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最終章 転生野球大戦編
閑話61 WBW決勝トーナメント準決勝戦日本対ロシア全国放送生中継②
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茜選手に対する初球。
ロシア代表の先発ピッチャー、ウラジミール選手は外角低めいっぱいへとフォーシームを投じましたが、その球速は175km/hでした。
綿原さん、これはウラジミール選手の公式戦自己最高球速ですが……。
これを彼のこの試合の最高球速と見なしてもよいのでしょうか。
あるいは、やはり――。
そうですね。
明らかにフォームに余裕が見られますし、まずは様子見というところでしょう。
……まあ、様子見で175km/hを出してくるというのは恐ろしい話ですが。
つまり、このウラジミール選手もイワン選手らと同様に180km/h以上を投げられるだけの出力がある可能性が高い。
そう見ておいた方がいいということですね
ええ。
相手を侮ってよいことはありません。
様々な意味で注目のウラジミール選手。
茜選手に対して2球目を……投げました!
内角低めいっぱいへの変化球! ストライクッ!
シュートですね。
しかし、170km/hの変化球を四隅に……。
カウントはノーボール2ストライク。
茜選手はバットを振らず、2球で追い込まれてしまいました。
秀治郎選手もそうですが、このレベルの選手は総じてストライク率が異常です。
かつての常識からは逸脱した域に達してしまっています。
本当に、我々の時代からは考えられない冗談のような制球力です。
まるで野球ゲームのようだとは、よく言ったものです。
はい。ですので、待球をするメリットは限りなく少ないと思いますが……。
茜選手はオランダ戦で見せたカット戦法を行おうとしているのでしょうか。
いえ、そこまで明確なものではないでしょう。
相手が様子見ならば、こちらも様子見。
あくまでも180km/hの実際の球筋を見ておきたかった、そして後続のバッターに見せたかったという程度のものだと思います。
まあ、結果としてウラジミール選手は投げてきませんでしたが。
3球目、内角高めに僅かに外れてボール!
これも175km/hのフォーシームでした。
御覧の通り180km/h超えの球を解禁せずとも、ウラジミール選手は一昨日までの世界記録を当たり前のように投げ込んできています。
数値上はアメリカ代表級のピッチャーです。
そんな相手にカット戦法を取るのはさすがに困難でしょう。
それに、たとえウラジミール選手を引きずり降ろすことができたとしても、同格の選手が後に何人も控えているそうですからね。
更に言えば、準決勝戦の球数制限は95球。
球数制限が65球だったグループリーグのようには行かないですし、茜選手達がカット戦法をする気配を感じたら180km/h超えを解禁してくるでしょう。
確かに。
この試合は準決勝戦に応じた戦い方が必要ということですね。
……さて、続いて4球目。
茜選手に対し、ウラジミール選手、投げました!
打った! バットの先端! 打球は小フライ!
セカンド追う! ファーストが飛びつく!
捕れない! 内野を越えました!
しかし、ライトのヤロスラフ選手が猛然と突っ込んでワンバウンドで捕球!
ファーストのカバーに入っていたピッチャー、ウラジミール選手へと矢のような送球をするも既に茜選手はベースを駆け抜けてセーフ!
日本、ノーアウトのランナーが出ました!
球速169km/hの高速スライダーをうまく打ち返しましたね。
恐るべき変化でしたが、まるで読んでいたかのようにバットを合わせました。
茜選手らしい技ありのライト前ヒットでしたが……。
ライトの肩もまた凄まじく、あわやライトゴロになるところでもありました。
ピッチャーだけでなく、ロシアの守備も要注意です。
ライトのヤロスラフ選手。
オランダ戦のフェリクス選手を彷彿とさせるような猛チャージでしたね。
いえ、恐らく一歩目の踏み出しはフェリクス選手の方が速かったと思います。
ただ、加速とトップスピードはヤロスラフ選手の方が明らかに上でした。
ですので、少し性質が異なります。
そうした差異も見極めてプレイをしていく必要があります。
……成程。
しかし、いずれにしても。
刺殺の危険性が極めて高い外野陣ということは確かですね。
はい。ですので、コーチャーは気が気ではないでしょうね。
国際試合はそもそも僅かな判断ミスも許されない厳しい戦いですが、こうも守備力が高いと瞬発的に判断しなくてはならず、成否を左右する猶予も短くなります。
より一層、指示の早さと正確さが重要になってくると言えるでしょう。
球速のみならず打球速度、送球速度もまた年々速くなっていっていますからね。
それに付随するように個々の判断も高速化していっている訳ですから、現代の選手達は大変でしょう。
私も若い頃は野球をやっていましたが、本当に頭の下がる思いです。
全くです。
現役時代の私では正直ついていけないと思います。
勿論、小学生時代から鍛え直せるのであれば負けるつもりはありませんが。
トレーニング理論も当時より遥かに発展していますからね。
何はともあれ。
日本代表の攻撃はまず先頭バッターが出塁してノーアウトランナー1塁。
ここで右のバッターボックスに2番バッターの倉本選手が入ります。
茜選手に続いてチャンスを作ることができるのか。
ウラジミール選手はセットポジションに入って、第1球を……投げた!
