ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~

青空顎門

文字の大きさ
70 / 396
第1章 少女が統べる国と嘱託補導員

064 己に適した戦い方について

しおりを挟む
「この状態の俺にもついてくるか。規格外な奴め」
「や、でも。俺は空を飛んでますし」

 次なる補導対象である水精の少女化魔物ロリータの出現地点へと向かう途中。
 人狼形態で走るシニッドさんを、俺は飛行の祈念魔法を使用しながら追いかけていた。
 さすがに複合発露エクスコンプレックスまで使用して走られてしまうと、いくら第四位階とは言っても祈念魔法レベルでの身体強化では引き離されてしまう。
 とは言え、空を飛ぶのはちょっとズルい気がしてならない。

「いや、普通そんな簡単には空は飛べねえぞ……」
「でも、父さんは……いえ、何でもありません」

 ウルさんとルーさんの忠告を思い出して口を閉ざす。
 ヨスキ村を基準にする以上に、父さんを基準にするのは適切ではない。

「ところでシニッドさん。さっきのがウルさんやルーさんのアーク複合発露エクスコンプレックスなんですか?」

 今現在、人狼の如き姿となっているシニッドさん。
 しかし、土精の少女化魔物を補導した時は、明らかに今よりも凶悪な姿になっていた。
 あれが全力かは分からないが、少なくとも現状の上位互換ではあるはずだ。
 攻撃速度が比べものにならないぐらい向上していたことを考えても。

「ああ。ウルとルーの真・複合発露〈魔狼王転身ライカナイズ・ヴァナルガンド〉。それから俺が先天的に受け継ぐ〈擬狼転身デミライカナイズ〉。その三つを同時発動させたのがさっきの形態だ」
「三つ……成程」

 真・複合発露。それも同系統を同時にか。
 そうなると――。

「少しばかり消耗はきつくなるがな。基礎的な身体能力に限って言えば確実に、あの形態の俺の方がお前達の父親ジャスターよりも強いぞ」

 だろうな。
 勿論、同じ複合発露ではないのだから単純には比較できないが、もしステータスのパラメータなんてものがあったら倍以上違うかもしれない。
 父さんと同格であるEX級補導員。その名に恥じぬ力と言える。

 ただ、父さんの場合、忘れてはならない要素が一つある。
 父さんが母親から受け継いだ複合発露〈擬光転移デミライトナイズ〉。
 あれを同時使用すれば、父さんの速度は瞬間的に数十倍どころではなく跳ね上がり、それに付随して攻撃力も増す。
 だから、実際に二人が戦ったらどうなるかは分からない。
 まあ、そんな状況は起こり得ないだろうが。

「分かってると思うが、俺達少女征服者ロリコンの能力は、ほぼ契約した少女化魔物次第だ。俺のように望んだ能力を持った相手と契約できるとは限らねえ」

 シニッドさんの言葉に頷く。
 単なる少女契約ロリータコントラクトであればビジネスライクな関係でも結ぶことができるだろうが、真性少女契約ともなると性格や諸々の相性がよくなければ不可能だ。
 その辺りは巡り合わせとしか言いようがない。

「シニッドさんは最初から同系統の複合発露の子を探してたんですか?」
「生まれ持った複合発露を軸にずっと戦い方を学んできたからな。俺は器用な人間じゃねえし、少女征服者として一端の人間になるにはそれしかなかった」
「……成程」

 生まれながらに複合発露を持つことは相当のアドバンテージではある。
 だが、それを基に培ってきた技術と、契約できた少女化魔物が持つ複合発露とがマッチしなくて大成できなかった者も数多くいる、のかもしれない。

「ああ。勿論、俺はウルやルーを愛してるぞ。そうでなけりゃ真性少女契約なんて結べねえからな。……まあ、俺は運がよかったんだろうよ」

 どこか謙遜するように言うシニッドさん。
 確かに希望した複合発露を持つ少女化魔物と出会えるかは完全に運だ。
 しかし、彼女達が真性少女契約を受け入れたのは、彼自身が能動的に口説いたからに他ならない。機会を掴み取ることができたのは、間違いなく彼の努力の賜物だ。

 チャンスの神様は前髪しかないと言うし、俺も機会が目の前に訪れたなら積極的に手を伸ばしていかなければならないだろう。
 救世の転生者としての使命を果たすためにも。

「イサクはどうなんだ? 将来、どういう少女征服者になりたいとかあるのか?」
「俺ですか?」

 改めて問われ、少し考える。

「……そう、ですね。とにかく、どんな状況にも対応できるようになりたいです」

 この先、何が待ち受けているか分からない。
 そして、どのような苦難を前にしても敗北は許されないのだ。
 いついかなる時も負けることなく、勝利の可能性を保ち続ることができる力が必要だ。

「オールラウンダーか。だとすると、俺と同じく身体強化系の複合発露を持つ少女化魔物と真性少女契約を結ぶのは必須だな」
「そう、なりますよね。やっぱり」
「ああ。お前と契約している少女化魔物を見る限り、防御力がちと弱い。攻撃力ならトップレベルだから、勝負をすれば俺やジャスターにも勝てる目は十分あるが……」

 シニッドさんの指摘に首を縦に振って同意を示しながら、己の戦力を振り返る。
 イリュファの〈呪詛アヴェンジ反転リトリビュート〉とフェリトの〈不協調律ジャマークライ〉は、厳密には異なるが、相手の防御力に対するデバフの側面もある。
 リクルの〈如意フィギュア鋳我トランスファー〉は全体的なバフ。
 それらによって補助されたサユキの〈万有アブソリュート凍結コンジール封緘サスペンド〉は、恐らく世界でも有数の威力を持つだろう。

「攻撃力に対するデバフがあるとは言え、それは通常の複合発露による力。第五位階だ」
「防御力の基礎になる複合発露は、母さんから受け継いだ〈擬竜転身デミドラゴナイズ〉だけですからね。真・複合発露。第六位階の攻撃を食らったら一溜まりもないでしょう」
「それと精神干渉系の複合発露だな。あれは回避も不可能な上、同位階以上の身体強化系の複合発露がないと完全には防げないからな」
「はい。単純な攻撃系の複合発露への対抗策は考えがありますけど、精神干渉系はどうにも。こればかりは、身体強化に特化した少女化魔物と契約しないと……」

 そういう打算的な考えで少女化魔物人外ロリと接したくはないが、決定的な弱点を放置する訳にもいかない。これもトリリス様に相談してみた方がいいかもしれない。

「それと一つ。分かってるかもしれねえが、お前の場合は少女化魔物と肩を並べて戦わない方がいい。例外は、余程火力が足りなくてサユキと同時攻撃する時ぐらいだな」

 リクルはほぼ同化しているようなものだから別として、イリュファとフェリトとサユキの三人。合理的に考えれば、シニッドさんの言葉は全く以って正しい。
 祈念魔法と最低限の護身術は学んで貰ったが、身体強化系の複合発露ではない以上、皆一様に防御に難がある。複合発露の戦いにおいては影の中にいた方が安全だろう。
 むしろ職員寮にいた方がいいかもしれない。

 ……いや、契約した少女化魔物を殺されたら少女征服者も弱体化するのだから、最悪離れ離れになったところを狙われる可能性もある。
 普通なら考え過ぎと言われそうな可能性だが、少女化魔物をパートナーとする救世の転生者をよく思わない組織が現実に存在するからな。
 俺の場合は一緒にいた方がいいか。
 やはり影の中にいて貰うのが最善の方法になりそうだ。

「っと、イサクが楽々ついてきたおかげで思ったより早く着いたな」

 そんな風に今後の方向性について考えていると、視界の中に小さな村が映った。
 いつの間にか目的地付近まで来ていたようだ。
 如何にも田舎という感じの村。懐かしい印象を受ける。
 あれが水精の少女化魔物の被害(悪戯レベル)を受けている村のはずだが……。

「あの村の近くの小川でしたっけ」
「ああ。村の奥の方に流れ……ん?」

 何だか様子がおかしい。シニッドさんも立ち止まり、不審そうに眼を凝らしている。
 遠目だが、どうやら一つの家屋の周りに人が集まっているようだ。
 何か問題が発生しているのかもしれない。

「……急ぎましょう」
「ああ」

 顔を見合わせて頷き合い、それと同時にシニッドさんは村人を刺激しないように人狼形態を解除する。それから俺達は、可能な限りの速度で再び村へと駆け出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...