61 / 128
第一章 未来異星世界
061 新しい先史兵装
しおりを挟む
少しして、クリルは店舗部分から小箱を持って戻ってきた。
「それが重さを解決できる出土品ですか?」
「ああ。【フロートバルク】と呼ばれるものだ」
マグの問いに答えながら、彼女は小箱の中から球体を取り出す。
それを起動させると、同じ箱から何枚かのチップのようなものが飛び出した。
完全に浮遊している。
「これは原炎の作用により、対応するチップが貼られた物体を自由自在に動かすことができる機能を持つ。汝らに分かり易く言えば、念動力のようなものだな」
「自由自在って、対象の重さに関わらずですか?」
「厳密には、消費するエネルギーに差異はある。だが、操作感については重さでは影響しない。むしろ体積の方が影響は大きいな」
聞く限りでは、反重力のような理論の応用だろうか。
操作感に体積が影響するのは、空気抵抗のせいかもしれない。
あるいは視覚的な圧迫感か。
「使ってみろ」
クリルはチップをタングステンの板にくっつけると、本体を差し出してきた。
アテラがそれを受け取ると、昨日の活動でまた超越現象が強化されて容量が大きくなっていたらしく、【フロートバルク】が掌から吸収されていく。
しかし、今回は見た目には変化らしい変化はないようだ。
それをマグが確認している間に、タングステンの板が緩やかに浮かび始める。
アテラはそのまま金属の塊を自身の掌の上に一旦移動させた。
「成程。確かに重さをまるで感じませんね」
そう納得したように言った彼女は、板を手から遠ざけてクルクルと縦横斜めに回転させてみたり、UFOの如く直角な軌道を描いてみたりと色々動かし始めた。
確かにこれならば盾として使えそうだ。
あるいは、中距離ぐらいであれば攻撃にも転用できるかもしれない。
しかし――。
「ちょっと無骨過ぎるな」
思わず素直な感想を口にしてしまう。
マグにとってアテラは愛すべき女性であるため、彼女の装備として諸に金属の塊といった感じの板が追加されるのは何とも違和感があった。
「む……ならば、少し待て」
対して、何やらプライドが刺激されたかのようにムッとしたクリルは、棚からタングステンの小さな板を大量に取り出してきて作業を始めた。
どうやら接合して加工しているようだ。
硬度も極めて高いタングステンだが、粘土の如く形を変えていく。
接合も加工も何かしらの出土品を利用しているのだろう。
更に塗装も行っているようで、アテラに見合う白銀の装甲のようになっていく。
それが都合十枚できあがったところで、クリルはマグ達を振り返った。
「これで文句あるまい」
「え、ええ」
クリルの職人気質なところに圧されながら頷くと、彼女は満足そうにしながら洗練された自作の盾の縁にチップを貼りつけていく。
「【フロートバルク】で操作できる分は持っておいて、残りは【コンプレッシブキャリアー】にでも入れておけ」
「分かりました」
アテラの返事を合図に、十枚全てが浮かび上がって傍らへと滑らかに移動する。
どうやら、この数なら同時に全て操ることが可能のようだ。
「む。旧式でも機人と言うべきか。もう少し予備を作っておくとしよう」
それを目の当たりにしたクリルは、再び板の加工に戻る。
その間もアテラは盾を軽く動かしていたが、何かを思いついたようにディスプレイに電球マークを表示させると十枚の盾を腰の辺りに配置した。
直後、縁の部分が体に触れたのか、チップの形状が変わっていく。
こちらも彼女の超越現象の影響を受けたようだ。
「おかー様、可愛いです!」
「いいじゃない。恰好いいわ!」
それに付随した変化を、フィアとドリィが絶賛する。
見るとチップは腰の部分とのジョイントのように変形し、十枚の盾はまるでスカートのように綺麗に配置されていた。
一枚一枚が大きめのプリーツのようになっている。
「重くはないのか?」
「問題ありません。接続しているように見えますが、実際は浮遊していますので」
