【完結】陛下、花園のために私と離縁なさるのですね?

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「………え、?」

一瞬だけ思考回路が止まる。

「い、い、今、なんと」
「ですから、私モニカ=ティネッタの男児ランは後見人としてサリファ王妃殿下をご指名致します」
「右に同じく」
「左に同じですぅ」

ニコッと微笑む3人は、いつも私を迎え出る時と同じ美しい表情だ。

「な……な、なぜ……そんな、」
「では、多数決により私が本日より御子様の後見人となりました。ですので来たる成人の日まで、私が国王代行として引き続き国を動かしましょう」
「ま、ま、ま、待てっ!!」

気付けばテーブルを思い切り叩いていた。
サリファが後見人?何故だ?離縁された王妃は国を追い出されて……あ、あれ?この場合はどうなるんだ?

「どうかなさいました?陛下」

サリファはいつもと同じ、見透かしたような目で真っ直ぐ私を見つめている。

「ふ、ふざけるなぁ!!」

視線から逃げるように3人に近寄ろうとすれば、側に控えていた兵士たちが私と彼女たちの間に割り込んできた。

「な、何故だモニカ?!アズミ!セリーヌ!何故私を……わ、私は、私の子だぞ?!わたしのっ!」
「ええ、そうですわ」

モニカは優しい手付きで子を撫でる。

「正真正銘ランは陛下と私の子ですわ。もちろん藍の姫の御子も黄の姫の御子も父上は陛下で御座います」
「ならば何故っ!な、なぜ……こ、後見人は、わ、私ではないのだっ?!」

他国よりやって来たアズミやセリーヌならまだしも、この国の官僚の子であるモニカがこの習わしを知らない筈がない。

「何故と言われましても……ねぇ?」
「そうですね、こればかりは何とも」
「うーん……どう説明致しましょうかぁ」

3人は不思議そうに言う。
そんな飄々とした態度に私の怒りは沸々と込み上がる。

「お前らぁ!恩を、恩を仇で返すとはっ!」
「見苦しいですよ、陛下」

凛とした声が部屋に響く。

「サリファ……おまえ、」
「全ての答えは出揃いました。陛下……いえ、ギルバート様。貴方は離宮にて大人しく余生を過ごして頂きます。前国王という立派な肩書きと共に」
「ふざけるなっ!何故私がそんな事をっ?!」

要は軟禁されるということだろ?!王である私が……何故、そんなゴミみたいな扱いを受けなくてはならんのだ!

「何故だっ?!」
「……はぁ、まるで子供のようですね」
「なん、だとっ?!」
「口を開けば、何故?何故?人に聞かず自分の頭でお考えになって下さいませ。貴方はそこにいる赤ん坊とは違い、王であり、父親なんですから。……ああ失礼、もう王ではありませんでしたね」

ニヤッと意地の悪い笑みを浮かべるサリファにカッとなる。

「お、お前、図ったな?!」
「はぁ……見当違いも甚だしいですね」
「この性悪め!3人を脅して後見人の座を獲得したな?!そんなに私が憎いか卑しい奴め!」
「いや、あの」
「貴様のような女は不敬罪で牢屋にぶち込んでやるっ!おい衛兵っ!この女をひっ捕らえよ!」
「いやいや、話聞きましょうか」
「なっ!な、何故誰も捕らえぬ?!」

周りの衛兵たちだけではない。家臣たちも、官僚たちも皆んな不思議そうな顔で私を眺めていた。
……いや、不思議そうだなんてもんじゃない。その目はまるで捨てられた子犬を見るような憐れみに満ちていた。

「や、やめろ……そんな目で、私を見るなぁぁあ!」
「ギルバート様」
「近寄るな、この悪魔めぇぇえ!」

テーブルの上にあるナイフを手に取る。そしてそれを力いっぱい投げた。

「「「「王妃殿下っ!!!」」」」

家臣や官僚、使えない衛兵たちが叫ぶがもう遅い。鈍く光るナイフは真っ直ぐサリファの顔めがけて飛んでいく。
全部全部全部お前が悪いんだサリファ。
お前がこの国に来たせいで、お前が私よりも優秀なせいで、お前が私から花園を奪ったせいで。その澄ました顔が傷付くのだ、この私の手で!

「は、はははははっ!地獄に堕ちろサリファぁあ!」

お前のその澄ました顔が、醜く歪んで、そして、血に染まってしまえば良い!馬鹿が、馬鹿がぁぁああ!



「やめときなさい、3人とも」



サリファの声が聞こえた。
その瞬間、私の体はとてつもない勢いで床に叩きつけられた。

「かはぁっ!!!」

全身に伝わる激痛。そして目の前が真っ赤になる。
顔を動かそうとしてみるが持ち上がらない。まるで大きな物で上から押さえつけられているような重圧感、だが当然私の上には誰も乗っていない。

「はぁ……ぁ、っ」
「動かない方が宜しいですよ」

頭上から心地の良い声が聞こえた。
顔は動かせない、視線だけを無理矢理上へ動かす。

「ぁ……、なっんで……」

そこには、凍りつくような冷たい目で私を見下ろしたモニカとアズミ、そしてセリーヌが立っていた。
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