打った!
打球はまたファーストの頭上を越えてライト前に落ちる!
ヤロスラフ選手は2塁へ送球するもセーフ!
2連打でノーアウトランナー1塁2塁!
日本代表、初回から得点圏にランナーを進めました!
外角低めに落ちるスプリットをうまく掬い上げましたね。
素晴らしいバットコントロールです。
正にコンタクト力においては日本プロ野球で1、2を争う2人の女性選手が、世界最高峰のピッチャーを相手取って序盤から躍動しております。
そして初回から訪れたチャンスに打席に入るのは3番バッターの山崎選手。
日本としてはここで先制しておきたいところですが……。
おっと、ロシア代表監督がベンチから出てきました。
綿原さん、これはまさか──。
ええ、そのまさかでしょう。
試合開始から連打を浴びてイタリア戦の序盤のようにはいかないと判断し、この山崎選手の打席から解禁するつもりなのだと思います。
……プレイが再開されます。
心なしかウラジミール選手の雰囲気が変わったようにも感じる中、山崎選手に対してセットポジションから第1球を……投げた!
見逃してストライク! これは……。
出てしまいました、185km/h!
山崎選手は驚愕の表情!
目を見開いてウラジミール選手に視線を向けています!
スタンドもざわめきが広がっております!
図ったように同じ数値ですね。
あるいは、ここらが人間の真の限界なのでしょうか。
一応、セットポジションでの球速ですが……。
ランナーなしならもっと球速が出るのでは?
いえ。実のところ、プロ野球の世界ではセットポジションで球速が下がるとは限りません。データ上ではむしろ上がる傾向があります。
あくまでも、セットポジションからの投球に慣れていないピッチャーの球速が下がると言うだけの話です。
このレベルであれば最高球速はセットポジションで判断した方がよいでしょう。
成程。
であれば、一先ずこれ以上は考えなくてよさそうということですね。
そう、ですね。
そうだといいのですが……。
山崎選手、深く息を吐いて仕切り直します。
対するウラジミール選手の2球目は……変化球! 空振り!
177km/hのスプリットに手が出てしまいました!
しかし、映像で見ても半ば信じられませんでしたが、現地で実際に目の当たりにしても尚、現実のものとはとても思えませんね。
あんなもの、一体どうやって打てと言うのか……。
厳しくとも打席に立てば挑まなくてはなりません!
ええ。そうですね。
山崎選手は集中できています。
信じて見守りましょう。
はい。続いて3球目。
ウラジミール選手、投げました!
内角高め!
山崎選手、振りに行った!
く……。
しかし、バットは空を切って空振り三振。
ノーアウトランナー1塁2塁のチャンスに山崎選手、3球三振に倒れてしまいました。場面は1アウトランナー1塁2塁に変わります。
……やはり厳しいですね。
185km/hのフォーシーム。
ただただ速い。
シンプルですが、何よりの脅威です。
ここで打順は4番。
日本最強の呼び声高い野村秀治郎選手が左のバッターボックスに入りました。
ピンチとなり、出力を上げてきたウラジミール選手にどう対抗するのか。
どうにか先制点を挙げて欲しい。
そんな期待がスタンドの日本応援団からも伝わってきております。
初回ですが、正念場と言えるかもしれません。
ここで簡単に凡退してしまうようですと――。
ウラジミール選手、テンポよく第1球を、投げた!
打ったっ!!
い、行け!
行った!!
やはり! やはり日本にはこの人がいます!!
秀治郎選手!
185km/hのフォーシームを! レフトスタンドに! 叩き込みました!!
3ランホームラン!!!
日本代表3点先制!!!
素晴らしい。さすがです。
これはもう脱帽するしかありません。
185km/hと言えど打つことができる。
それを行動で示したこと。
このホームランは3点という点数以上に大きいと思います。
やはり特注のピッチングマシンのおかげでしょうか。
かもしれません。
備えあれば患いなし。
最悪を想定して動くことが大事ということですね。
ええ、まさしく……おや?
秀治郎選手がベースを回る傍らで、ロシア代表キャッチャーのアナトリー選手がベンチに何か確認をしていますね。
そうですね。
監督やコーチが1イニングに2度マウンドに行くと自動的に投手交代となりますので、必然的に降板という訳ではないはずですが……。
秀治郎選手がホームベースを踏み、スコアは3-0。
続いて5番バッターの瀬川昇二選手が入ります。
185km/hを打って球場が盛り上がる中、続くことができるのか。
ウラジミール選手、まずは第1球を、投げ――!?
なっ!?
ひゃ、197km/h……?
こんな……。
さ、更に上のギアがあった……?
こんなことが、あり得るのでしょうか。
秀治郎選手のホームランで大きく熱気を帯びていた日本応援団、そして現地観戦のアメリカ人たちが水を打ったように静まり返っております。
突如として異世界に来てしまったかのような心持ちです……。
いや、本当に、人間に出せる球速なのか……?
ゲームのバグじゃないんだぞ?
ど、どうやら計測機器の異常ではないようです。
2球目は191km/hの高速スライダー。
瀬川昇二選手、手を出せず見逃し。ノーボール2ストライク。
ウラジミール選手の肩は、肘は、本当にどうなってるんだ……?
俺は夢でも見ているのか?
綿原さん、落ち着いて下さい。
我々は我々の仕事をしましょう。
そ、そう、ですね。
申し訳ありません。
かつてプロ野球選手だった者として、余りの状況に動揺してしまいました。
羽澤、ありがとうございます。
いえ。……しかし、3球目。
瀬川昇二選手は190km/hのスプリットに空振り。
3球三振に切って取られてしまいました。
2アウトランナーなし。
ロシアの応援団は大熱狂です。
秀治郎選手のホームランで作られつつあった勢いは完全にとまった形です。
この試合、一体どうなってしまうのでしょうか。
正直、私にも予測できませんが……。
少なくとも3点差はセーフティリードとはとても言えない。
そのことだけは確かでしょう。
ロシア代表の先発ピッチャー、ウラジミール選手は外角低めいっぱいへとフォーシームを投じましたが、その球速は175km/hでした。
綿原さん、これはウラジミール選手の公式戦自己最高球速ですが……。
これを彼のこの試合の最高球速と見なしてもよいのでしょうか。
あるいは、やはり――。
そうですね。
明らかにフォームに余裕が見られますし、まずは様子見というところでしょう。
……まあ、様子見で175km/hを出してくるというのは恐ろしい話ですが。
つまり、このウラジミール選手もイワン選手らと同様に180km/h以上を投げられるだけの出力がある可能性が高い。
そう見ておいた方がいいということですね
ええ。
相手を侮ってよいことはありません。
様々な意味で注目のウラジミール選手。
茜選手に対して2球目を……投げました!
内角低めいっぱいへの変化球! ストライクッ!
シュートですね。
しかし、170km/hの変化球を四隅に……。
カウントはノーボール2ストライク。
茜選手はバットを振らず、2球で追い込まれてしまいました。
秀治郎選手もそうですが、このレベルの選手は総じてストライク率が異常です。
かつての常識からは逸脱した域に達してしまっています。
本当に、我々の時代からは考えられない冗談のような制球力です。
まるで野球ゲームのようだとは、よく言ったものです。
はい。ですので、待球をするメリットは限りなく少ないと思いますが……。
茜選手はオランダ戦で見せたカット戦法を行おうとしているのでしょうか。
いえ、そこまで明確なものではないでしょう。
相手が様子見ならば、こちらも様子見。
あくまでも180km/hの実際の球筋を見ておきたかった、そして後続のバッターに見せたかったという程度のものだと思います。
まあ、結果としてウラジミール選手は投げてきませんでしたが。
3球目、内角高めに僅かに外れてボール!
これも175km/hのフォーシームでした。
御覧の通り180km/h超えの球を解禁せずとも、ウラジミール選手は一昨日までの世界記録を当たり前のように投げ込んできています。
数値上はアメリカ代表級のピッチャーです。
そんな相手にカット戦法を取るのはさすがに困難でしょう。
それに、たとえウラジミール選手を引きずり降ろすことができたとしても、同格の選手が後に何人も控えているそうですからね。
更に言えば、準決勝戦の球数制限は95球。
球数制限が65球だったグループリーグのようには行かないですし、茜選手達がカット戦法をする気配を感じたら180km/h超えを解禁してくるでしょう。
確かに。
この試合は準決勝戦に応じた戦い方が必要ということですね。
……さて、続いて4球目。
茜選手に対し、ウラジミール選手、投げました!
打った! バットの先端! 打球は小フライ!
セカンド追う! ファーストが飛びつく!
捕れない! 内野を越えました!
しかし、ライトのヤロスラフ選手が猛然と突っ込んでワンバウンドで捕球!
ファーストのカバーに入っていたピッチャー、ウラジミール選手へと矢のような送球をするも既に茜選手はベースを駆け抜けてセーフ!
日本、ノーアウトのランナーが出ました!
球速169km/hの高速スライダーをうまく打ち返しましたね。
恐るべき変化でしたが、まるで読んでいたかのようにバットを合わせました。
茜選手らしい技ありのライト前ヒットでしたが……。
ライトの肩もまた凄まじく、あわやライトゴロになるところでもありました。
ピッチャーだけでなく、ロシアの守備も要注意です。
ライトのヤロスラフ選手。
オランダ戦のフェリクス選手を彷彿とさせるような猛チャージでしたね。
いえ、恐らく一歩目の踏み出しはフェリクス選手の方が速かったと思います。
ただ、加速とトップスピードはヤロスラフ選手の方が明らかに上でした。
ですので、少し性質が異なります。
そうした差異も見極めてプレイをしていく必要があります。
……成程。
しかし、いずれにしても。
刺殺の危険性が極めて高い外野陣ということは確かですね。
はい。ですので、コーチャーは気が気ではないでしょうね。
国際試合はそもそも僅かな判断ミスも許されない厳しい戦いですが、こうも守備力が高いと瞬発的に判断しなくてはならず、成否を左右する猶予も短くなります。
より一層、指示の早さと正確さが重要になってくると言えるでしょう。
球速のみならず打球速度、送球速度もまた年々速くなっていっていますからね。
それに付随するように個々の判断も高速化していっている訳ですから、現代の選手達は大変でしょう。
私も若い頃は野球をやっていましたが、本当に頭の下がる思いです。
全くです。
現役時代の私では正直ついていけないと思います。
勿論、小学生時代から鍛え直せるのであれば負けるつもりはありませんが。
トレーニング理論も当時より遥かに発展していますからね。
何はともあれ。
日本代表の攻撃はまず先頭バッターが出塁してノーアウトランナー1塁。
ここで右のバッターボックスに2番バッターの倉本選手が入ります。
茜選手に続いてチャンスを作ることができるのか。
ウラジミール選手はセットポジションに入って、第1球を……投げた!
打った!
打球はまたファーストの頭上を越えてライト前に落ちる!
ヤロスラフ選手は2塁へ送球するもセーフ!
2連打でノーアウトランナー1塁2塁!
日本代表、初回から得点圏にランナーを進めました!
外角低めに落ちるスプリットをうまく掬い上げましたね。
素晴らしいバットコントロールです。
正にコンタクト力においては日本プロ野球で1、2を争う2人の女性選手が、世界最高峰のピッチャーを相手取って序盤から躍動しております。
そして初回から訪れたチャンスに打席に入るのは3番バッターの山崎選手。
日本としてはここで先制しておきたいところですが……。
おっと、ロシア代表監督がベンチから出てきました。
綿原さん、これはまさか──。
ええ、そのまさかでしょう。
試合開始から連打を浴びてイタリア戦の序盤のようにはいかないと判断し、この山崎選手の打席から解禁するつもりなのだと思います。
……プレイが再開されます。
心なしかウラジミール選手の雰囲気が変わったようにも感じる中、山崎選手に対してセットポジションから第1球を……投げた!
見逃してストライク! これは……。
出てしまいました、185km/h!
山崎選手は驚愕の表情!
目を見開いてウラジミール選手に視線を向けています!
スタンドもざわめきが広がっております!
図ったように同じ数値ですね。
あるいは、ここらが人間の真の限界なのでしょうか。
一応、セットポジションでの球速ですが……。
ランナーなしならもっと球速が出るのでは?