スカートが風で揺れるように、一枚一枚を操作して波打たせるアテラ。
その光景に思わずドキッとしてしまう。
対してアテラはそんなマグの反応を受け、ディスプレイをピンク色に染めながら嬉しそうに【(*≧∀≦*)】と表示させた。
「そういうことは他人のいない場所でやれ」
「っと、すみません」
追加分を作り終えたクリルの呆れたような声に、ハッと我に返って頭を下げる。
隣のアテラは何ごともなかったかのように淡々と、追加の一枚一枚を【コンプレッシブキャリアー】に入れていった。
クリルは呆れ気味に嘆息し、それから再び口を開く。
「後、遠距離攻撃用にそれも持っていけ」
視線で示されたのは、今回マグが修復した中にあった先史兵装だった。
失敗作ではないが、機能は極々普通。ただ見た目がおかしなものだ。
「ジョークグッズなのでしょうか」
「実際に殺傷能力があるジョークグッズ?」
「フィアやドリィみたいな戦闘用のガイノイドのための装備なのかもな。見た目が変わるオシャレ武器、みたいな」
同じ効果で外見だけ変わる。
ゲームなどによくある特殊装備のようなものなのだろう。
今回のものは機械でできた花束らしき見た目の、銃。
銃口は花を模した部分のようだ。
普通に花束のように持ち、花を目標に向けると引金が出てくる。
未来の武器であるだけに、こんな形でも威力は申し分ない。
ただ機能が普通過ぎるのと外見がこうなので、クリルも店の雰囲気に合わないからと抱き合わせで売ってしまおうとしているのだろう。
スカートを完備したアテラには似合っているので、マグとしては否やはない。
「ところで、全部でいくらですか? 加工賃も」
「加工は我が勝手にやったことだ。出土品の分と材料費だけでいい」
「あ、ありがとうございます」
それでも結局、指名依頼と追加依頼の特別報酬は吹っ飛んでしまったが……。
戦力が増強された上にアテラがドレスアップされたので特に問題ではなかった。
「それが重さを解決できる出土品ですか?」
「ああ。【フロートバルク】と呼ばれるものだ」
マグの問いに答えながら、彼女は小箱の中から球体を取り出す。
それを起動させると、同じ箱から何枚かのチップのようなものが飛び出した。
完全に浮遊している。
「これは原炎の作用により、対応するチップが貼られた物体を自由自在に動かすことができる機能を持つ。汝らに分かり易く言えば、念動力のようなものだな」
「自由自在って、対象の重さに関わらずですか?」
「厳密には、消費するエネルギーに差異はある。だが、操作感については重さでは影響しない。むしろ体積の方が影響は大きいな」
聞く限りでは、反重力のような理論の応用だろうか。
操作感に体積が影響するのは、空気抵抗のせいかもしれない。
あるいは視覚的な圧迫感か。
「使ってみろ」
クリルはチップをタングステンの板にくっつけると、本体を差し出してきた。
アテラがそれを受け取ると、昨日の活動でまた超越現象が強化されて容量が大きくなっていたらしく、【フロートバルク】が掌から吸収されていく。
しかし、今回は見た目には変化らしい変化はないようだ。
それをマグが確認している間に、タングステンの板が緩やかに浮かび始める。
アテラはそのまま金属の塊を自身の掌の上に一旦移動させた。
「成程。確かに重さをまるで感じませんね」
そう納得したように言った彼女は、板を手から遠ざけてクルクルと縦横斜めに回転させてみたり、UFOの如く直角な軌道を描いてみたりと色々動かし始めた。
確かにこれならば盾として使えそうだ。
あるいは、中距離ぐらいであれば攻撃にも転用できるかもしれない。
しかし――。
「ちょっと無骨過ぎるな」
思わず素直な感想を口にしてしまう。
マグにとってアテラは愛すべき女性であるため、彼女の装備として諸に金属の塊といった感じの板が追加されるのは何とも違和感があった。
「む……ならば、少し待て」
