EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~

青空顎門

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第一章 未来異星世界

068 時間稼ぎと時間稼ぎ

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 機竜の周囲には、無数の鏡面装甲が散らばって浮かんでいる。
 体内で再生産されているのか、あるいは在庫を大量に持っていたのか。
 その数はドリィが撃ち抜いた時よりも多くなっていた。
 この状況で再び光線を放てば先程のように反射され、最悪自滅する可能性もある。
 だから、ドリィは再攻撃を躊躇って苦々しげな表情を浮かべていた。

「……ごめんなさい、お父さん」

 危険に晒した上に行動を封じられてしまったことを謝る彼女に対して「いや」と首を横に振りながら、マグは眼前の脅威を睨むように見上げる。
 より高い空で翼を広げた竜を形作っている機械装置は、顎門を開いてノズルを露出させたままの状態で滞空していた。
 臨戦態勢ではあるが、一先ず竜の息吹の如き火炎放射は収まっている。
 特徴的な少女の声が告げた通り、問答無用で攻撃してきている訳ではないようだ。
 どうやら、この場にマグ達を留めておきたいらしいが……。
 ならば、対話を求めれば応じるだろう。
 そう判断し、マグは口を開いて問いを発した。

「君は何者だ。一体、何が目的なんだ」
「お答えするデスよ」

 案の定と言うべきか、予想外にと言うべきか。素直な声が返ってくる。
 それと共に、機竜のカメラアイの奥が点滅し始めた。
 やがて、そこから攻撃にしては眩さのない光が照射され、空中で人の形を作る。
 桜色の髪と瞳が特徴的な小柄で可憐な少女の精巧な姿を。
 そして、その触れることができそうなホログラムが小さな口を開く。

「私の名前はオネットと言うデス。貴方達から見て未来の世界で作られた、行政管理用の最新鋭ガイノイドなのデスよ」

 オネットと名乗った彼女が告げた内容は、マグ達の出自を理解した上でのもの。
 尽く仕様の穴を突いてきているのも、そうした部分を含めて綿密な情報収集と分析を行った結果に違いない。

「あの機獣達を操っているのは君か」
「はいデス。私が支配の判断軸アクシス・統率の断片フラグメントを以ってして機獣を操る張本人デス」
断片フラグメント持ち……」
「そうデス。そこの二人と同じデスね」

 管理システムの掌握。そして機獣の操作。
 彼女の持つ超越現象PBPは、機械装置を支配して操る力のようだ。

「迷宮遺跡の異変も、君の仕業か」
「その通りデス。ここ、秩序の街・多迷宮都市ラヴィリアを攻めるのに、とにかく機獣が必要だったので生産された機獣を頂戴したのデスよ」

 自慢するように、美しい曲面を描く胸を張りながら答えるオネット。

「ついでに、いくつかの迷宮遺跡の管理コンピューターを操作して、このドラゴン型機獣ティアマトを作ったデスが、どうデス? お気に召していただけたデスか?」

 続けて彼女は、褒めて欲しい子供のような顔で問うた。
 この状況下で称賛すると思っているなら、割と彼女のAIはポンコツだろう。

「レーザー対策のリフレクターと自己修復機能。シールド対策に反射したレーザーで狙えるように演算機能を強化して、いわゆるリフレクタービットを展開」

 自身の仕事を誇るように、オネットは弾んだ声で機竜……ドラゴン型機獣ティアマトとやらの性能を語る。
 とりあえず聞く限りは、さっき見た通りだ。

「貴方達に合わせて頑張ったデスよ」

 逐一成果をアピールするオネットだが、対峙している身としては反応に困る。
 声色や表情に敵意は全くなく、むしろ友好的ですらあった。
 そのせいで少し空気が弛緩しかけるが――。

「ああ、ちなみにデス。このティアマトから逃げたら街の中に向けて疑似ドラゴンブレスを放つので、気をつけて欲しいのデス」

 同じ口調のままサラリと脅しの言葉を告げられ、一気に緊張がぶり返す。
 マグの問いに素直に答えている風だったが、結局最終的な目的も答えていない。
 態度が友好的なだけでは意味がない。
 いずれにしても、眼前の機獣ティアマトは排除しなければならないだろう。
 ならば、どう攻略すべきか。
 マグが頭の中で思考を巡らせる中。

「ん?」

 通信ができなくなっていたはずの端末が起動し、小さなディスプレイを開いた。
 管理システムを掌握したと豪語していたオネットに気づく素振りはない。

「…………想定済みってことか?」

 そこに記されていた内容を受け、口の中で音を出さずに呟く。
 端末に送られてきていたのは、時間稼ぎに徹することを指示する旨のメッセージと街の管理者たるメタの署名だった。
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