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最終章 転生野球大戦編
291 イタリア代表戦の開始と意趣返し
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そうして試合開始直前。
既にスターティングオーダーは発表されており、電光掲示板に表示されている。
日本代表チームのそれは事前の全体ミーティングの時から変わっていない。
以下の通りだ。
1番 遊撃手 野村茜 村山マダーレッドサフフラワーズ
2番 二塁手 倉本未来 村山マダーレッドサフフラワーズ
3番 左翼手 山崎一裕 宮城オーラムアステリオス
4番 捕手 野村秀治郎 村山マダーレッドサフフラワーズ
5番 中堅手 瀬川昇二 村山マダーレッドサフフラワーズ
6番 一塁手 黒井力皇 福岡アルジェントヴァルチャーズ
7番 三塁手 白露尊 神奈川ポーラースターズ
8番 右翼手 大松勝次 東京プレスギガンテス
9番 投手 磐城巧 兵庫ブルーヴォルテックス
一方でイタリア代表チーム。
こちらも面子に関しては事前の予想と同じだったが、打順が微妙に違っていた。
そして実際のスターティングオーダーはこれだ。
1番 右翼手 ジャンナ・トッティ
2番 中堅手 ナタリア・パストーリ
3番 二塁手 エリザベッタ・マリーノ
4番 遊撃手 ルカ・デ・ルカ
5番 捕手 アントニーノ・コロンボ
6番 DH リリアナ・サウダーディ
7番 一塁手 ベアトリーチェ・エスポジト
8番 三塁手 ロレンツァ・ビアンキ
9番 左翼手 モニカ・カゼラート
投手 アンジェリカ・カルネヴァーレ
何が変わっているのかと言えば、まず9番だろうと考えられていたエリザベッタ選手が3番に入り、元々は3番と考えられていたリリアナ選手が6番に。
後は1つずつ打順が後ろにズレていっている。
落山監督達はその采配を訝しんでいたが、俺は然もありなんと思っていた。
エリザベッタ選手は【隠しスキル】【比翼連理】を持っている。
同じくそれを取得しているジャンナ選手とアンジェリカ選手と同格となり、正にルカ選手に次ぐ実力者になったと見ていい。
イタリア代表チームの中では間違いなく1つ突き抜けた存在だ。
恐らくシーズン中は【比翼連理】を保有していなかったが故に、日本代表のスコアラー達も取得していた情報を更新することができなかったのだろう。
さすがにシーズンオフ中の変化に関しては、たとえ我らがインターンシップ部隊であってもアップデートすることは不可能だ。
それこそ【マニュアル操作】で注視していなければ気づきようがない。
「プレイッ!!」
そんな風に脳内で日本代表のスコアラー達にフォローを入れていると、球審の気合いの入ったコールと共に試合が始まった。
非常に珍しい国際試合であるからか、明らかに審判達も意気込んでいる。
「さて、まずは攻撃だな」
日本代表チームがビジター側、イタリア代表チームがホーム側での試合だ。
そのため、先攻は日本代表チームで、イタリア代表チームは後攻となる。
なので、こちらから1番バッターのあーちゃんがバッターボックスに入った。
ネクストバッターズサークルには2番バッターの倉本さんが待機している。
一方、マウンドにはイタリア代表チーム先発のアンジェリカ投手が立っていた。
「……何だか、女子野球の試合みたいだね」
まあ、確かに。
そこだけを切り取ると昇二の感想みたいになってしまうかもしれない。
グラウンドの中にいるほとんどが女性。
