し、屋根と裏庭にも見張りを置いています」
ハロルドの冷静な報告が執務室に響く。
リリスは窓の外を見つめながら、ゆっくりと頷いた。
「ありがとう、ハロルド。でも……気をつけて…おそらく、ただの不審者じゃないわ」
リリスの声には、冷たい確信がにじんでいた。
アキラは隣で緊張しながら、そっと口を開いた。
「なんというか……背中がぞわっとするんですよね。嫌な感じがするというか……」
「なるほど。アキラ様のその“ブラック企業仕込みの直感”は、案外馬鹿にできませんからね」
ハロルドの言葉に、リリスもくすりと微笑んだ。
だがその瞬間——
ドォンッ!!
突如、外から爆音が響き、執務室の窓が震えた。
続いて、遠くから騎士たちの怒声と剣戟の音が届く。
「……っ、来たわね!」
リリスが振り返り、即座に指示を飛ばす。
「ハロルド、南側の出入口の警備を強化して! レオン、あなたは東翼の警戒をお願い!」
「承知いたしました」 「了解だ」
レオンとハロルドがそれぞれ駆け出す。
アキラはしばらく呆然としていたが、リリスの鋭い視線に気づき、はっとしたように立ち上がった。
「……アキラ、あなたはここにいて。危険だから」
「でも、俺……」
アキラは拳を握りしめた。
心臓の鼓動が早くなっている。頭の奥で、“逃げろ”と警報が鳴っている。
だが、それ以上に胸の奥が騒がしかった。
「……俺も、リリス様を守りたいんです」
リリスは驚いたようにアキラを見つめた。
「……あんた、本当に変わったわね」
「元々、変わってますから」
アキラは苦笑するが、その瞳はまっすぐだった。
「何かできることがあるなら、やります。リリス様の役に立ちたいんです」
「……分かった。でも無茶はしないで。いいわね?」
「はい、もちろん」
その時だった。扉の向こうから、騎士の一人が駆け込んできた。
「報告! 敵は仮面をつけた集団で、武装も統一されています。戦術的な動きから見て、単なる盗賊ではありません!」
「やはり……組織だった襲撃ね」
リリスの表情が険しくなる。
アキラは脇腹に冷や汗を感じながら、ちらりと窓の外を見た。
月明かりの下、燃え広がる煙と、交錯する剣の火花がちらちらと見える。
(……これは、ただの偶然じゃない。誰かが明確な意志をもって、このタイミングを狙ってきている)
「リリス様、急ぎましょう。安全な部屋に移動を」
ハロルドが再び現れ、扉の向こうを警戒する。
「わかってる。アキラ、ついてきて」
「はい!」
アキラはリリスの背中を守るように立ち上がった。
その瞬間、ハロルドが静かに一本の剣を差し出す。
「アキラ様、護身用に。これは我がクラウゼル家に伝わる業物、『影切(かげきり)』。軽量ながらも鍛え上げられた鋼で、扱いやすさに定評があります」
「ありがとうございます……って、これ、すごくちゃんとした剣じゃないですか!?」
アキラは驚きつつも受け取り、慎重に鞘から抜く。細身ながら鋭く光る刀身は、月光を浴びて美しく輝き、柄には銀糸で編まれた装飾が施されていた。
「す、すごぃ……」
──夜の王都に、火種が落とされた。
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