いえ。実のところ、プロ野球の世界ではセットポジションで球速が下がるとは限りません。データ上ではむしろ上がる傾向があります。
あくまでも、セットポジションからの投球に慣れていないピッチャーの球速が下がると言うだけの話です。
このレベルであれば最高球速はセットポジションで判断した方がよいでしょう。
成程。
であれば、一先ずこれ以上は考えなくてよさそうということですね。
そう、ですね。
そうだといいのですが……。
山崎選手、深く息を吐いて仕切り直します。
対するウラジミール選手の2球目は……変化球! 空振り!
177km/hのスプリットに手が出てしまいました!
しかし、映像で見ても半ば信じられませんでしたが、現地で実際に目の当たりにしても尚、現実のものとはとても思えませんね。
あんなもの、一体どうやって打てと言うのか……。
厳しくとも打席に立てば挑まなくてはなりません!
ええ。そうですね。
山崎選手は集中できています。
信じて見守りましょう。
はい。続いて3球目。
ウラジミール選手、投げました!
内角高め!
山崎選手、振りに行った!
く……。
しかし、バットは空を切って空振り三振。
ノーアウトランナー1塁2塁のチャンスに山崎選手、3球三振に倒れてしまいました。場面は1アウトランナー1塁2塁に変わります。
……やはり厳しいですね。
185km/hのフォーシーム。
ただただ速い。
シンプルですが、何よりの脅威です。
ここで打順は4番。
日本最強の呼び声高い野村秀治郎選手が左のバッターボックスに入りました。
ピンチとなり、出力を上げてきたウラジミール選手にどう対抗するのか。
どうにか先制点を挙げて欲しい。
そんな期待がスタンドの日本応援団からも伝わってきております。
初回ですが、正念場と言えるかもしれません。
ここで簡単に凡退してしまうようですと――。
ウラジミール選手、テンポよく第1球を、投げた!
打ったっ!!
い、行け!
行った!!
やはり! やはり日本にはこの人がいます!!
秀治郎選手!
185km/hのフォーシームを! レフトスタンドに! 叩き込みました!!
3ランホームラン!!!
日本代表3点先制!!!
素晴らしい。さすがです。
これはもう脱帽するしかありません。
185km/hと言えど打つことができる。
それを行動で示したこと。
このホームランは3点という点数以上に大きいと思います。
やはり特注のピッチングマシンのおかげでしょうか。
かもしれません。
備えあれば患いなし。
最悪を想定して動くことが大事ということですね。
ええ、まさしく……おや?
秀治郎選手がベースを回る傍らで、ロシア代表キャッチャーのアナトリー選手がベンチに何か確認をしていますね。
そうですね。
監督やコーチが1イニングに2度マウンドに行くと自動的に投手交代となりますので、必然的に降板という訳ではないはずですが……。
秀治郎選手がホームベースを踏み、スコアは3-0。
続いて5番バッターの瀬川昇二選手が入ります。
185km/hを打って球場が盛り上がる中、続くことができるのか。
ウラジミール選手、まずは第1球を、投げ――!?
なっ!?
ひゃ、197km/h……?
こんな……。
さ、更に上のギアがあった……?
こんなことが、あり得るのでしょうか。
秀治郎選手のホームランで大きく熱気を帯びていた日本応援団、そして現地観戦のアメリカ人たちが水を打ったように静まり返っております。
突如として異世界に来てしまったかのような心持ちです……。
いや、本当に、人間に出せる球速なのか……?
ゲームのバグじゃないんだぞ?
ど、どうやら計測機器の異常ではないようです。
2球目は191km/hの高速スライダー。
瀬川昇二選手、手を出せず見逃し。ノーボール2ストライク。
ウラジミール選手の肩は、肘は、本当にどうなってるんだ……?
俺は夢でも見ているのか?
綿原さん、落ち着いて下さい。
我々は我々の仕事をしましょう。
そ、そう、ですね。
申し訳ありません。
かつてプロ野球選手だった者として、余りの状況に動揺してしまいました。
羽澤、ありがとうございます。
いえ。……しかし、3球目。
瀬川昇二選手は190km/hのスプリットに空振り。
3球三振に切って取られてしまいました。
2アウトランナーなし。
ロシアの応援団は大熱狂です。
秀治郎選手のホームランで作られつつあった勢いは完全にとまった形です。
この試合、一体どうなってしまうのでしょうか。
正直、私にも予測できませんが……。
少なくとも3点差はセーフティリードとはとても言えない。
そのことだけは確かでしょう。
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