マウンドには長身美女。
バッターボックスには美少女。
何とも華やかな光景だ。
とは言え、キャッチャーであるアントニーノ選手とショートのルカ選手は男。
女性しかいない訳ではない。
つまるところ――。
「彼女達は実力で代表の座を掴み取ったんだ。だから、油断はできないぞ」
性別なんて、グラウンドに立てば関係ない。
重要なのはステータスとスキル。そこに技術を加えた総合的な能力。
イタリア代表チームもまた、その当たり前をしっかりと実践している訳だ。
「うん。勿論、分かってるよ。コッチにいる女性陣だって日本最強クラスだしね」
ちょっと苦笑い気味に昇二が応じる。
それはまさしくその通りだ。
どの国においても。当然、この日本においても。
今生では望むと望まざるとに関わらず、実力主義が徹底されている。
WBWの結果で国際情勢が左右される以上、その度合いは前世の比ではない。
だからこそ、村山マダーレッドサフフラワーズ3人娘もこの場にいるのだ。
目の前の光景から改めてそんなことを考えていると――。
「「「「「おおおおぉっ!?」」」」」
球場にどよめきが起こった。
アンジェリカ選手の初球。
アウトコースに僅かに外れたストレート。
その球速が電光掲示板に表示されたからだろう。
「151km/h……」
美海ちゃんが呆然と呟く。
アンジェリカ選手は背が高く、明らかに美海ちゃんよりも体格がいい。
【体格補正】の値も-11%でステータスはカンスト。
そのため、計算上でも151km/hまで出る。
一時144km/hの美海ちゃんが世界最速とされていたが、昨シーズンの間にアンジェリカ選手によって塗り替えられた形となっていた。
もっとも、世界的には余り話題にはなっていない。
日本でも特に報道はなかった。
だからこそのどよめきでもあるだろう。
そもそも、美海ちゃんの記録更新も実際は国内で少し騒がれていただけだしな。
結局、男女の枠を取り払って野球選手全体で見ると特筆すべき球速ではない。
しかも、大リーグでは既にMax175km/hを当たり前のように投げてくるピッチャーが複数人出現していたからな。
数字だけで言えば見劣りしてしまう。
WBWの趨勢に直結するようなことでなければ、衆目を集めるには不十分だ。
とは言え――。
「サウスポーで150km/h台を投げる女性ピッチャー、か」
美海ちゃんは右投げということもあり、数字以上の差がある。
更には変化球もハイクオリティだ。
彼女は【成長タイプ:マニュアル】ではないものの、【経験ポイント】増加系スキルのおかげで十分なラインナップとなっている。
変化量も当然最大まで成長し切っている。
加えて【比翼連理】の効果によってルカ選手の投手系スキルも全て共有しているため、キレもコントロールも最上級。
スタミナだって試合の最終盤で序盤と遜色ない球を投げられるだけある。
アンジェリカ選手は基本スペックのみでも国の代表に相応しい選手と言える。
だが、あーちゃんを抑えることができるかどうかは全く別の話だ。
「茜、粘ってるわね」
「まあ、1番打者の役割を果たしてるんだろうけど……」
初球ボールの後、2球連続変化球で1ボール2ストライク。
そこまでは特におかしくはなかったが、そこから彼女はストライクゾーンに来た球を少々わざとらしくファウルにしていく。
3球連続ファウルからの2連続ボールで3ボール2ストライク。フルカウント。
そして、ここまで8球投げさせてからの9球目。
インコース高め。
ボールゾーンから小さく曲がって入ってくるワンシームだった。
――カキンッ!