対して、何やらプライドが刺激されたかのようにムッとしたクリルは、棚からタングステンの小さな板を大量に取り出してきて作業を始めた。
どうやら接合して加工しているようだ。
硬度も極めて高いタングステンだが、粘土の如く形を変えていく。
接合も加工も何かしらの出土品を利用しているのだろう。
更に塗装も行っているようで、アテラに見合う白銀の装甲のようになっていく。
それが都合十枚できあがったところで、クリルはマグ達を振り返った。
「これで文句あるまい」
「え、ええ」
クリルの職人気質なところに圧されながら頷くと、彼女は満足そうにしながら洗練された自作の盾の縁にチップを貼りつけていく。
「【フロートバルク】で操作できる分は持っておいて、残りは【コンプレッシブキャリアー】にでも入れておけ」
「分かりました」
アテラの返事を合図に、十枚全てが浮かび上がって傍らへと滑らかに移動する。
どうやら、この数なら同時に全て操ることが可能のようだ。
「む。旧式でも機人と言うべきか。もう少し予備を作っておくとしよう」
それを目の当たりにしたクリルは、再び板の加工に戻る。
その間もアテラは盾を軽く動かしていたが、何かを思いついたようにディスプレイに電球マークを表示させると十枚の盾を腰の辺りに配置した。
直後、縁の部分が体に触れたのか、チップの形状が変わっていく。
こちらも彼女の超越現象の影響を受けたようだ。
「おかー様、可愛いです!」
「いいじゃない。恰好いいわ!」
それに付随した変化を、フィアとドリィが絶賛する。
見るとチップは腰の部分とのジョイントのように変形し、十枚の盾はまるでスカートのように綺麗に配置されていた。
一枚一枚が大きめのプリーツのようになっている。
「重くはないのか?」
「問題ありません。接続しているように見えますが、実際は浮遊していますので」
スカートが風で揺れるように、一枚一枚を操作して波打たせるアテラ。
その光景に思わずドキッとしてしまう。
対してアテラはそんなマグの反応を受け、ディスプレイをピンク色に染めながら嬉しそうに【(*≧∀≦*)】と表示させた。
「そういうことは他人のいない場所でやれ」
「っと、すみません」
追加分を作り終えたクリルの呆れたような声に、ハッと我に返って頭を下げる。
隣のアテラは何ごともなかったかのように淡々と、追加の一枚一枚を【コンプレッシブキャリアー】に入れていった。
クリルは呆れ気味に嘆息し、それから再び口を開く。
「後、遠距離攻撃用にそれも持っていけ」
視線で示されたのは、今回マグが修復した中にあった先史兵装だった。
失敗作ではないが、機能は極々普通。ただ見た目がおかしなものだ。
「ジョークグッズなのでしょうか」
「実際に殺傷能力があるジョークグッズ?」
「フィアやドリィみたいな戦闘用のガイノイドのための装備なのかもな。見た目が変わるオシャレ武器、みたいな」
同じ効果で外見だけ変わる。
ゲームなどによくある特殊装備のようなものなのだろう。
今回のものは機械でできた花束らしき見た目の、銃。
銃口は花を模した部分のようだ。
普通に花束のように持ち、花を目標に向けると引金が出てくる。
未来の武器であるだけに、こんな形でも威力は申し分ない。
ただ機能が普通過ぎるのと外見がこうなので、クリルも店の雰囲気に合わないからと抱き合わせで売ってしまおうとしているのだろう。
スカートを完備したアテラには似合っているので、マグとしては否やはない。
「ところで、全部でいくらですか? 加工賃も」
「加工は我が勝手にやったことだ。出土品の分と材料費だけでいい」
「あ、ありがとうございます」
それでも結局、指名依頼と追加依頼の特別報酬は吹っ飛んでしまったが……。
戦力が増強された上にアテラがドレスアップされたので特に問題ではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる