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第2章 人間⇔少女化魔物
127 名誉挽回
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過去、世界を救済するという大偉業を成し遂げてきた救世の転生者。
それが可能だったのは、前世の記憶に裏打ちされたイメージ力によるところが大きい。
同時期に存在する転生者が一人のみであることを考えると、俺が放つ真・複合発露による攻撃は同じカテゴリーの中では最強と言っても過言ではない。
にもかかわらず――。
「グルアアアアアアアッ!!」
「オオオオオォォォ」
暴走して異形と化した少女化魔物達は、正にその救世の転生者である俺の真・複合発露〈万有凍結・封緘〉による凍結を破り、高らかに叫び声を上げている。
トロールの少女化魔物、サラマンダーの少女化魔物、グールの少女化魔物、ワームの少女化魔物、ウロボロスの少女化魔物。
五つもの異なる種族が似た系統の複合発露を持ち、それが七人も地方の小都市であるウラバに同時に出現した事実。
その時点で異常にも程があるが、それ以上の尋常ならざる事態と言うことができる。
困惑せざるを得ない。
「イサクッ!!」
と、包囲する補導員の内、最も近い位置にいる俺へとグールの少女化魔物が真っ先に突っ込んできて、注意を促すように心配性な母さんが叫んだ。
小さくない動揺はあるが、勿論、気づいている。
「我流・氷鎧装」
俺は全身に氷を纏い、闇雲に接近してくる彼女を掴むと間髪容れずに投げ飛ばした。
日が暮れて薄暗くなった世界に溶け込むような浅黒い肌の、人型だがハイエナの特徴が散見される異形が、音の壁を破った衝撃波を生みながら飛んでいく。
彼女は、次に近い位置にいたワームの少女化魔物に叩きつけられた後、地面に落ちた。
しかし、ワームの少女化魔物の超巨大な芋虫の如き体は弾力があるらしく、衝撃のほとんどが吸収されてグールの少女化魔物にダメージはないようだ。
彼女はすぐさま起き上がると、他の少女化魔物達と共に再び俺に襲いかかってくる。
「ちっ、もう一回!」
その機先を制し、俺は再度彼女達全員を〈万有凍結・封緘〉によって凍結させた。
と同時に、一旦父さんと母さんのところまで後退する。
約三十秒。いずれ破られるにしても猶予はできる。
「大丈夫か? イサク」
「全然問題ないよ」
「うむ。ならばよいが……しかし、これでは捕獲もできぬぞ。殺さぬように手加減した妾達の攻撃では再生され、どう足掻いても行動不能にすることはできぬし」
「被害を出さないようにするには、もう命を奪うしか……」
殺傷能力の高い攻撃は控え、膠着状態を作っていた父さん達。
ホウゲツの補導員としては、まず殺さずに暴走の鎮静化を目指すのは当然のこと。
だが、ほぼ八方塞がりなこの状況で半日もの間それを維持していたのは、依頼元である国から特別に指示があったからに違いない。
彼女達の複合発露の系統からして、たとえ殺してしまったとしても少女残怨は発生しない訳だから、もっと早い段階で命を諦めてもおかしくはなかった。
一体だけならまだしも、七体同時だった訳だしな。
恐らくだが、事態を打開できそうな補導員を送るからそれまで時間稼ぎをしろ、とでも言われていたのだろう。
だが今。その果てに現れた当該の補導員(俺)の複合発露が通用しなかったことによって、父さん達でさえ膠着状態の維持を断念する方向に考えが傾きかけているようだ。
少女化魔物達を包囲している補導員達の中からも、そうした意見が出始めている。
強化された聴覚が彼らの声を拾っている。
しかし――。
「それはちょっと待って」
話をしている間に三十秒が経過し、再び凍結を破った少女化魔物達を見据えながら。
俺はそう父さんと母さんに言うと、対象が自分を標的とするように再び前に出る。
