EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~

青空顎門

文字の大きさ
38 / 128
第一章 未来異星世界

038 足りないもの

しおりを挟む
 約二時間が経過し、遺跡探索のいくつかのシチュエーションを体験した後。

「今の状態のままでは探索者としてはやっていけないな」

 難しい表情を浮かべながらシミュレーター室を出たマグの内心をそのまま言葉にしたかのように、ケイルが腕を組みながら淡々と告げた。
 自覚を伴い、身に沁みる。最も効果的なタイミングだ。

「お前達自身も理解できているだろう」
「ええ……」「はい……」

 念を押すような彼の問いに、マグとアテラは力なく肯定せざるを得ない。
 再現された遺跡は最初の小綺麗な通路同様、真新しい状態が維持されていた。
 新設されたばかりの研究施設や工場、軍事施設のような感じだった。
 管理システムが起動していれば、自動修復機能によって実物もそのままらしい。
 そんな中を四方八方から襲いかかってくる敵と、突然起動する罠。
 マグとアテラはそれらに翻弄され続け、全く状況を打破できなかった。

「今回再現したのは比較的高度なセキュリティが施された遺跡ではあるが……」

 当然のことながら。
 マグ達が目標とする場所は、より強固な防犯機能が施されていて然るべき。
 それより難易度が低い状態で、対応できる気配が僅かたりともないのはまずい。

「アテラは少しマシだが、根本的に二人共装備が不足している。まずそこからだ」

 超越現象PBPが戦闘用でない以上、現状アテラの【アクセラレーター】頼り。
 だが、これは最大十秒までしか使えない上、再起動させるには使用したのと同じ分だけ時間を要することが今回分かった。
 その状態で敵に狙われるとマグを庇ってアテラが戦闘不能に。
 続いてマグも、なす術もなくやられてしまう。どうしようもなかった。

「基本的に、遺跡探索というものは二人以上で行うものだ。俺自身も普段は信頼できる仲間と共に迷宮遺跡に潜っている。しかし……」

 ケイルは、マグ達に心の準備をさせるように僅かに間を挟んでから続ける。

「それも全員が十分な戦闘能力を有していることが大前提。修復能力や数秒の一芸のみでは一人前とカウントできない」

 今の状態では、そう言われるのも仕方がない。
 反感も湧きようがない。

「二人共、先史兵装PTアーマメントで武装するのは当然として。安定を求めるなら最低もう一人。共に遺跡に挑戦する仲間を探した方がいい。あるいは探索を諦めるか」

 ケイルの忠告は道理だ。
 その辺りのことを教え込むためのシミュレーターだったに違いない。
 しかし、マグに諦めるつもりはなかった。

 メタの依頼はともかく、アテラと同じ機械の体を得られる出土品PTデバイスを探すという目的だけなら委託という手もない訳ではない。
 だが、それには莫大な依頼料が必要になるだろう。
 クリルのところでの仕事は割がいいとは言え、探索の対価を出せる程ではない。
 結局、マグ自身がある程度リターンの多い仕事をしなければならない。
 とは言え、ローリスクは後ろ盾も何もない身分ではあり得ない訳で……。
 現状では探索者が最有力候補であることに変わりはない。
 勿論、最初から決めつけて他の選択肢を捨ててしまう必要はないが。

「諦めないと言うのであれば、己を知り、準備を万全に整えて挑むことだ」

 そうした考えを表情から読んだのか、ケイルはアドバイスを加えて話を締める。

「…………はい」

 マグは自分に言い聞かせるように目を閉じて反芻し、それから彼に頷いた。
 進むにせよ、退くにせよ、もっと情報を収集しなければならない。

「ありがとうございました。ケイルさん、トリアさん」
「ありがとうございました」

 だからマグとアテラは揃って頭を下げてASHギルドを出ると、まずはクリルに言われた通り彼女の店に向かうことにした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...