「おわっと」
快音と共に打球がいい角度で上がる。
「……あの子、かなりキレてたっぽいわね」
「美海ちゃんのこともあったからだろうな」
「そ、そう、かしら」
「そうだよ。絶対」
試合前のやり取りで相当イラッと来ていたことは【以心伝心】で分かっていた。
まるでその鬱憤を晴らすかのように。
あーちゃんはまず粘って球数を投げさせ……。
その上でインコースの変化球をうまく捌いて引っ叩いた。
【直感】を活用し、的確にボールの中心から僅かに下へとバットの芯を入れて。
思いっ切り引っ張られた打球は失速することなく飛んでいく。
「入った……!」
そして、ボールはポールの根元の辺りでフェンスを越えた。
飛距離はギリギリ。
しかし、ファウルにならずにスタンドに直接入れば何であれホームランだ。
「あ、流し目で嘲笑ってった」
「あの子は、全くもう……」
困ったように言いながら、美海ちゃんはどことなく嬉しそうだ。
あーちゃんは2塁ベースを回ってショートのルカ選手の前に来たところで彼をチラッと見ると、わざとらしく小さく嗤いながら足をとめずに通過していった。
「むしろ美海ちゃんは大丈夫なのか?」
「しっかり言葉にして断ったら、何かスッキリしたから。私は問題ないわ。あんなの、気にしてたってしょうがないしね」
むしろ傍から見ていたあーちゃんの方が怒っているくらいか。
精神安定系のスキルを突き抜けているのだから相当なものだ。
けど、まあ。それがモチベーションとなるのなら構わないだろう。
意趣返しも試合中にできる範囲で留めているようだしな。
あーちゃんはそのまま淡々とベースを一周していってホームイン。
日本代表チームは彼女のリードオフホームランによって1点先制した。
「正に注文通り。いや、注文以上だね……」
一通り変化球を投げさせた上で自分も出塁。どころかホームラン。
それを成し遂げたあーちゃんは、こともなげにベンチに戻ってきて俺の隣に。
特に大きな仕事はしていないとばかりだ。
それを、昇二はどこか引け目を感じさせるような目で見ていた。
「って、あれ? 未来も?」
「腹に据えかねたんだろうな」
「当然」
「も、もう。しょうがないわね」
続く2番バッターの倉本さんもまたカット打ちを多用。
美海ちゃんの表情は、言葉とは裏腹に喜びが見え隠れしている。
当然のようにフルカウントとなり、ファウルを2球挟んで8球目。
――カンッ!
外のフォークを軽くすくい上げた打球はライト前に落ちる。
村山マダーレッドサフフラワーズでは諸々の事情から4番が定位置となっていた彼女だが、そもそもパワーを買われての打順ではない。
それだけに、チャンスメーカーとしての2番打者もお手のものだ。
四球攻めさえなければ、彼女は前に置いた方が得点率は高くなるだろう。
あるいは、出塁率が高過ぎて2番打者最強論も満たせるかもしれない。
いずれにしても。
僅か2人で合計17球使わされた上に未だノーアウトでランナー1塁。
アンジェリカ投手は初回からハードな展開になってしまったな。
しかし、ルカ選手を引きずり出すにはまだまだこれからだ。
既にスターティングオーダーは発表されており、電光掲示板に表示されている。
日本代表チームのそれは事前の全体ミーティングの時から変わっていない。
以下の通りだ。
1番 遊撃手 野村茜 村山マダーレッドサフフラワーズ
2番 二塁手 倉本未来 村山マダーレッドサフフラワーズ
3番 左翼手 山崎一裕 宮城オーラムアステリオス
4番 捕手 野村秀治郎 村山マダーレッドサフフラワーズ
5番 中堅手 瀬川昇二 村山マダーレッドサフフラワーズ
6番 一塁手 黒井力皇 福岡アルジェントヴァルチャーズ
7番 三塁手 白露尊 神奈川ポーラースターズ
8番 右翼手 大松勝次 東京プレスギガンテス
9番 投手 磐城巧 兵庫ブルーヴォルテックス
一方でイタリア代表チーム。
こちらも面子に関しては事前の予想と同じだったが、打順が微妙に違っていた。
そして実際のスターティングオーダーはこれだ。
1番 右翼手 ジャンナ・トッティ
2番 中堅手 ナタリア・パストーリ
3番 二塁手 エリザベッタ・マリーノ
4番 遊撃手 ルカ・デ・ルカ
5番 捕手 アントニーノ・コロンボ
6番 DH リリアナ・サウダーディ
7番 一塁手 ベアトリーチェ・エスポジト
8番 三塁手 ロレンツァ・ビアンキ
9番 左翼手 モニカ・カゼラート
投手 アンジェリカ・カルネヴァーレ
何が変わっているのかと言えば、まず9番だろうと考えられていたエリザベッタ選手が3番に入り、元々は3番と考えられていたリリアナ選手が6番に。
後は1つずつ打順が後ろにズレていっている。
落山監督達はその采配を訝しんでいたが、俺は然もありなんと思っていた。
エリザベッタ選手は【隠しスキル】【比翼連理】を持っている。
同じくそれを取得しているジャンナ選手とアンジェリカ選手と同格となり、正にルカ選手に次ぐ実力者になったと見ていい。
イタリア代表チームの中では間違いなく1つ突き抜けた存在だ。
恐らくシーズン中は【比翼連理】を保有していなかったが故に、日本代表のスコアラー達も取得していた情報を更新することができなかったのだろう。
さすがにシーズンオフ中の変化に関しては、たとえ我らがインターンシップ部隊であってもアップデートすることは不可能だ。
それこそ【マニュアル操作】で注視していなければ気づきようがない。
「プレイッ!!」
そんな風に脳内で日本代表のスコアラー達にフォローを入れていると、球審の気合いの入ったコールと共に試合が始まった。
非常に珍しい国際試合であるからか、明らかに審判達も意気込んでいる。
「さて、まずは攻撃だな」
日本代表チームがビジター側、イタリア代表チームがホーム側での試合だ。
そのため、先攻は日本代表チームで、イタリア代表チームは後攻となる。
なので、こちらから1番バッターのあーちゃんがバッターボックスに入った。
ネクストバッターズサークルには2番バッターの倉本さんが待機している。
一方、マウンドにはイタリア代表チーム先発のアンジェリカ投手が立っていた。
「……何だか、女子野球の試合みたいだね」
まあ、確かに。
そこだけを切り取ると昇二の感想みたいになってしまうかもしれない。
グラウンドの中にいるほとんどが女性。
マウンドには長身美女。
バッターボックスには美少女。
何とも華やかな光景だ。
とは言え、キャッチャーであるアントニーノ選手とショートのルカ選手は男。
女性しかいない訳ではない。
つまるところ――。
「彼女達は実力で代表の座を掴み取ったんだ。だから、油断はできないぞ」
性別なんて、グラウンドに立てば関係ない。
重要なのはステータスとスキル。そこに技術を加えた総合的な能力。
イタリア代表チームもまた、その当たり前をしっかりと実践している訳だ。
「うん。勿論、分かってるよ。コッチにいる女性陣だって日本最強クラスだしね」
ちょっと苦笑い気味に昇二が応じる。
それはまさしくその通りだ。
どの国においても。当然、この日本においても。
今生では望むと望まざるとに関わらず、実力主義が徹底されている。
WBWの結果で国際情勢が左右される以上、その度合いは前世の比ではない。
だからこそ、村山マダーレッドサフフラワーズ3人娘もこの場にいるのだ。
目の前の光景から改めてそんなことを考えていると――。
「「「「「おおおおぉっ!?」」」」」
球場にどよめきが起こった。
アンジェリカ選手の初球。
アウトコースに僅かに外れたストレート。
その球速が電光掲示板に表示されたからだろう。
「151km/h……」
美海ちゃんが呆然と呟く。
アンジェリカ選手は背が高く、明らかに美海ちゃんよりも体格がいい。
【体格補正】の値も-11%でステータスはカンスト。
そのため、計算上でも151km/hまで出る。
一時144km/hの美海ちゃんが世界最速とされていたが、昨シーズンの間にアンジェリカ選手によって塗り替えられた形となっていた。
もっとも、世界的には余り話題にはなっていない。
日本でも特に報道はなかった。
だからこそのどよめきでもあるだろう。
そもそも、美海ちゃんの記録更新も実際は国内で少し騒がれていただけだしな。
結局、男女の枠を取り払って野球選手全体で見ると特筆すべき球速ではない。
しかも、大リーグでは既にMax175km/hを当たり前のように投げてくるピッチャーが複数人出現していたからな。
数字だけで言えば見劣りしてしまう。
WBWの趨勢に直結するようなことでなければ、衆目を集めるには不十分だ。
とは言え――。
「サウスポーで150km/h台を投げる女性ピッチャー、か」
美海ちゃんは右投げということもあり、数字以上の差がある。
更には変化球もハイクオリティだ。
彼女は【成長タイプ:マニュアル】ではないものの、【経験ポイント】増加系スキルのおかげで十分なラインナップとなっている。
変化量も当然最大まで成長し切っている。
加えて【比翼連理】の効果によってルカ選手の投手系スキルも全て共有しているため、キレもコントロールも最上級。
スタミナだって試合の最終盤で序盤と遜色ない球を投げられるだけある。
アンジェリカ選手は基本スペックのみでも国の代表に相応しい選手と言える。
だが、あーちゃんを抑えることができるかどうかは全く別の話だ。
「茜、粘ってるわね」
「まあ、1番打者の役割を果たしてるんだろうけど……」
初球ボールの後、2球連続変化球で1ボール2ストライク。
そこまでは特におかしくはなかったが、そこから彼女はストライクゾーンに来た球を少々わざとらしくファウルにしていく。
3球連続ファウルからの2連続ボールで3ボール2ストライク。フルカウント。
そして、ここまで8球投げさせてからの9球目。
インコース高め。
ボールゾーンから小さく曲がって入ってくるワンシームだった。
――カキンッ!
「おわっと」
快音と共に打球がいい角度で上がる。
「……あの子、かなりキレてたっぽいわね」
「美海ちゃんのこともあったからだろうな」
「そ、そう、かしら」
「そうだよ。絶対」
試合前のやり取りで相当イラッと来ていたことは【以心伝心】で分かっていた。
まるでその鬱憤を晴らすかのように。
あーちゃんはまず粘って球数を投げさせ……。
その上でインコースの変化球をうまく捌いて引っ叩いた。
【直感】を活用し、的確にボールの中心から僅かに下へとバットの芯を入れて。
思いっ切り引っ張られた打球は失速することなく飛んでいく。
「入った……!」
そして、ボールはポールの根元の辺りでフェンスを越えた。
飛距離はギリギリ。
しかし、ファウルにならずにスタンドに直接入れば何であれホームランだ。
「あ、流し目で嘲笑ってった」
「あの子は、全くもう……」
困ったように言いながら、美海ちゃんはどことなく嬉しそうだ。
あーちゃんは2塁ベースを回ってショートのルカ選手の前に来たところで彼をチラッと見ると、わざとらしく小さく嗤いながら足をとめずに通過していった。
「むしろ美海ちゃんは大丈夫なのか?」
「しっかり言葉にして断ったら、何かスッキリしたから。私は問題ないわ。あんなの、気にしてたってしょうがないしね」
むしろ傍から見ていたあーちゃんの方が怒っているくらいか。
精神安定系のスキルを突き抜けているのだから相当なものだ。
けど、まあ。それがモチベーションとなるのなら構わないだろう。
意趣返しも試合中にできる範囲で留めているようだしな。
あーちゃんはそのまま淡々とベースを一周していってホームイン。
日本代表チームは彼女のリードオフホームランによって1点先制した。
「正に注文通り。いや、注文以上だね……」
一通り変化球を投げさせた上で自分も出塁。どころかホームラン。
それを成し遂げたあーちゃんは、こともなげにベンチに戻ってきて俺の隣に。
特に大きな仕事はしていないとばかりだ。
それを、昇二はどこか引け目を感じさせるような目で見ていた。
「って、あれ? 未来も?」
「腹に据えかねたんだろうな」
「当然」
「も、もう。しょうがないわね」
続く2番バッターの倉本さんもまたカット打ちを多用。
美海ちゃんの表情は、言葉とは裏腹に喜びが見え隠れしている。
当然のようにフルカウントとなり、ファウルを2球挟んで8球目。
――カンッ!
外のフォークを軽くすくい上げた打球はライト前に落ちる。
村山マダーレッドサフフラワーズでは諸々の事情から4番が定位置となっていた彼女だが、そもそもパワーを買われての打順ではない。
それだけに、チャンスメーカーとしての2番打者もお手のものだ。
四球攻めさえなければ、彼女は前に置いた方が得点率は高くなるだろう。
あるいは、出塁率が高過ぎて2番打者最強論も満たせるかもしれない。
いずれにしても。
僅か2人で合計17球使わされた上に未だノーアウトでランナー1塁。
アンジェリカ投手は初回からハードな展開になってしまったな。
しかし、ルカ選手を引きずり出すにはまだまだこれからだ。
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