それに応じ、今度は己の尻尾に噛みついて輪のようになった蛇の如く長い竜、ウロボロスの少女化魔物が短い手足を動かして奇妙な軌道で迫り来る。
その後ろからは人型だが、実体が見えない程に毛むくじゃらな異形、トロールの少女化魔物三人がウロボロスの少女化魔物を追い越して襲いかかってきた。
「悪いけど、まだ話の途中だ」
対して俺は、それぞれに巨大な氷の塊を叩きつけ、七人を一纏めにできるような位置へと無理矢理に押し戻した。
そのまま再度三十秒の時間を稼ぎ、両親のところに引き下がる。
「父さん、母さん。後一つ試したいことがあるんだ。手伝って欲しい」
そして二人にそう乞い、それから俺の考えを告げた。
彼女達を殺さずに捕獲するための策を。
「……成程。分かったのじゃ」
「お前達は俺達が必ず守る。安心して、捕獲に専念しろ」
「ありがとう。父さん、母さん」
「礼など無用じゃ。親として当然のことじゃからな」
ドラゴンに変じた状態のまま軽く笑い、そのまま再び動き出した少女化魔物達の下へと俺の代わりに母さんが向かう。
その後方から俺が氷塊を射出して援護する間に父さんが〈擬光転移〉を使用し、俺が提案した作戦を他の補導員達に伝えに行く。
一度失敗しているだけに渋る補導員もいたが、他にさしたる策もなく……。
全員、この策が通用しなかったら少女化魔物達の討伐に切り替えることを条件に、父さんの指示に従って行動を開始した。
それに合わせ――。
「……サユキ。できるか?」
影の中から出てきて貰った彼女に、俺は氷の鎧を解除しながら問いかけた。
作戦の関係上、ここからは互いに生身。
動きも大幅に制限され、隙も生じ易い。
父さん達が守ってくれるが、危険が増すことは確かだ。
「勿論! サユキはイサクの少女化魔物だし、お父さんのこともお母さんのことも信頼してるもん!」
それでもサユキは、当たり前の顔で全く気負いのない笑顔を見せる。
俺を一から十まで、怖いぐらいに信用し切っている顔だ。
そんな通常運転な彼女に軽く苦笑しつつ、俺もまた凪いだ心と共にその手を取った。
肩が触れ合う近さで指を絡ませ、互いに強く握り締めながら眼前の光景を注視する。
この場にいる補導員のほとんどが戦闘に加わり、作戦通りに連携することによって俺の望んだ状況が作られつつある。
「イサクッ!!」
やがて母さんの合図と共に、暴走する七人の少女化魔物の内の一人、グールの少女化魔物が投げ出されるように俺達の前へと転がり出てきた。
複合発露を使用してさえいなければ少女の姿であるはずの彼女。
本来ならグーラと呼称した方が正しいかもしれないが、この外見のままでは不適当だ。
早く暴走を鎮め、本来の彼女自身を取り戻してやらなければならない。
「行くぞ、サユキ!」
「うん。任せて!」
そんな憐れな状態にある少女を前に、俺はサユキと繋いだ手を意識しながら空いている方の手を彼女へと向けた。サユキもまた同様にする。
そして次の瞬間。
完全にタイミングを重ね合わせて〈万有凍結・封緘〉を発動させた。
唯一人に集中する形で。
それによって凍結されたグールの少女化魔物は……。
数秒経っても変化を生じさせず。
三十秒を越えても、完全に凍りついたままとなった。
「やった! イサク、成功したよ!」
「ああ! 父さん、母さん! 次を!」
嬉しそうな声を出すサユキに一つ頷いてから、両親へと声をかける。
「よし!」
「続けるぞ!」
俺の言葉に二人は事態打開の道筋がついたことに声を弾ませ、補導員達と連携して次なる異形、トロールの少女化魔物を一人こちらに流す。
それを俺はサユキと協力して凍結させる。
三十秒待つ。
最初の一人を含めて凍結は破られない。
「父さん、母さん!」
更なる確信を持って再度呼びかけ、次の少女化魔物を……と、そのまま反復作業のように同じ流れを繰り返していく。
話は単純。
七人同時では威力が足りないなら、一人一人に集中させればいい。
念のため、サユキと協力することで力の底上げをした上で全力で。
それだけのことだ。
それだけのことだが、一点集中のために氷の鎧を解除しているし、サユキと手を繋ぐ以上は動きも鈍る。身体強化系の複合発露を前に、二人だけで挑むのは危険だ。
だからこそ、そのために。
父さんを始めとした補導員達には、俺達が凍結に専念できるように少女化魔物達を抑え込み、タイミングよく一人ずつ俺の前へと誘導して貰ったのだ。
「サユキ」
「うん」
そのまま眼前に来たる少女を全力を以って凍結すること、計七回。
大小異なる七つの巨大な氷の塊ができ上がる。
最初の、グールの少女化魔物が凍結してから既に五分以上経過している。
破られる気配はない。安堵と共に警戒を解く。
「イサク、サユキ、よくやったっ!!」
「さすがは妾達の息子と娘じゃ!!」
それに合わせて父さん達もまた真・複合発露〈火炎巨竜転身〉を解除し、俺とサユキの傍へと駆け寄ってきた。
そのまま二人共、誇らしそうに俺達の頭を撫でてくる。
ちょっとくすぐったい。
「一時はどうなることかとおもったが……」
「本当に成功してしまうとは」
「末恐ろしいな」
他の補導員達の会話を聞く限り、息子として父さん達の名も傷つけずに済んだようだ。
正直、最初失敗だった時には冷や汗をかいたが……。
「よし。後は収容施設に入れて一段落だな。よくやってくれたじゃねえか、イサク」
ほぼ反対側で対処してくれていたシニッドさん達も傍に来て、労ってくれる。
彼を含め、半日膠着状態を維持した補導員達の表情には疲労が色濃い。
「本当に助かったぞ。イサク」
続くガイオさんの言葉には、それから解放された感謝も含まれているようだ。
しかしながら、補導はここからが本番。
後は、どうやって彼女達の暴走した理由を探り、鎮静化させるかが問題だ。
「ふう」
それでも一先ず。
対処に当たった補導員も、街の人達も、暴走した少女化魔物達も。
被害は最小限に、トリリス様から依頼された少女化魔物達の捕獲を完了できたことに俺達はホッと一息ついた。
それが可能だったのは、前世の記憶に裏打ちされたイメージ力によるところが大きい。
同時期に存在する転生者が一人のみであることを考えると、俺が放つ真・複合発露による攻撃は同じカテゴリーの中では最強と言っても過言ではない。
にもかかわらず――。
「グルアアアアアアアッ!!」
「オオオオオォォォ」
暴走して異形と化した少女化魔物達は、正にその救世の転生者である俺の真・複合発露〈万有凍結・封緘〉による凍結を破り、高らかに叫び声を上げている。
トロールの少女化魔物、サラマンダーの少女化魔物、グールの少女化魔物、ワームの少女化魔物、ウロボロスの少女化魔物。
五つもの異なる種族が似た系統の複合発露を持ち、それが七人も地方の小都市であるウラバに同時に出現した事実。
その時点で異常にも程があるが、それ以上の尋常ならざる事態と言うことができる。
困惑せざるを得ない。
「イサクッ!!」
と、包囲する補導員の内、最も近い位置にいる俺へとグールの少女化魔物が真っ先に突っ込んできて、注意を促すように心配性な母さんが叫んだ。
小さくない動揺はあるが、勿論、気づいている。
「我流・氷鎧装」
俺は全身に氷を纏い、闇雲に接近してくる彼女を掴むと間髪容れずに投げ飛ばした。
日が暮れて薄暗くなった世界に溶け込むような浅黒い肌の、人型だがハイエナの特徴が散見される異形が、音の壁を破った衝撃波を生みながら飛んでいく。
彼女は、次に近い位置にいたワームの少女化魔物に叩きつけられた後、地面に落ちた。
しかし、ワームの少女化魔物の超巨大な芋虫の如き体は弾力があるらしく、衝撃のほとんどが吸収されてグールの少女化魔物にダメージはないようだ。
彼女はすぐさま起き上がると、他の少女化魔物達と共に再び俺に襲いかかってくる。
「ちっ、もう一回!」
その機先を制し、俺は再度彼女達全員を〈万有凍結・封緘〉によって凍結させた。
と同時に、一旦父さんと母さんのところまで後退する。
約三十秒。いずれ破られるにしても猶予はできる。
「大丈夫か? イサク」
「全然問題ないよ」
「うむ。ならばよいが……しかし、これでは捕獲もできぬぞ。殺さぬように手加減した妾達の攻撃では再生され、どう足掻いても行動不能にすることはできぬし」
「被害を出さないようにするには、もう命を奪うしか……」
殺傷能力の高い攻撃は控え、膠着状態を作っていた父さん達。
ホウゲツの補導員としては、まず殺さずに暴走の鎮静化を目指すのは当然のこと。
だが、ほぼ八方塞がりなこの状況で半日もの間それを維持していたのは、依頼元である国から特別に指示があったからに違いない。
彼女達の複合発露の系統からして、たとえ殺してしまったとしても少女残怨は発生しない訳だから、もっと早い段階で命を諦めてもおかしくはなかった。
一体だけならまだしも、七体同時だった訳だしな。
恐らくだが、事態を打開できそうな補導員を送るからそれまで時間稼ぎをしろ、とでも言われていたのだろう。
だが今。その果てに現れた当該の補導員(俺)の複合発露が通用しなかったことによって、父さん達でさえ膠着状態の維持を断念する方向に考えが傾きかけているようだ。
少女化魔物達を包囲している補導員達の中からも、そうした意見が出始めている。
強化された聴覚が彼らの声を拾っている。
しかし――。
「それはちょっと待って」
話をしている間に三十秒が経過し、再び凍結を破った少女化魔物達を見据えながら。
俺はそう父さんと母さんに言うと、対象が自分を標的とするように再び前に出る。
それに応じ、今度は己の尻尾に噛みついて輪のようになった蛇の如く長い竜、ウロボロスの少女化魔物が短い手足を動かして奇妙な軌道で迫り来る。
その後ろからは人型だが、実体が見えない程に毛むくじゃらな異形、トロールの少女化魔物三人がウロボロスの少女化魔物を追い越して襲いかかってきた。
「悪いけど、まだ話の途中だ」
対して俺は、それぞれに巨大な氷の塊を叩きつけ、七人を一纏めにできるような位置へと無理矢理に押し戻した。
そのまま再度三十秒の時間を稼ぎ、両親のところに引き下がる。
「父さん、母さん。後一つ試したいことがあるんだ。手伝って欲しい」
そして二人にそう乞い、それから俺の考えを告げた。
彼女達を殺さずに捕獲するための策を。
「……成程。分かったのじゃ」
「お前達は俺達が必ず守る。安心して、捕獲に専念しろ」
「ありがとう。父さん、母さん」
「礼など無用じゃ。親として当然のことじゃからな」
ドラゴンに変じた状態のまま軽く笑い、そのまま再び動き出した少女化魔物達の下へと俺の代わりに母さんが向かう。
その後方から俺が氷塊を射出して援護する間に父さんが〈擬光転移〉を使用し、俺が提案した作戦を他の補導員達に伝えに行く。
一度失敗しているだけに渋る補導員もいたが、他にさしたる策もなく……。
全員、この策が通用しなかったら少女化魔物達の討伐に切り替えることを条件に、父さんの指示に従って行動を開始した。
それに合わせ――。
「……サユキ。できるか?」
影の中から出てきて貰った彼女に、俺は氷の鎧を解除しながら問いかけた。
作戦の関係上、ここからは互いに生身。
動きも大幅に制限され、隙も生じ易い。
父さん達が守ってくれるが、危険が増すことは確かだ。
「勿論! サユキはイサクの少女化魔物だし、お父さんのこともお母さんのことも信頼してるもん!」
それでもサユキは、当たり前の顔で全く気負いのない笑顔を見せる。
俺を一から十まで、怖いぐらいに信用し切っている顔だ。
そんな通常運転な彼女に軽く苦笑しつつ、俺もまた凪いだ心と共にその手を取った。
肩が触れ合う近さで指を絡ませ、互いに強く握り締めながら眼前の光景を注視する。
この場にいる補導員のほとんどが戦闘に加わり、作戦通りに連携することによって俺の望んだ状況が作られつつある。
「イサクッ!!」
やがて母さんの合図と共に、暴走する七人の少女化魔物の内の一人、グールの少女化魔物が投げ出されるように俺達の前へと転がり出てきた。
複合発露を使用してさえいなければ少女の姿であるはずの彼女。
本来ならグーラと呼称した方が正しいかもしれないが、この外見のままでは不適当だ。
早く暴走を鎮め、本来の彼女自身を取り戻してやらなければならない。
「行くぞ、サユキ!」
「うん。任せて!」
そんな憐れな状態にある少女を前に、俺はサユキと繋いだ手を意識しながら空いている方の手を彼女へと向けた。サユキもまた同様にする。
そして次の瞬間。
完全にタイミングを重ね合わせて〈万有凍結・封緘〉を発動させた。
唯一人に集中する形で。
それによって凍結されたグールの少女化魔物は……。
数秒経っても変化を生じさせず。
三十秒を越えても、完全に凍りついたままとなった。
「やった! イサク、成功したよ!」
「ああ! 父さん、母さん! 次を!」
嬉しそうな声を出すサユキに一つ頷いてから、両親へと声をかける。
「よし!」
「続けるぞ!」
俺の言葉に二人は事態打開の道筋がついたことに声を弾ませ、補導員達と連携して次なる異形、トロールの少女化魔物を一人こちらに流す。
それを俺はサユキと協力して凍結させる。
三十秒待つ。
最初の一人を含めて凍結は破られない。
「父さん、母さん!」
更なる確信を持って再度呼びかけ、次の少女化魔物を……と、そのまま反復作業のように同じ流れを繰り返していく。
話は単純。
七人同時では威力が足りないなら、一人一人に集中させればいい。
念のため、サユキと協力することで力の底上げをした上で全力で。
それだけのことだ。
それだけのことだが、一点集中のために氷の鎧を解除しているし、サユキと手を繋ぐ以上は動きも鈍る。身体強化系の複合発露を前に、二人だけで挑むのは危険だ。
だからこそ、そのために。
父さんを始めとした補導員達には、俺達が凍結に専念できるように少女化魔物達を抑え込み、タイミングよく一人ずつ俺の前へと誘導して貰ったのだ。
「サユキ」
「うん」
そのまま眼前に来たる少女を全力を以って凍結すること、計七回。
大小異なる七つの巨大な氷の塊ができ上がる。
最初の、グールの少女化魔物が凍結してから既に五分以上経過している。
破られる気配はない。安堵と共に警戒を解く。
「イサク、サユキ、よくやったっ!!」
「さすがは妾達の息子と娘じゃ!!」
それに合わせて父さん達もまた真・複合発露〈火炎巨竜転身〉を解除し、俺とサユキの傍へと駆け寄ってきた。
そのまま二人共、誇らしそうに俺達の頭を撫でてくる。
ちょっとくすぐったい。
「一時はどうなることかとおもったが……」
「本当に成功してしまうとは」
「末恐ろしいな」
他の補導員達の会話を聞く限り、息子として父さん達の名も傷つけずに済んだようだ。
正直、最初失敗だった時には冷や汗をかいたが……。
「よし。後は収容施設に入れて一段落だな。よくやってくれたじゃねえか、イサク」
ほぼ反対側で対処してくれていたシニッドさん達も傍に来て、労ってくれる。
彼を含め、半日膠着状態を維持した補導員達の表情には疲労が色濃い。
「本当に助かったぞ。イサク」
続くガイオさんの言葉には、それから解放された感謝も含まれているようだ。
しかしながら、補導はここからが本番。
後は、どうやって彼女達の暴走した理由を探り、鎮静化させるかが問題だ。
「ふう」
それでも一先ず。
対処に当たった補導員も、街の人達も、暴走した少女化魔物達も。
被害は最小限に、トリリス様から依頼された少女化魔物達の捕獲を完了できたことに俺達はホッと一息ついた。
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